ファミリービジネス企業は、数カ月や数年などではなく何世代という単位で物事を考える傾向にあり、もっともなことですが、この長期的な視野を誇りにしています。また、日々の業務、すなわち事業経営の基本と言える部分を着実に遂行する力を持っています。
今回の調査で浮き彫りになったのは、短期的な戦術から、中期的な戦略への変化でした。ここにおける問題は「ギャップ」にあります。すなわち、事業の現状を長期的な未来のビジョンへ結び付ける戦略的な計画を持つという点で課題を抱えているのです。
戦略的な計画策定を重視することは、承継のプロセスの鍵を握ることです。目標の実現、後継者計画、有能かつ客観的な立場に立った取締役で構成される取締役会など、課題への対応は容易ではありませんが、これらの課題にすばやく効果的に対応するファミリービジネス企業は、潜在力を今まで以上に発揮し、持続的な成長を実現することでしょう。成長を実現するためのスキルを持った人材を見極めることも必要となるでしょう。
現実には、こうした決定は継続的に行っていくべき作業であり、何度も立ち返っては、状況の変化や会社の戦略の進化に合わせて調整していく必要があります。
2012年以降の調査では毎回12%~15%が、向こう5年間に事業の積極的な成長拡大を目指すと回答してきました。実際にそれを遂げてきた企業もあります。しかし、ファミリービジネス企業セクターにおける私たちの経験では、非常にアグレッシブな成長目標を達成している企業は極めて限られています。成長に必要な人材確保やスキル開発に苦労する企業、資金調達に悩む企業が多数あります。また、一族内に対立が生じ、それに時間とエネルギーを取られて、思考が内向きになっていく企業もあります。
詳しく読むファミリービジネス企業の多くは事業を変革する能力があると思うと語っていますが、多くの企業が変化できずに葛藤している現実があります。本調査の回答者の3分の1以上が、ファミリービジネス企業は他の企業に比べて新しい考えやアイデアに対してオープンでないと考えています。何が事業の障害になっているのでしょう?スキル、考え方、企業文化、革新的な事業投資のための一貫した戦略的計画の欠如などの要因があげられます。
詳しく読む多くのファミリービジネス企業は、銀行から融資を受けたり外部の投資家に頼って経営の議決権を求められたりするよりも良い選択肢だとして、成長のための財源として自己資金を選ぶと答えました。しかし、これには非常に現実的なリスクがあります。何かがうまくいかなかった場合に、一族の資産も事業もリスクにさらされるのです。PwCのアドバイザーは、世界各地の多岐にわたる業界と市場で、大小さまざまな規模のファミリービジネス企業をサポートしています。
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Same Passion, different paths: How the next generation of family business leaders are making their mark.
The next generation of family business leaders are well prepared, confident, and above all they have great ambition – both for themselves and for their firms. 88% want to do something special with the business.