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後発医薬品企業によるGMP違反が近年、相次いで発生し、自主回収に至るケースも頻発しています。
この事態を受け、後発品メーカー39社が加盟するジェネリック製薬協会が2022年3月に製造販売承認書と製造実態の自主点検を行った結果、薬事対応が必要と判断した企業は31社、1157品目にのぼったことが報告されました*1。なぜ、承認書と製造実態に乖離が発生するのでしょうか。
*1:https://www.jga.gr.jp/effort.html
医薬品製造販売業者は、GMP省令で定められた基準に従って業務を遂行することが求められており、基準に適合していること(GMP適合性)は、医薬品の製造販売を承認する要件の1つとされています。基準には、製造や品質基準などあらゆる業務についての手順が定められており、医薬品製造販売業者は手順書に基づいて作業し、その記録を作成することが求められています。
*2: PMDA GMP省令
不適合の例としては、1)手順書・指図書に従って製造されていない、2)記録に虚偽が認められる、などがあります。その原因としては、正規の手順書や指図書に詳細な記載がされておらず、分かりにくいという点が指摘されています。このため、現場では別の文書が参照され、遵守すべき製造方法とは異なる方法で製造されているという実態があるとのことです。また、その製造方法を記録していないため、結果として記録書には実態とは異なる記載をすることになり、不正が連なる状況にあります。
なお、医薬品の製造記録は、原則として作成日から5年間保管しなければなりません。これは医薬品に副作用などの問題が生じた場合に原因追及を確実に行うためですが、実態と異なる記録書が保管されていては、意味がありません。
GMP違反が起こる背景としては、その一因として、政策が影響していると考えられます。日本政府は、国民総医療費削減に向け2000年代から後発医薬品の使用を促す施策を種々講じてきました。また、2021年6月の閣議決定においては、「後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性確保を図りつつ、2023年度末までに全ての都道府県で80%以上」とする新たな目標が定められました*3。この結果、後発医薬品の製造業者は患者の後発医薬品使用料が増加するに伴って業容を拡大する一方で、生産の急拡大によるキャパシティオーバー、従業員不足、または従業員の急増に伴う教育不足といった課題に直面しています。
後発医薬品の製造業者は市場実勢価格を切り下げるなどしてシェアの拡大を目指し、一時的に成功は収めたものの、その後の薬価改定により、大きく利益率の圧縮を強いられているのが現状です。このような過当競争ともいえるような状況下においては、再投資の余力があるどころではないでしょう。結果として、コストの圧縮を目的に、不正やGMP違反のリスクが高まる状況に陥ってしまいます。
*3:厚生労働省HP
しかし、一度でも不正が明るみに出た場合、健康被害の有無に関わらずその企業の信頼回復は決して容易ではありません。
このことからも、経営層には規制の有無に関わらず、常に品質を重視する思考や行動を従業員に促すことが求められます。GMP違反を無くし、市場への安定供給を実現するには、全社一体となって品質の向上に取り組むことが不可欠です。
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