未来のモビリティが推進する持続可能なスマートシティ

都市を取り巻く環境は日々変化しており、「サステナビリティ（持続可能性）」は世界のどの都市においても実現が求められる非常に重要なキーワードとなっています。サステナビリティには、温室効果ガスの削減のような喫緊の課題への対応も含まれますが、都市に関わるすべての人のアクセシビリティ（利用容易性）向上や継続的にサービスなどが提供されるための採算性の確保なども重要な要素となっています。

近年のテクノロジーの発展に伴い、特にモビリティ分野において社会のサステナビリティ実現に向けた取り組みが進んでいます。

このレポートでは、モビリティ領域における多様な事例を交えつつ、PwCコンサルティングと Google が考えるサステナブルなスマートシティについて紹介しています。

（目次）

序文

第1章：都市の現状
　1-1：都市を取り巻く主要な課題
　1-2：サステナビリティ（持続可能性）の重要性

第2章：ヒューマンセントリックアプローチ
　2-1：ヒューマンセントリックアプローチとは
　2-2：サービス利用者のデジタルエクスペリエンス向上

第3章：サステナブルモビリティをすべての人へ
　パッセンジャーモビリティ
　配送と物流
　モビリティインフラストラクチャー

第4章：再設計するスマートシティの未来

未来に向けて

サステナビリティの重要性とヒューマンセントリックアプローチ

PwCコンサルティングと Google は、持続可能なスマートシティは、「環境に配慮したインフラストラクチャー」、「経済性」、「ウェルビーイング」の次の3つの要件を満たす必要があり、持続可能なスマートシティを開発する際、これらの3要素のどれかひとつだけに注力するのではなく、バランスよくすべての要素を取り入れながら、都市を発展させることが不可欠であると考えています。

そのためにはテクノロジーの活用は必須であり、スマートシティの事例構築に大きく貢献しています。しかし、その都市に住み、働き、訪れ、都市のサービスを利用する人の利益を意識しないテクノロジー一辺倒のアプローチは、根本的に問題があり、最終的にあらゆる取り組みの失敗につながってしまいます。

取り組みを成功させるためには、「ヒューマンセントリック（人間主体の）アプローチ」により、あらゆるサービス利用者のニーズをプロジェクトの中心に据えながら、すべてのステークホルダーを開発プロセスに参加させることが重要です。

サステナブルモビリティをすべての人へ

スマートシティにおけるモビリティソリューションも同様に、3要素のバランスが重要です。本レポートでは、モビリティを「人が移動するためのパッセンジャーモビリティ（乗用）」、「モノの移動のための配送と物流」、「これらのモビリティを支えるインフラストラクチャー（モビリティ基盤）」の領域に分類しており、サステナブルモビリティの実現のためには、これらの複数の領域間でシームレスにデータを連携しながら、地域のニーズに応じて持続可能なスマートシティの3要素のバランスがとれるようにソリューションを導入することが重要であると考えています。

全体最適での都市の変革

多様なソリューションやサービスによって最適化される交通や移動は、カーボンニュートラルの達成、ひいては持続可能なスマートシティの実現に向けて、重要な役割を担おうとしています。そのためには、個々のソリューションの効率性や利便性の改善が不可欠ですが、個別のソリューションを通じて達成できることには限界があります。持続可能なスマートシティを実現するには、都市全域において複数のソリューションを連携させたさらなる改善が必要となります。

サービスは利用されて初めて価値を発揮するものであるため、プラットフォームやサービス、テクノロジーを的確に活用して、利用者の実際のニーズに対応するソリューションを提供することが、スマートシティにおいて最も重要な側面であると考えます。

そのため、PwCコンサルティングと Google がスマートシティ開発の推進で重視する5つのポイントがあります。

本レポートが持続可能なスマートシティ開発やスマートモビリティ導入を推進するための一助となることを願っています。