第21回世界CEO意識調査

成長への自信に潜む不安

PwCが世界のCEOを対象に実施した「第21回世界CEO意識調査」をもとに、日本のCEOと世界全体や他地域のCEOを比較した調査結果を報告します。

PwCは、2017年8月から11月にかけて「第21回世界CEO意識調査」を実施しました。世界85カ国のCEO約1,300名(うち、日本のCEOは123名)に、今後12カ月の世界経済や、企業の成長見通しについて伺っています。主な日本や世界の調査結果は以下のとおりです。

世界の経済成長に対する自信~世界のCEO

質問:今後12カ月の世界経済の成長見通しについて教えてください。(改善する、変動なし、後退する)

世界経済の成長見通しについて、世界のCEOの大半が「改善する」と回答しました。「変動なし」を上回ったのは、この質問を開始した2012年以降はじめてです。

世界の経済成長に対する自信 ~地域別

質問:今後12カ月の世界経済の成長見通しについて教えてください。(改善する、変動なし、後退するの回答から「改善する」と回答した割合(%))

世界経済の成長見通しについて、北米と南米のCEOは他地域のCEOよりも楽観的な見方が強いように見えます。地域別に見ても、地政学的なリスク、資源価格、人口動態といった影響が見え隠れしています。

世界と日本のCEOが成長マーケットとして重要視する国~次の12カ月

質問:今後12カ月間で、貴社全体の成長見通しに関して、最も重要なマーケットと考える3カ国を挙げてください。

世界のCEOが重要視する国について、米国との回答は過去5年で2倍に増加。近年は米国と中国への集中が際立つなか、日本も一定の関心を維持しています。

米国と中国を重視するとの日本のCEOの回答は、世界のCEOと比べて突出して高いです。

自社の成長に対する自信 – 世界と日本のCEO~次の12カ月

質問:今後12カ月の貴社の成長見通しについて教えてください。(「非常に自信がある」と回答した割合(%))

自社の短期的な成長について、世界のCEOが自信を強めるなか、日本のCEOの回答は2017年のリーマンショック以降の最低水準から若干回復しました。

自社の成長に対する自信 ‐ 世界と日本のCEOの比較~次の3年

質問:今後3年の貴社の成長見通しについて教えてください。(「非常に自信がある」と回答した割合(%))

自社の中期的な成長については、「非常に自信がある」との回答は2017年に比べて世界的に減少しました。足元の世界経済が好調である一方、自社を取り巻く環境変化と不確実性の高まりによって今後の成長に不安を覚えるCEOの姿が垣間見えます。

成長への施策‐2018年

質問:今後12カ月間に、売上拡大や利益向上に取り組む場合、以下のどの施策を実行されますか?

日米を比較してみると、トップはともに本業の成長で、ほぼ全てのCEOが挙げています。日本はコスト削減が続きますが、米国ではM&Aが2番目に入ってきます。

M&Aでは、販売市場や販売チャネル獲得の他、新しいテクノロジーや人材の獲得が目的との回答がありました。低い資本コスト、保護主義による貿易の鈍化(特に成長マーケットとの貿易)が後押しとなっていると考えられます。

分断化される世界

質問:以下の政治、経済および貿易トレンドに関する記述について、現在世界が向かっていると同意される記述を選択してください。(回答の割合(%))

以下の政治、経済および貿易トレンドに関する記述について、現在世界が向かっていると同意される記述を選択してください。(回答の割合(%))

インターネットを通じて世界は確実につながりを強め、企業組織はビジネスのグローバル展開を進めています。

一方、グローバル経済の成長による恩恵(下から3番目)は、世界のCEOの意見がほぼ半々に分かれましたが、アジア太平洋地域のCEOは多数に恩恵が行き渡るのに貢献していると考えています(56%)。

価値観や貿易などの面では、明らかに世界が分断化傾向にあると多くのCEOが考えています。

CEOにとっての脅威–Top 3

質問:貴社の成長に対する脅威についてお答えください。(「非常に懸念している」と回答した項目とCEOの割合(%))

CEOが懸念する自社の成長に対する脅威は、大きく2つに分類できると考えています。

1つは、ビジネスに対する脅威であり、経営者がマネージできるものです。例えば、金融危機の教訓なども踏まえ、優れた経営で競争優位を作り出せるようなものです。

もう1つは、経済、政治、社会、環境などでの脅威であり、1社の努力ではマネージできないものです。例えば、過剰な規制やテロ、地政学的な不確実性、ポピュリズム、サイバー脅威などであり、経営としては不測の事態に対応する準備をしておく守りの対策が中心となるようなものです。

貴社の成長に対する脅威についてお答えください。(「非常に懸念している」と回答した項目とCEOの割合(%))

※テロの脅威(2017:12位、2018:2位)とサイバー脅威(2017:10位、2018:4位)は、CEOにとっての脅威として昨年の調査結果から大幅にランクを上げました。

CEOにとっての脅威–デジタルネットワーク人材の獲得

質問:経営層におけるデジタルスキルを兼ね備えた人材獲得についてお答えください。(「非常に困難」と回答した割合(%))

質問:デジタルスキルを兼ね備えた従業員人材の獲得についてお答えください。(「非常に困難」と回答した割合(%))

デジタルネットワーク時代には、情報やデータをつないで価値を創造することが求められます。

そこでは、まずトップ、そして経営層がデジタルビジネスの本質を理解することが重要になります。また、自社の強みを客観的に把握して、何にフォーカスし、グローバルにスケールしていくかが戦略であり、それを実行するデジタルネットワーク時代の人材獲得は、日本や中国・香港といった地域で「非常に困難」と回答したCEOが多くなりました。

デジタルネットワーク人材の獲得に向けた取り組み

質問:デジタル人材を獲得・育成するための、貴社の取り組みについてお答えください。(「取り組んでいる」と回答した割合(%))

日本のCEOはデジタルネットワーク人材の獲得が「非常に困難である」と回答している一方、そのような人材を獲得または育成する取り組みは米国や中国と比較すると本格化しているとは言いがたくなっています。

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