―未来の社会に信頼を構築するために―

10年後創造プロジェクト

  • 2022-05-30

はじめに

テクノロジーの進歩や気候変動、そしてCOVID-19により急激に加速した日常生活の変化など、私たちを取り巻く外部環境は、これまでの歴史の中で類を見ないほどのスピードで変化し、そこからもたらされるインパクトはより重大なものとなっています。

現在のように不確実性が大きな時代においては、過去において成功を築きあげたビジネスモデルでさえも時代の変化に対する適合性を失い、その競争力を失っていく可能性があります。

そこで、起こり得る未来について複数のシナリオを想定しながら、実際に起こりつつある変化に対して、迅速な対応をおこなう。こうした適応力を持った企業こそが、環境や社会を含む広範なステークホルダーに貢献するとともに、企業価値を最大化し、持続可能なビジネスモデルを構築することができるのではないのでしょうか。

PwCの「Purpose(存在意義)」は、「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」ことです。

Purposeは、ある時点における社会で実現することを目指すものではなく、変わりゆく社会や経済環境の中でも絶えずゆるぎない信頼を構築し、重要な課題を解決し続ける存在となることを宣言しているものです。不確実性の大きな環境下において、私たち自身が未来を見据え、時代に即した変化を続けなければ、社会に求められる存在であることは不可能だと考えます。

プロジェクトの概要

今回のプロジェクトは、変わりゆく社会や、経済環境の中でも、「ゆるぎない信頼」を構築するためにPwCとして、そしてそこで働く一職員としてどうあるべきかをテーマとし、入社3〜5年目の職員6名によって始動しました。

時代や価値観の変化に対して高い感度を持つ、現場を担う若い世代の職員が、未来の社会に対する自分たちなりの視点を持つことで、一人ひとりが経営目線で日々の業務に向き合うことができる、自律性の高い組織文化が生まれてゆくと考えています。

過去の事象に目を向け、これまでに起こった事象やその構造、そして繰り返されるパターンを理解した上で、近い将来起こり得る「未来」を、議論、創造し「4つのシナリオ」としてまとめました。 シナリオプラニングにおいて重要となるシナリオ・アジェンダは、政治経済、気候変動、テクノロジー*、信頼の4つを採択しました。

そして、各アジェンダについてコントロール可能か否かを場合分けし、その中で重要と考えられる4つのパターンでシナリオを作成しました。 前述したように「これからの社会がどう変容していくか?」 「その中で私たちはどのようにあるべきか?」 という視点のもと、4つの未来のシナリオをご覧ください。

* テクノロジーについては、各シナリオの検討では他の要素に内包して記載しています。

4つの未来シナリオを描く動画

「これからの社会がどう変容していくか?」

「その中で私たちはどのようにあるべきか?」

という視点のもと、4つの未来のシナリオをご覧ください。

※所属・肩書は当時のものです。

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8:45

未来シナリオ1:SF社会の到来

「政治経済」は協調し、
「気候変動」はコントロール可能、
「信頼」は確立された未来。

政治的、経済的に安定した世界が続いていることで、人々は安心感を持って暮らしています。単純作業や危険な業務をロボットに置き換えることに成功し、日々の生活は心身共に安全な方向へ進んでいます。

この世界で場合に求められるのは、グローバル水準での統一的な制度設計を通じた情報への信頼や自分らしい生き方を実現することができる根拠となり得る社会や経済に対する信頼です。

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未来シナリオ2:環境危機に団結する社会

「政治経済」は協調し、
「気候変動」はコントロール不能、
「信頼」は確立された未来。

気候変動という地球規模の課題や局地的な政情不安への対応によって国際社会は協調路線に変化していきましたが、依然として地球環境が変化するスピードは衰えることなく、新たな対応、新たな国際目標の設定が急務となっています。こうした気候変動の影響を最小限に抑えつつ、持続可能な生活資源の供給に向けてテクノロジーの活用が進んでいます。

この世界で求められるのは、気候変動シミュレーションや災害予測といった気候変動や異常気象に立ち向かうことのできるテクノロジーに対する信頼や、被災地や被災国のレジリエンス実現につながる施策についての信頼です。

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未来シナリオ3:新たな冷戦時代へ

「政治経済」は分断し、
「気候変動」はコントロール可能、
「信頼」は失われた未来。

米中の緊張が高い状態が続き、二極体制での世界の“分断”が進んだ社会では、両陣営ともにテクノロジーを軸とした軍事産業が成長しています。また、進歩したテクノロジーの活用を通じて気候変動の影響もコントロールされています。対立する陣営とはイデオロギーの違いなどから、懐疑的かつ慎重な関係が構築されるようになった 一方で、安全保障や経済について近い認識を有する同盟国間では、より強固な共通の価値観や信頼感が形成されるようになりました。 

この世界で求められるのは、特定の経済圏の外部に位置する他の経済圏によるサイバーリスクへの対応や、大国を中心とした経済圏内部での統一的な制度設計や情報に対する信頼です。

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未来シナリオ4:ディストピア化する社会

「政治経済」は分断し、
「気候変動」はコントロール不能、
「信頼」は失われた未来。

激化した米中の対立が、多くの国と地域でも分断や衝突を招き、各国が開発競争に明け暮れ、温室効果ガスの排出を続けたために世界の平均気温は大きく上昇しました。多発する自然災害、軍事衝突の脅威にさらされる中で、人々の価値観は自らの生存本能へと向かいます。このように、人々の価値観が逆戻りをする一方で、発展し続けるテクノロジーや、生活資源の確保、防災体制、国・地域の安全保障、サイバーセキュリティといった分野への人々の関心は高まっています。

この世界で求められるのは、自身に損害や危害を与え得るテクノロジーに対する保障の確保や、経済的もしくは身体的安全の確保につながる国家や所属するコミュニティに対する信頼です。

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「未来の世界」で、私たちは何ができるのか

「政治経済」 「地球環境」「信頼」を軸として、
10年後の未来に起こり得る、「4つのシナリオ」をこれまで見てきました。

未来シナリオの中に描かれたことは、決して夢物語ではありません。

現にこの世界では、21世紀に入ってからだけでも、
それまで誰も想像していなかったような出来事が、次々に発生しています。

極めて不確実性の高い世の中において、どのシナリオも「十分に起こり得る未来」です。

私たちPwCのPurpose、
「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」。

各シナリオの中で、社会が求める「信頼」の形は異なりますが、
私たちのパーパス、それ自体は、揺らぐことはありません。

一人ひとりがそのパーパスを真に理解し、
時代に合わせ柔軟に変化しながら、そして突破力をもって行動することで、
変わり続ける社会に対し、信頼を構築し続けます。

10年後、私たちはどんな未来へ向かっているのか?
未来を想像し、より良い未来を創る責任が、私たちにはあります。

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主要メンバー

久保田 正崇

執行役副代表, PwC Japan有限責任監査法人

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中釜 和寿

ディレクター, PwC Japan有限責任監査法人

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