
COOやオペレーションリーダーが取り組むべきこと PwCパルスサーベイに基づく最新の知見
本レポートでは、世界の大企業の経営幹部673人を対象に、経営の戦略や優先順位を調査しました。COOはAIの活用拡大に強いプレッシャーを感じており、関連する人材の採用・育成に注力する一方で、業務に追われ将来のビジョン策定に注力できていない状況が明らかになりました。
COOは、競争力を維持するためには新しい技術を迅速に導入しなければならないことを認識しています。PwCの2024年6月のパルスサーベイによれば、COOの半数以上(54%)がAIや生成AIの利用拡大は優先順位が高いと回答しています。適切な人材がいなければそれは実現しないため、COOは必要なスキルを持つ従業員の採用(46%)や既存従業員の訓練(46%)を通じて能力のギャップに対処しています。また、COOがチームを安定させ、新技術を導入するために、CEOとのより戦略的なビジネスパートナーシップを構築することも重要な優先事項となっています。
のCOOが、自社はAIや生成AIを含む新しい技術の導入において競争相手に後れを取っていると述べています。
オペレーションリーダーは、他社との絶え間ない競争の中でAIや生成AIを活用するプレッシャーを感じています。3分の2以上のCOOが、自社は新技術の導入において競争相手に後れを取っていると述べており、全役員(55%)やCEO(42%)と比較して高い割合です。これが、AIや生成AIの利用拡大がCOOの最優先事項となっている理由かもしれません(54%のCOOが優先事項と回答しています)。他の優先事項には、人材の獲得と流出防止の強化、そしてCEOにとってより戦略的なビジネスパートナーになることが含まれます。
しかし、AIや生成AIへの投資はこの優先度に見合っていません。オペレーションリーダーのうち、AIや生成AIに投資して能力ギャップを埋めていると答えたのはわずか36%であり、採用や訓練といった他の対策に後れを取っています。多くの組織は、技術投資を最大限に活用するための人材を欠いているかもしれず、COOはAIに関して他の経営幹部の賛同を得ることにも苦労している可能性があります。
さらに、一部のオペレーションリーダーは、AIや生成AIをチームが既に対応できるタスクの代替と見なしているようです。いずれにせよ、競争力を維持するために、COOは投資を優先事項といっそう一致させ、その技術の可能性を最大限に引き出すための適切な人材を確保する必要があります。
のCOOが従業員の能力格差をなくすための人材育成に取り組んでいます。
IT技術の活用は重要な指標ですが、能力格差を埋めるための手段としては、やはり人的資源へ投資は避けられません。
だからこそ、46%ものCOOたちは、ビジネスパーソンとしての必須スキルを持つ人材の確保、そして既存従業員への訓練に注力するのです。
企業は、AIと協働する未来を実現するためにも、ふさわしい人材を求めています。
そして、会社という壁にとらわれることなく、パートナーシップの形成や、社外の人材の活用を積極的に行っています。39%のリーダーたちはスキルや能力補充のために外部エージェントを採用しており、戦略的パートナーシップを模索する企業は38%にのぼります。
のCOOが、日々の業務に追われ将来のビジョン策定に注力できていないと述べています。
COOは引き続きリーダーとして多くの短期的な課題に対処しており、その結果として長期的な視野が欠けることが多くなります。彼らは気象現象・港湾の閉鎖・サプライヤーの混乱など短期的な課題に対処する能力に自信があり、44%が十分に準備を整えていると回答しています。
しかし、紛争・気候変動・資源不足などの長期的な課題に対して同様に自信があると回答している割合はわずか33%にとどまります。そのため、61%のCOOが、日々の業務に追われ将来のビジョン策定に注力できないと述べているのは驚くべきことではありません。これは経営層の中でもCOO特有の課題の1つであり、オペレーションリーダーが長期計画のための時間を割く必要性を示ししています。さもなければ、採用や戦略について短絡的な決定を下し、将来それらの修正を迫られるリスクが生まれます。
のCOOが、CEOにとってより戦略的なビジネスパートナーになることを最優先事項に設定しています。
オペレーションのリーダーには、組織のトップからの支持が必要であり、もちろん彼らはそのことを理解しています。そのため、45%のCOOがCEOとより戦略的なパートナーシップを構築することを高い優先事項とし、また35%のCOOが自分たちの影響力を経営層に拡大することを目指していることは不思議ではありません。その理由の1つは、多くの経営層がトップの座を狙うための経歴に箔をつけながら、自分たちが望む方向に組織を導こうと水面下での競争を繰り広げているからかもしれません。
これは、COOが解決を検討すべきギャップかもしれません。例えば、COOとCMOはしばしば異なる視点から目標に取り組みます。一方はコストの管理に集中し、他方は販売に焦点を当てることが多いです。しかし、私たちの調査では、これらのリーダーは彼らが思うよりも優先事項において一致していることがわかりました。特に、CMOは技術を通じて会社を競争力のある位置まで高めることや、ビジネスモデルを根本的に変えることに関して、オペレーションリーダーと最も密接に一致しています。
2024年5月15日から5月22日までに実施した最新の「PwCパルスサーベイ」では、フォーチュン1,000社と民間企業の673人の経営幹部と取締役を対象に、現在のビジネス環境、直面しているリスク、企業の戦略と優先順位について調査を行いました。回答者のうち、COOとオペレーションリーダーは80人でした。
※本コンテンツは『COO and operations leaders Latest findings from PwC’s Pulse Survey』を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。
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