PwC グローバルデジタル調達実態調査 第4版(2022年実施)結果 —調達DXで出遅れる日本企業—

調達DXで出遅れる日本企業

PwCでは2017年以降、今回で4回目となる「グローバルデジタル調達実態調査」を実施し、64カ国のCEOなど調達専門家814人(うち日本からは15人)からの回答をもとに、世界各国における調達活動のデジタル化の現状と将来像を調査しました。

調査の結果、グローバル全体の傾向として、世界的な新型コロナウイルス感染症の広がりによる経済情勢悪化の影響を受けて調達領域のデジタル化には減速が見られたものの、各社が改革テーマとして「DX(デジタルトランスフォーメーション)・デジタル変革」にフォーカスし、意欲的なデジタル化目標値を設定していることを確認しました。

日本においてもグローバルと同様の傾向が見られましたが、現行の調達領域のデジタル化率、中期的なデジタル化率の目標値ともに、グローバルに後れを取っています。そこで本調査報告書では、グローバル全体および日本における調達領域のDXの動向をお伝えするとともに、調達DXで出遅れる日本企業がグローバル企業との競争に打ち勝つために必要となる視点を示します。

S2Cプロセスのデジタル化の遅れがDXの浸透を阻む理由とは

調達プロセスは上流のS2C(Source-to-Contract:ソーシングから契約までの)プロセスと下流のP2P(Purchase-to-Pay:購買から支払いまでの)プロセスに大別できます。これらのプロセスをデジタル化するメリットは以下に整理できます。

  • 上流(S2C)のデジタル化:コスト削減や安定調達の確保といった調達活動の高度化
  • 下流(P2P)のデジタル化:発注から支払いまでのオペレーション業務の効率化

一般的に、上流(S2C)と下流(P2P)の改善効果を比べた場合、「上流(S2C)改善効果>下流(P2P)改善効果」と言われていますが、本調査で、日本企業はグローバルに比べ、上流(S2C)のデジタル化率が特に低いことが明らかになりました(グローバル35%、日本19%)。日本企業は、上流(S2C)のデジタル化へパワーシフトし、大きな効果を獲得することが重要であり、そのためのDX推進が求められます。

また、本調査では「DXのKSF(重要成功要因)」に関する質問で、日本企業は特に「内部関係者の巻き込み」「企業文化への配慮」を重視する傾向が見られました。ここから、グローバルと比べ、マネジメントスタイルの異なる日本企業では、DX推進のために内部調整に苦慮するプロジェクトメンバーの姿が垣間見えます。

以上を踏まえると、調達におけるDX推進のポイントを押さえた上で、改革推進のために内部関係者を巻き込むには、改革の目的を明確にし、改革実行による効果を見える化することがポイントとなります。しかし、本調査にて「調達データの品質水準に対する認識」を確認したところ、日本企業では「ビジネスに役立つ」形で調達データを活用できておらず、改革目標や効果の定量的な見える化ができていないという状況が見られました。

DXの目標や効果を示したいが、S2Cプロセスをデジタル化できていないために、コスト削減や安定調達といった戦略目標を定量的に可視化できず、内部理解を得られず改革が進まない。改革が進まないために調達プロセス全体のデジタル化も進まない。このような負のスパイラルが、日本企業における調達活動のデジタル化の遅れをもたらしていると考えられます。

効果が体感できる調達DXのすすめ

DXの目標や効果を可視化できず内部調整が進まない。この状況を打破するためには、パイロット的な改善活動によって、構造課題を浮き彫りにすると同時に、早期に定量的な効果を上げ、改革実行に対する社内の理解を得ることが重要です。さらに、DXによる効果の創出と可視化に継続性を持たせることも重要となります。

PwCコンサルティング合同会社では、簡易診断で調達領域の成熟度把握と構造課題の抽出を実施し、仮説ドリブンにて目指す姿を描いた上で、改革に着手します。コスト削減実行などにより短期的に効果を創出するとともに、効果を継続的に可視化する仕組みを組み込んだ「効果が体感できる調達DX」を支援します。

主要メンバー

小山 元

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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瀧 護人

マネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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