
対談:ビジネスとソーシャルの融合で生むコレクティブインパクトーーNPO法人クロスフィールズ小沼代表
NPO法人クロスフィールズ代表 小沼大地氏とPwCコンサルティングのパートナーでチーフ・インパクト・オフィサーの宮城隆之がビジネスセクターとソーシャルセクターの協働で目指す社会課題の解決のあり方や、インパクトなどについて語りました。
世界全体では人口の増加が続いており、都市部への人口流入による都市化の進展により、都市を取り巻く環境が急速に変化し、さまざまな課題が生じています。このような背景のもと、スマートシティの進化の方向性のひとつとして、「コグニティブシティ」というコンセプトが生まれてきました。
世界の人口増に反して、日本においては人口の減少が進行していますが、東京23区や地方の大きな都市などにおいては人口流入が進行する一方で、多くの地域においては、人口減少や高齢化の進展により、地域社会の維持が大きな課題となっており、日本における地域課題は世界の都市が抱えるそれよりも複雑なものとなっています。
都市化の進展とともにうまれたコグニティブシティのコンセプトは、デジタルやAIなどのイノベーションを前提としたまちづくりのアプローチであり、さまざまな地域課題を抱える日本のまちづくりの方向性を考えるうえで有効な示唆を与えていると確信しています。
絶えず増え続ける世界の都市人口を背景に 、政策立案者、自治体、そしてサービスプロバイダーが直面した、持続可能でありながら効率的で住みやすい都市の実現という課題がきわめて重要な意味をもつようになりました。都市の拡大に伴い、地方自治体は、公共サービスやインフラに対する需要の急増に対処しなければならなくなるでしょう。ここ20年の間に起きたテクノロジーの飛躍的進歩により、都市開発におけるイノベーションの象徴として「コグニティブシティ」が誕生しました。
コグニティブシティは、根本的に、データ、人工知能、コグニティブコンピューティングの力を使って、都市をインテリジェントで適応力の高いエコシステムへと変身させます。また、単に最先端のテクノロジーを取り入れるだけにとどまらず、データから学習し、状況の変化に合わせて進化し、先を見越して自律的にサービスを提供し、最終的に住民のウェルビーイングを向上させ、街を住みやすくすることができます。コグニティブシティは、人間の能力、意思決定プロセス、生活の質全般を改善しながら、さまざまな形で労力の削減を後押しすることを目指しています。
本レポートでは、コグニティブシティを支える基本的な原理、成功に必要な要因、よりコグニティブになるための道を歩んでいる都市から得られる教訓、都市エコシステムのステークホルダーにもたらされる影響と機会を探求します。さらに、「コグニティブシティ」が、よりサステナブルでレジリエンスの高い豊かな未来に向けて、都市統治のあり方をつくり変える可能性についても考察しました。
「世界の都市人口が増加する一方で、日本においては、2008年をピークに総人口の減少と少子高齢化が進んでいます。地域人口が減少し、働き手が不足するなかで、住民の生活の快適さを向上させつつ、地域社会を維持していくためには、まち全体の効率性を飛躍的に向上させる必要があります。コグニティブシティの概念は、スマートシティを通じて整備されたデータやインフラを基に、まちの運営の次元を一つ上げるものであり、人口減少が進む日本が抱えている社会課題の解決にも必要な考え方であると確信しています。差し迫る社会環境の変化に対応すべく、本レポートをスマートシティのその先に考えをめぐらせる一助としていただけると幸いです」
「都市化の加速や容赦なくハイペースで進む技術革新を特徴とするひとつの時代に、スマートシティの概念は根付き、広く発展してきました。しかし今、私たちが思い描くのは、知能を具体化するだけでなく、住民の動的なニーズに合わせて思考し、適応し、進化する力を発揮する都市です。『コグニティブシティ』の概念は、スマートシティを超える、都市進化のきわめて重要な分岐点を表わします。コグニティブな都市は、洞察力に富んだデータによって計画、運営され、イノベーションに刺激され、その都市サービスの向上をテーマとして扱っています。本レポートは、その都市の住民、企業、訪問者の生活を向上させる、スマートシティからコグニティブシティへの変革を支える原理、テクノロジー、戦略についての洞察を提供します」
「私たちは今この時代に、明日の都市を形作るにあたって、テクノロジーやデータが発揮する変革力を目の当たりにしています。データドリブンの知能が都市生活と交わる『コグニティブシティ』の概念は、私たちの都市環境が進化する過程において、きわめて重要な瞬間を表わします。この概念は、相互連鎖がますます強まる世界において、都市がどのように機能し、適応し、成長すべきかを私たちに再考させます。コグニティブシティは、私たちのアスピレーションの頂点、すなわち、都市がスマートであると同時に知覚できるというビジョンです。コグニティブシティは、人間の創造力を謳い上げるオード(頌歌)であり、先進技術を取り入れ、真に人間中心の世界を築くことへのコミットメントです。都市景観が持つポテンシャルを最大限に引き出し、現在のニーズを満たすと同時に、これから何世代にもわたって活気に溢れるレジリエントな未来をもたらす都市を創造する旅に一緒に出ようではありませんか」
※本コンテンツはCognitive Cities: A journey to intelligent urbanismを翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。
NPO法人クロスフィールズ代表 小沼大地氏とPwCコンサルティングのパートナーでチーフ・インパクト・オフィサーの宮城隆之がビジネスセクターとソーシャルセクターの協働で目指す社会課題の解決のあり方や、インパクトなどについて語りました。
PwCは2024年10月から11月にかけて第28回世界CEO意識調査を実施しました。世界109カ国・地域の4,701名のCEO(うち日本は148名)から、世界経済の動向や、経営上のリスクとその対策などについての認識を聞いています。
負担費用の削減に向け、共同パートナー開拓の時間的余裕を生み出すための具体的なアプローチと、既存構造を創り変え、整えるための変革のストーリーを紹介します。
市区町村同士が協働・連携して施策を進めることで、負担費用を削減する「割り勘効果」について解説します。また、デジタル技術の活用により、全国から協力者を募ることができる可能性も紹介します。
人口減少やデジタル技術の飛躍的な進化は地方自治体にも大きな影響を及ぼしています。こうした変化の中で、社会の基盤である市区町村の存在意義を再定義する必要性と、どのような取り組みを進めるべきかについて紹介します。
認定遺伝カウンセラーの四元 淳子氏に、遺伝カウンセリングの役割や遺伝性疾患を持つ患者さんへの支援体制、さらに遺伝医療を必要とする人々へのアプローチ方法や民間企業の役割についてお話を伺いました。
地域ビジネスにおいて収益を上げられている企業は、どのような工夫をしているのでしょうか。本稿では、成功企業の具体的な取り組みを調査するとともに、地域ビジネス成功に向けたビジネスモデルとステークホルダー連携の方法を提言します。
本レポートでは、スポーツに対する投資や女性スポーツの展望、大型スポーツイベントの将来、生成AIの可能性、スポーツにおける政府の役割などの幅広いテーマから、世界のスポーツ産業の現状と見通しを考察します。