第28回世界CEO意識調査(日本分析版)

第28回世界CEO意識調査(日本分析版)
  • 2025-02-07

PwCは2024年10月から11月にかけて第28回世界CEO意識調査を実施しました。世界109カ国・地域の4,701名のCEO(うち日本は148名)から、世界経済の動向や経営上のリスクとその対策などについて聞いています。

本調査では、世界のCEOの経済情勢に対する認識が上向いており、その過半数が「今後12カ月間で世界の経済成長は改善する」と回答する結果となりました。その他にも、生成AIや気候変動など幅広いテーマについて質問しており、今回はその中から特に日本企業のCEOの回答を分析しています。

主な特徴は以下のとおりです。

  • 「今後12カ月間における自社の売上成長見通しについて、どの程度自信を持っているのか」という質問に対して、日本のCEOからは「極めて強い自信がある/非常に自信がある」(22%)、「ある程度自信がある」(52%)との回答が目立ち、自社業績の先行きに対して一定以上の自信を持っていることがうかがえる結果となった
  • 「現在のビジネスのやり方を変えなかった場合、10年を超えて自社が経済的に存続できない」と考える日本のCEOは47%(世界全体では42%)。悲観的な回答の割合は年々、低下しているものの、米国や西欧と比較すると依然として将来に対する危機感は強い
  • 新たな販路や顧客の開拓といった取り組みについて、過去5年間で「極めて大きく行動した/大きく行動した」と答えた割合が、世界全体や米国と比べて低い結果に
  • 生成AI導入の効果については「従業員の労働時間の生産性が向上した」との回答が4割を超えた。ただ、世界全体と比較すると生産性や収益性における生成AIの影響度は低い結果となった。生成AIを含むAI全体の活用に対して慎重な姿勢も目立った
  • 気候変動の関連投資を阻害する要因について「社外のステークホルダーからの需要の欠如」や「経営陣や取締役会の不同意」を挙げる割合が世界全体や米国と比べて著しく低く、社内外から気候変動への対応を強く求められている現状がうかがえる

以下では、日本のCEOの回答を主な質問項目別にグラフ化し、解説していきます。

世界全体のレポートはこちらをご覧ください。

世界経済への見方、底堅く

日本のCEOは59%が「今後12カ月間において、世界の経済成長は改善する」と考える一方、11%が「減速する」と回答しました。前回調査と比較すると「改善」の割合が41%から上昇、「減速」の割合は44%から大幅に低下するなど、世界経済に対して前向きな見通しを持つCEOが増えています。

足元の企業収益についても堅調との見方が大勢を占め、今後12カ月間の自社の売上成長見通しについては「極めて強い自信がある/非常に自信がある」(22%)、「ある程度自信がある」(52%)との回答が合わせて7割以上に達しました。

経済認識については改善傾向が鮮明に

経済認識については改善傾向が鮮明に

日本のCEOは自社業績への自信を深めている

日本のCEOは自社業績への自信を深めている

根強い将来への危機感、新たな顧客や販路の開拓には遅れも

「現在のビジネスのやり方を変えなかった場合、10年を超えて自社が経済的に存続できない」と考える日本のCEOの割合は47%となりました。2024年公表の前回調査時(64%)からは低下したものの、世界全体や米国、西欧と比較して相対的に高く、将来に対して引き続き危機感を抱いていることがうかがえます。

また、過去5年間で「新たな顧客層を対象に追加」や「対象を絞った新たな販売ルートの開拓」、「新たな価格設定モデルの導入」などについてどの程度、行動を起こしたかと尋ねたところ「極めて大きく起こした/大きく起こした」と答えた割合が世界全体や米国と比べて総じて低い結果となりました。

日本のCEOの約半数が将来に危機感

日本のCEO の約半数が将来に危機感

新たな顧客や販路の開拓、世界と比べて動きは小さく

新たな顧客や販路の開拓、 世界と比べて動きは小さく

生成AIが効率化に貢献、信頼の面では慎重意見も

今回の調査では、革新的なテクノロジーの代表であるAIに関してもさまざまな質問をしています。過去 12 カ月間で、生成AIの導入によって業務や収益がどう変化したのかを尋ねたところ、42%が「従業員の労働時間の生産性が向上した」と答えました。収益性は18%、売上についても13%のCEOが「増加した」と答えています。ただ、世界全体と比較すると全項目で効果を実感する回答割合が下回る結果となっており、日本では生成AIの活用余地を残していることがうかがえます。

「重要なプロセスにAIを導入するにあたり、AIを個人的にどの程度信頼していますか」との質問に対しては、世界全体や欧米、中国と比較して慎重な意見が多くみられました。

「AIは、今後3年間でどの程度、組織的に導入されると予測していますか」との質問に対しては、「業務プロセスやワークフロー」を挙げる回答が多い結果となっています。

生成AIは主に労働時間の効率化に貢献している

生成AI は主に労働時間の効率化に貢献している

日本のCEOは、欧米や中国と比較してAIに慎重な意見が多い

日本のCEO は、欧米や中国と比較してAIに慎重な意見が多い

今後、業務プロセスやワークフローにAIが導入されると予測

気候変動への投資によって、2割超のCEO が売上増加と回答

気候変動への取り組みは

過去5年間に実施した気候変動の関連投資に関する質問では、結果として「製品・サービスの販売による売上が増加した」との回答が25%となりました。一方、「コストが増加した」との回答も41%ありました。

また、気候変動への投資を阻害する要因について尋ねたところ、「社外のステークホルダーからの需要の欠如」や「経営陣や取締役会の不同意」について「全く、またはほとんど阻害していない」とする回答が、世界全体や米国などと比較して非常に高い割合となりました。社内外から気候変動への対応を強く求められている現状がうかがえます。

気候変動への投資によって、2割超のCEOが売上増加と回答

気候変動への取り組みを阻害する要因は、世界と比較して少ない

気候変動への取り組みを阻害する要因は、 世界と比較して少ない

第28回世界CEO意識調査(グローバル版レポート)

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