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産業・サービス分野における世界のM&A動向:2025年の見通し
2025年の産業・サービス分野におけるM&A活動は、企業がポートフォリオの拡大、再編、洗練に向けた取り組みを強化していることから、成長へ向かうことが見込まれます。
PwCコンサルティング合同会社は2024年11月29日、一般社団法人日本自動車部品工業会主催の「【CNセミナー】カーボンフットプリント(CFP)を中心としたモビリティGX規制・政策動向」にて講師を務めました。
近年自動車業界では、各国政策の強力な後押しも受け、カーボンニュートラルに向けた取り組みが促進されています。その動向は完成車メーカーのみを対象とするだけでなく、自動車部品メーカーにも対応を迫っています。このような背景を踏まえ、自動車業界におけるCO2排出規制や開示要求等について、日本自動車部品工業会の会員企業向けに解説しました。本稿ではその概要をお伝えします。
自動車業界を取り巻く規制は国レベルでの気候変動目標と、それを達成するための自動車業界に対する具体的な目標および政策、さらにカーボンニュートラルに向けた各企業の活動を開示する取り組みがあります(図表1)。
図表1:主要国の気候変動・自動車関連規制
EUや米国カリフォルニア州などは特に自動車業界に対する規制が進んでおり、一部の例外を除き2035年以降販売される新車は全て電動車とする規制が定められています。日本でも2035年以降販売される新車を全て電動車とする目標が掲げられるなど、電動化に向けた国レベルの取り組みは強力に進んでいます。このような潮流は自動車部品メーカーにも大きく影響すると考えられます。内燃機関(ICE)に比べバッテリー式電気自動車(BEV)では部品数が大きく減少し、要求仕様も変化するなど、自社事業への影響分析・対応が必須となってきます。
一方、企業活動におけるサステナビリティ情報開示の動きも全世界的に推進されています。一見各国それぞれで情報開示規制を定めているようにも見えますが、その背景にはISSB基準のような国際標準が存在しており、自動車部品メーカーにおいても各開示規則に個別対応するだけではなく、開示規則を横断的に捉えた開示全体像の検討が欠かせません。
このような開示規制に伴う企業活動からのCO2排出量(=「組織LCA」)算定のみならず、近年では製品ごとのCO2排出量(=「製品LCA」)にも注目が集まっています(図表2)。
図表2:製品LCAの対象範囲
組織LCAは各企業がこれまで取り組んできた企業全体のサプライチェーンを環境評価するものである一方、製品LCAは各製品を対象に原料調達から廃棄までのサプライチェーンを環境評価するものです。
企業全体の環境対策を評価する際には組織LCAが適している一方、具体的な削減に向けた取り組みを評価するためには製品LCAの重要性が増してきています。例えば直近施行される規制の中でも、欧州電池規則におけるバッテリーCFPの開示のほか、欧州CBAM(炭素国境措置)は部品単位のCO2排出量を算定・報告させるという点で製品LCAの一種として捉えることができます。
各企業が製品LCAを精緻に算出する方法は大きく3つあります。
計算の精緻化・削減努力反映のため、これらの方法はいずれも重要ですが、特に自社のみで対応することが難しいのが「3.一次データ利用によるデータ精度向上」です。調達部品・素材からのCO2排出量は調達先しか知りえない情報であるため、サプライチェーン全体でCO2排出量に関するデータを適切に連携し、算出・管理することが求められます。(図表3)
図表3:データ流通PFを介したデータ連携
また、電池規則など各種規制では、一部のデータ項目について一次データの取得が必須とされています。データ項目・要件を把握したのち、社内外含めたデータ取得方法の検討が求められます。
さらに規制の施行までの限られた時間の中で、Ouranos Ecosystem(ウラノス・エコシステム)をはじめとした外部データプラットフォーム(PF)を利用するにあたり、自社業務やデータ要件を考慮しつつ外部データPFに接続するためのアプリケーションの選定も求められます。
自動車業界におけるこのような規制は自動車部品メーカーに対してさまざまな変革を迫っています。このような変革は自社のみで実行することが難しい一方で、各国で企業の変革を支援する制度も存在します。例えば日本ではGX経済移行債により総額20兆円の大規模投資が開始されるなど、多くの補助金制度が存在します。自動車部品メーカーはどのような支援策があるかを幅広く把握し、活用することでよりスピーディーな変革を実現することが求められているといえるでしょう。
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