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2020年3月、PwCはユニセフ(UNICEF:国連児童基金)とともに、Generation Unlimited(GenU)を支援するグローバルな戦略的コラボレーションとして、3年間で数百万人の世界の若者たちのアップスキルを目指す取り組みを開始しました。本コラボレーションの一環として発刊したレポート「今こそ前進のとき―現代の若者たちがデジタルな未来とつながるために」では、デジタルから取り残された若者が、その隔たりを乗り越えてデジタル社会に参入し、活躍できるスキルを獲得するための足がかりとなる4つの要素や、国際機関、政府、企業・民間資金提供者、地域社会など各ステークホルダーの果たすべき役割について述べています。
PwCとユニセフは、GenUへの支援を通じて、数百万人の若者のデジタルへのアクセスを確保することが、レジリエンスを備えた新しい経済システム構築の原動力になると信じています。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、教育、職業訓練、労働など生活に欠かせない活動やサービスのオンライン化が進む今、世界中の若者たちがつながりを維持することは、ますます難しくなっています。ユニセフによると、COVID-19のパンデミックが発生したとき、世界中の児童・生徒の3分の1(約4億6,300万人)が遠隔教育にアクセスできる状況にありませんでした。
しかしこの危機は、同時に貴重で力強い機会も提示しています。世界中のコミュニティがレジリエンスを備えた新しい経済システムを構築するために、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の指針に沿って、持続可能な繁栄を目指し、格差を是正し、社会的価値を提供し、社会の進歩を推進すれば、デジタルデバイドの解消を実現できるでしょう。
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デジタルから取り残された若者が、その隔たりを乗り越えてデジタル社会に参入し、活躍できるスキルを獲得するためには、以下の4つの要素が足がかりとなります。
コネクティビティ:安定的な電力とインターネットサービス、デジタルデバイスやデジタルプラットフォームへのアクセスを確保することが必要です。
アクセス:テクノロジーだけでなく、それ以外の要素も重要です。若者がデジタルツールを活用する前提として、まず基本的な健康、食事、安全のニーズが満たされていなければなりません。若い女性や少女を含む最も疎外されたグループにとっては、これは喫緊の課題です。
デジタルリテラシー:デジタルツールを安全かつ生産的に使用できるようになるための教育にアクセスできることが不可欠です。母語で提供される教育資源、オンラインのリスクに対する認識、基礎的な読み書きスキルなどを得る必要があります。
仕事に役立つスキル:基本的なスキルを習得した上で、高度な教育、訓練、プラットフォーム、機会へのアクセスが得られれば、さらにその先に進んでデジタルスキルを最大限に活用することができます。
「私たちは今、デジタルデバイドを解消し、全ての子どもたち、若者たち、学校、コミュニティがインターネットにアクセスできるようにするまたとないチャンスを手にしています」
若者のデジタルデバイドを解消する取り組みは、非常に規模が大きく複雑であるため、各ステークホルダーが単独で実現できることではありません。多くのステークホルダーが結集し、知識を共有し、ノウハウを構築し、力を合わせてソリューションを創出する必要があります。しかもそのための手法は、データと現地の事情に裏付けられた、革新的で拡張性のあるインクルーシブなものでなければなりません。
国際機関:課題を提案し、専門的知見を提供し、問題をグローバルな視点で理解するための構造や枠組みを示し、ベストプラクティスを提示します。
各国の政府:政府のデータと政策は、若者が「4つの足がかり」全てを活用できるようにするための基盤になります。同時に、若者がより広範な社会の目標や経済成長と整合した、インクルーシブでサステナブルな方法で成果を上げるためにも必須となります。
企業・民間の資金提供者:問題解決やリソースの配分、価値を重視した実績評価などに対する企業・民間の資金提供者のアプローチは、今こそ求められている新しい視点をもたらします。民間の多様な組織がイノベーションを大規模に促進、創出、実践することで、幅広い政策目標の実現にもつながります。
地域社会:学校、地域のNGO、宗教法人、調査・研究機関、その他のコミュニティサービス機関を含む地域社会は、地域のニーズをよく理解し、地域の特性や文化に適した継続可能な政策やソリューションを開発する知見を持っています。
若者たち・若者向けサービスを提供する団体:デジタルにつながる機会のない若者のためのソリューションやそのプロトタイプの必要性を主張し、開発過程で情報を提供し、設計・実践・テスト・評価などを行うという独自の役割を果たします。
適切なサポートさえ提供すれば、テクノロジーに精通した若者やデジタルスキルを備えた若者こそが、将来を見通したイノベーションを進めるのに最も適任です。
日本ではデジタル庁の新設をはじめ、海外と比べて後れを取ってきたデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速し始めました。この動きは行政やビジネスに限られた話ではなく、教育分野も例外ではありません。そうした中、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大を発端に、遠隔教育やICT教育の利点を享受できる人たちとそうでない人たちとの間に大きな格差が生まれること、すなわちデジタルデバイドがもたらす課題が浮き彫りとなりました。
世界に目を向ければ、日本のような先進国以上に、途上国ではいっそうデジタルデバイドが深刻化しています。PwCグローバルネットワークではこの社会課題の深刻さにいち早く着目し、2020年3月からユニセフとのコラボレーションにより解決に向けた取り組みを進めてきました。
この課題の解決に責任を負うのは、政府と学校や教育機関だけではありません。国際機関、民間企業、地域社会を含めた全てのステークホルダーに果たすべき役割があります。教育現場に先端技術を導入するのみならず、誰もがデジタル社会に必要な知識やスキルを早い段階で身に着けられるようにするには、産官学の連携が不可欠です。これはどの国にとっても、将来の国力をも左右する極めて大きな課題だと言えます。
本報告書では、デジタルから取り残された若者が、その隔たりを乗り越えてデジタル社会に参入し、活躍できるスキルを獲得するために、足がかりとなる4つの要素として
を紹介しています。長く未解決だったこれらの構造的課題に危機意識を持って取り組み、短期的に成果の上がる施策を積み重ねれば、デジタル世界で必要なスキルを持った人材を育成することができるはずです。
本報告書を契機として、政府や教育関係者、若者たち自身だけでなく、デジタルトランスフォーメーションを先導する民間企業を含め、さまざまな世代の方々がデジタルデバイドという社会課題に関心を持ち、具体的な支援活動を始めていただければ幸いです。
PwCコンサルティング合同会社
パートナー
佐々木 亮輔