ASEAN Economic Dashboard アセアン経済を俯瞰する

2015-05-27

東南アジア10カ国からなるASEAN(アセアン:東南アジア諸国連合)は、人口6億1,500万人、GDP2兆4,000億ドルを超える経済圏で、平均年齢も29.1歳と若く、新たな消費市場・生産拠点として世界の注目が集まっています。特に、日本では中国に代わる生産拠点としての人気が高い地域ですが、近年の所得向上によって消費市場の高度化も進んでおり、多くの日本企業が進出しています。

世界のGDPに占めるASEANの割合は3.2%と相対的にはまだ低いものの(OECD諸国:63.5%、EU:23.8%、中南米諸国:8.2%)、2010年からの4年間の加盟国平均成長率は毎年5%を超えており、今後の成長が期待されます。また、これまではASEAN6と言われる先発ASEAN諸国が域内経済をリードして来ましたが、近年では後発ASEAN諸国(CLMV)の経済パフォーマンスも非常に良好です。

ASEAN Economic Dashboard アセアン経済を俯瞰する詳細[PDF 3,472KB]
しかし、ASEANと一口に言っても加盟国10カ国の政治・経済・社会の状況はそれぞれ大きく異なっており、一括りにはできない広さと深さがあることも事実です。現在は豊富な労働力と若い世代を中心とした旺盛な消費意欲に恵まれるASEANですが、既に労働者不足が顕在化している国や高齢化社会が近づきつつある国もあます。

2015年末には経済統合の象徴とも言えるASEAN経済共同体(AEC:ASEAN Economic Community)の発足を控えるASEANですが、域内のヒト・モノ・カネの流れの一層の自由化が期待される一方で、既に域内関税率は平均で0.6%まで削減されており、今後の域内統合の議論は関税率以外の領域に移って行くものと思われます。

本誌はDashboard(ダッシュボード)の名のとおり、人口・GDP・貿易など基礎データをグラフ化し、その可視化された情報からASEAN経済全体を俯瞰(ふかん)することを目的としています。本編中のデータについては、極力加盟国を網羅することで、加盟国間のデータ比較を可能としています。また「各国編」では、加盟国別のGDPや貿易情報の他、各国経済の特徴について掲載しています。

ASEAN Economic Dashboard アセアン経済を俯瞰する