COOやオペレーションリーダーが取り組むべきこと

PwCパルスサーベイに基づく最新の知見

COOは自社のAI活用の未来を見据えており、迅速に行動しなければならないというプレッシャーを感じている

COOは、競争力を維持するためには新しい技術を迅速に導入しなければならないことを認識しています。PwCの2024年6月のパルスサーベイによれば、COOの半数以上(54%)がAIや生成AIの利用拡大は優先順位が高いと回答しています。適切な人材がいなければそれは実現しないため、COOは必要なスキルを持つ従業員の採用(46%)や既存従業員の訓練(46%)を通じて能力のギャップに対処しています。また、COOがチームを安定させ、新技術を導入するために、CEOとのより戦略的なビジネスパートナーシップを構築することも重要な優先事項となっています。

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COOたちはAIの実装と利用拡大に向けて競争している

68%

のCOOが、自社はAIや生成AIを含む新しい技術の導入において競争相手に後れを取っていると述べています。


オペレーションリーダーは、他社との絶え間ない競争の中でAIや生成AIを活用するプレッシャーを感じています。3分の2以上のCOOが、自社は新技術の導入において競争相手に後れを取っていると述べており、全役員(55%)やCEO(42%)と比較して高い割合です。これが、AIや生成AIの利用拡大がCOOの最優先事項となっている理由かもしれません(54%のCOOが優先事項と回答しています)。他の優先事項には、人材の獲得と流出防止の強化、そしてCEOにとってより戦略的なビジネスパートナーになることが含まれます。

しかし、AIや生成AIへの投資はこの優先度に見合っていません。オペレーションリーダーのうち、AIや生成AIに投資して能力ギャップを埋めていると答えたのはわずか36%であり、採用や訓練といった他の対策に後れを取っています。多くの組織は、技術投資を最大限に活用するための人材を欠いているかもしれず、COOはAIに関して他の経営幹部の賛同を得ることにも苦労している可能性があります。

さらに、一部のオペレーションリーダーは、AIや生成AIをチームが既に対応できるタスクの代替と見なしているようです。いずれにせよ、競争力を維持するために、COOは投資を優先事項といっそう一致させ、その技術の可能性を最大限に引き出すための適切な人材を確保する必要があります。

COOに求められること 

  • 技術戦略を練り直す際には、「AIのためのAI」を避ける
    持続可能な価値を生み出すAIの機会を定義し、スケーラブルなソリューションの開発につながるパイロットプログラムへの投資機会を検討します。
  • 技術投資のROI指標の開発
    技術投資の価値は、単なるコスト削減や収益増加を超えて測定されるべきです。技術投資の価値を測るための強固なROI指標を開発して、AIと生成AIがどのようにしてイノベーションを推進し、収益の拡大につながるかを分析します。
  • チーム一丸で取り組む
    適切な技術投資は、チームが新しい働き方を採用しない限り効果を発揮しません。望ましい成果に焦点を当てながら、創造的思考のマインドセットをチーム内で推進し、AIを活用したまだ見ぬソリューションを想像させることから始めましょう。

COOの優先事項リストのトップはテクノロジー

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COOは人材確保・育成に注力する

46%

のCOOが従業員の能力格差をなくすための人材育成に取り組んでいます。


IT技術の活用は重要な指標ですが、能力格差を埋めるための手段としては、やはり人的資源へ投資は避けられません。
だからこそ、46%ものCOOたちは、ビジネスパーソンとしての必須スキルを持つ人材の確保、そして既存従業員への訓練に注力するのです。

企業は、AIと協働する未来を実現するためにも、ふさわしい人材を求めています。
そして、会社という壁にとらわれることなく、パートナーシップの形成や、社外の人材の活用を積極的に行っています。39%のリーダーたちはスキルや能力補充のために外部エージェントを採用しており、戦略的パートナーシップを模索する企業は38%にのぼります。 

COOに求められること 

  • スキルギャップを埋めるために何が必要かを考え、分類してみる
    才能・スキルについて、所属する組織にとらわれず戦略的に考えます。
  • これまで機能してきた固定概念から離れてみる
    自身の能力を活かせる機会を思い浮かべ、体現できる成果を拡大させます。
  • 新たな働き方を受け入れる
    これまでになかったテクノロジーは、働き方そのものを変えます。
    チームメンバーがそれぞれの業務の中でデジタル技術を用いて役割を強化するために、必要となる要素を見定めます。

COOは能力ギャップに対処するために人材に重点を置く

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長期戦略策定へ手が回らないCOOの苦悩

61%

のCOOが、日々の業務に追われ将来のビジョン策定に注力できていないと述べています。


COOは引き続きリーダーとして多くの短期的な課題に対処しており、その結果として長期的な視野が欠けることが多くなります。彼らは気象現象・港湾の閉鎖・サプライヤーの混乱など短期的な課題に対処する能力に自信があり、44%が十分に準備を整えていると回答しています。

しかし、紛争・気候変動・資源不足などの長期的な課題に対して同様に自信があると回答している割合はわずか33%にとどまります。そのため、61%のCOOが、日々の業務に追われ将来のビジョン策定に注力できないと述べているのは驚くべきことではありません。これは経営層の中でもCOO特有の課題の1つであり、オペレーションリーダーが長期計画のための時間を割く必要性を示ししています。さもなければ、採用や戦略について短絡的な決定を下し、将来それらの修正を迫られるリスクが生まれます。

COOに求められること

  • 長期的および短期的な課題に同時に対処する
    長期的な課題と短期的な課題を区別し、両者に同時に、そして従来よりも革新的に取り組むべきです。
  • 新たなビジネスモデルに関する戦略的思考を優先する
    マーケット変化を先取りして対応することで、業務効率を向上させ新たな成長機会を獲得することができます。急速に変化するビジネス環境において、新規ビジネスモデルへの注力は組織の持続的な成功を実現する手助けとなります。
  • リスク管理に関する混乱を最小化する
    社内のITシステムを見直し、どのようにすれば全体的なサプライチェーンネットワークが発展するのかを検討するべきです。リアルタイム情報を活用した継続的なシナリオ更新およびデジタルツインモデル活用等により、長期的なリスクのシナリオプランニングが可能になります。

短期および長期将来に対するCOOの対応

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COOはCEOの活動に注目している

45%

のCOOが、CEOにとってより戦略的なビジネスパートナーになることを最優先事項に設定しています。


オペレーションのリーダーには、組織のトップからの支持が必要であり、もちろん彼らはそのことを理解しています。そのため、45%のCOOがCEOとより戦略的なパートナーシップを構築することを高い優先事項とし、また35%のCOOが自分たちの影響力を経営層に拡大することを目指していることは不思議ではありません。その理由の1つは、多くの経営層がトップの座を狙うための経歴に箔をつけながら、自分たちが望む方向に組織を導こうと水面下での競争を繰り広げているからかもしれません。

これは、COOが解決を検討すべきギャップかもしれません。例えば、COOとCMOはしばしば異なる視点から目標に取り組みます。一方はコストの管理に集中し、他方は販売に焦点を当てることが多いです。しかし、私たちの調査では、これらのリーダーは彼らが思うよりも優先事項において一致していることがわかりました。特に、CMOは技術を通じて会社を競争力のある位置まで高めることや、ビジネスモデルを根本的に変えることに関して、オペレーションリーダーと最も密接に一致しています。

COOに求められること

  • 自分の領域を超えて考える
    顧客がますますエンドツーエンドの体験を期待する中、他の業務機能と共通の課題や優先事項、機会を探求しましょう。これには、新技術の導入や投資に関する協力の可能性も含まれるかもしれません。
  • データを単独で扱わない
    データ駆動型のインサイト抽出は、まだ表面的な段階にあります。データを単独で取り扱うのではなく、異なる部門間で顧客の好みや要求への対処方法を明らかにすることが重要です。適切なプライバシー規制に準拠するために、CMOやリスク管理の責任者と協力しましょう。
  • オペレーションを単なるコストセンターとしてではなく、バリューチェーンの成長の推進力として位置づけ、測定する
    サプライチェーンは単なるサービスプロバイダーではありません。革新を推進するための日々のパフォーマンス改善を実現できる、適切なチームがいるかどうかを見極めましょう。

COOとCMO の考え方一致

調査について

2024年5月15日から5月22日までに実施した最新の「PwCパルスサーベイ」では、フォーチュン1,000社と民間企業の673人の経営幹部と取締役を対象に、現在のビジネス環境、直面しているリスク、企業の戦略と優先順位について調査を行いました。回答者のうち、COOとオペレーションリーダーは80人でした。

COOやオペレーションリーダーが取り組むべきこと PwCパルスサーベイに基づく最新の知見

※本コンテンツは『COO and operations leaders Latest findings from PwC’s Pulse Survey』を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。

主要メンバー

田中 大海

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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藤倉 麻実子

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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葛西 徹弥

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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インサイト/ニュース

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COOやオペレーションリーダーが取り組むべきこと PwCパルスサーベイに基づく最新の知見

本レポートでは、世界の大企業の経営幹部673人を対象に、経営の戦略や優先順位を調査しました。COOはAIの活用拡大に強いプレッシャーを感じており、関連する人材の採用・育成に注力する一方で、業務に追われ将来のビジョン策定に注力できていない状況が明らかになりました。

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