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2022年11月以降、生成AIの活用の模索が一気に広がりを見せています。現在進行形で急速に発展するAIの技術は、さまざまな業界や分野に革新をもたらしており、例外なくどの企業においても、絶え間ないトレンドの変化を取り入れたウィズデジタルでの経営変革が求められています。それに伴い、社員の意識やスキルの転換を図り、新たなデジタル技術を活用し、仕事の生産性を高め、付加価値を向上させることなどを通じた、経営課題の解決とビジネス機会の創出が求められていますが、十分な成果を得られていないと感じる日本企業が少なくありません。
本レポートでは、PwC Strategy& Katzenbach Center※1の組織行動・カルチャー変革領域の専門家たちによる10年以上の調査研究に基づく「Digital Scoring(デジタル・スコアリング)サービス」の1万人超のアセスメント実績を、PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)で独自に分析しました。また、そこから見えてきた日本企業の特徴をもとに、日本企業がデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)のさらなる加速のために持つべき視点について考察しています。
DXのさらなる加速に向け日々挑戦する読者の皆様の一助となれば幸いです。
※1 PwC Strategy& Katzenbach Center
PwCグローバルネットワークにおける戦略コンサルティング部門、Strategy&に属するカッツェンバック・センターは、組織文化・リーダーシップ・チームワークを研究する組織として、約25年前から組織文化が事業の発展に及ぼす影響について研究しています。
詳細はこちら(英語)
PwC Strategy& Katzenbach Centerでは、組織行動・カルチャー変革領域の専門家たちが、多岐にわたる業界のデジタルリーダーに関する調査研究を行っています。Digital Scoringサービスは、その結果から明らかになった、DXをけん引するイノベーション人材が有するコンピテンシーの4つの要素と12の下位領域(図表1)に基づき開発された、独自のデジタルリテラシーアセスメントツールです。本ツールを用いることで、個人のリテラシーレベル(4段階評価)を明らかにするとともに、組織・部門でのリテラシーレベルの傾向分析を行うことが可能です。
要素1 スキル:デジタル技術やデータ活用に関するスキル
要素2 マインドセット:イノベーション促進を下支えする好奇心、チャレンジ精神などのマインドセット
要素3 リレーションシップ:イノベーション共創に欠かせない組織内外へのコネクションや、コラボレーションを実現するためのリレーションシップ
要素4 行動:イノベーションをけん引するための行動力
スコアレベルは以下の4つに分類されます。
Level 4(75~100%):高度なレベルに達しており、周囲の引き上げ能力の発揮も期待されるレベル
Level 3(50~74%):一般よりも上位のレベルに達しており、保有能力の十分な発揮が期待されるレベル
Level 2(25~49%):一般的なレベルに達しているが、さらなるリテラシー向上が求められるレベル
Level 1(0~24%):一般的なレベルに達しておらず、リテラシー向上が必要とされるレベル
Digital Scoring サービスは、PwC Strategy& Katzenbach Centerの研究に基づくサービス展開の実績を経て2019年11月にPwCコンサルティングでサービスを開始、これまで1万人超のアセスメント実績を有しています。このサービスでは、先述の分析結果に加え、個人がデジタルをより高度に活用し成果をあげるためのヒントや、部門・年齢層・役職別の傾向に基づき有効と示唆される施策例を提供しており、今後のアプローチの見直しに役立てることができます。
これまでの1万人超のデータにより明らかになった特徴として、大きく以下3つの特徴が挙げられます。
4つの要素(上述のスキル、マインドセット、リレーションシップ、行動)のスコアを相対比較すると、マインドセットが最も高く43%の達成率であり、スキルが最も低く24%でした(図表2)。最も高いマインドセットでもLevel 2止まりであり、これ自体もまだまだ伸びしろがあります。また、このマインドを生かしていくためにも、デジタルスキルの伸長が課題と考えられます。
次に、4つの要素を下位領域で詳細に見ていくと、マインドセットをけん引しているのはチャレンジ精神であり、Level 3に達しています(図表3)。一方、既に導入されているようなツールやテクノロジーの利用(ツール&テクノロジー)はLevel 2であるものの、「データ活用」「デジタル活用」「オンライン活用」はLevel 1にとどまっており、全般的にデータドリブンでのアプローチに必要なスキル・知識の活用が低調であることがうかがえます。
またIT・DX関連部門の人材と非IT・DX関連部門の人材の合計スコア分布を可視化したところ、相対的にはIT・DX関連部門人材のスコアが高いことが明らかになりました。一方で、非IT・DX関連部門の人材でも数には限りがあるものの、Level 3に達する人材もいる(174名、全体の2.7%)ことがうかがえます(図表4)。
これらのインサイトから言える日本企業の課題は次の3つです。
DXでは、どれだけ多くの社員が自社の取り組みを理解し、自分事としてスキルを獲得し実践できるかが成功の鍵となります。伸びしろはあるものの相対的には高いマインドセットを生かして、スキル・知識の習得を促し、自社のDXへ自律的に取り組める環境を実現することが重要です。
学んだデジタルスキルをプロジェクトや業務に活用できなければ、せっかく身につけた知識やスキルも自社のDXのけん引にはつながりません。汎用的な知識・スキルを実務の場面に即して「どのようなファシリティ(ツール、データ基盤等)を活用」し、「何を実現させたいのか」を定め、基礎研修からStep by stepで実践定着まで促す必要があります。
DXは技術だけでなくビジネスへの適用が重要なため、社外から採用してきた専門人材のみではDXはけん引できません。自社の顧客や社内業務をよく理解し、DX施策の自組織へのフィット/ギャップを識別でき、デジタルリテラシーを有する非IT・DX関連部門の人材を、DXのキー人材として育成していく必要があります。
PwCコンサルティングではこうしたデータを活用しながらも、DXの目的に立脚した包括的な視点に立つことが重要だと考えています。
その際に有効なのは「ターゲット・オペレーティング・モデル(TOM)」です(図表5)。戦略に基づいたプランを実行していく「人」を活かしてDXを加速するためには、インフラ構築やオペレーション設計、データソース等が重要なドライバーとなり、それらを俯瞰的にチェックする枠組みとしてTOMは役立ちます。
また、ビジネスに影響を与える新たなアジェンダが次々と生まれる中で、企業はこれまで以上に機敏な対応力が求められています。そのため、DXの成果が十分でないとしても、今までの取り組みを否定したり、ゼロベースで始めたりするのではなく、あくまでもこれまでの取り組みを「棚卸し」することが重要となります。
本レポートではPwCコンサルティングの支援実績や事例をもとに、DX人材活用の実現に向けて検討するべきポイントをまとめています。ぜひ自社の取り組みで足りていない視点がないか、チェックリストとして活用いただけると幸いです。
新しい取り組みを推進することは不安なものです。これはPwCコンサルティングが相談をいただく多くの皆さんの本音だと思います。
ただ、DXの取り組み自体を、組織競争力や従業員エンゲージメントを高め、成長を感じながら生き生きと仕事に取り組む機会と捉えることができるのであれば、この課題に正面から向き合う価値が十分にあると言えないでしょうか。PwCコンサルティングはそんな課題に挑戦する皆さんを、一緒に伴走しながら全力で支援する体制・チームを擁しています。
このレポートはPwCコンサルティングが考えるDigital upskillingの序章として、今後もシリーズ化しながら、DX人材育成の本質的な観点やユースケースを発信していく予定です。ぜひご期待下さい。