ファミリービジネスサーベイ2016 日本分析版 「ファミリービジネス企業の永続的な発展のヒント」

2017-05-25

本レポートは、ファミリービジネスサーベイ2016の日本分析版として、日本とグローバルとの回答比較を行い、日本のファミリービジネス企業にとって重要と考えられている「直面する課題」、「国際化」、「事業承継」、「親族間の紛争解決の仕組み」および「デジタル化への対応」に関して取り上げ、分析・考察しています。

  1. 課題
    今後5年間の主な課題として、日本とグローバルともに、「優位性を維持するためにイノベーションを続けること」を筆頭に、「適切な人材を採用し、維持する能力」、「自社が所属する業界の競争」がトップ3に挙げられています。
  2. 国際化
    「今後5年間で新たな国で販売を開始する」と回答した日本のファミリービジネス企業は39%で、海外進出に対し、グローバルと同様に積極的な意欲が示されているといえます。
  3. 事業承継
    承継計画の準備状況では、グローバルと日本ともに大きな開きは見られませんでした。「全ての上位役職者について計画がある」および「大半の上位役職者について計画がある」については、日本とグローバルはともに2割程度が「ある」と回答、また、「承継計画はない」との回答は日本とグローバルともに4割程度という結果になりました。一方、「具体的な承継計画を整備し、文書化、周知している」は、グローバルが15%、日本はわずか2%といった回答でした。
  4. 親族間の紛争解決の仕組み
    親族間紛争に対する備えについては、「親族間紛争に対応するための手順や仕組みがある」と回答した日本のファミリービジネス企業は45%にとどまりました(グローバル82%)
  5. デジタル化への対応
    「デジタルが企業文化に浸透している」では、グローバル56%に対し、日本は10%、また、「デジタル化の具体的なメリットを理解しており、それを測定するための現実的な計画がある」については、グローバルの59%に対し、日本は27%と大きな差が生じています。

また、本レポートでは、和菓子・洋菓子チェーンのシャトレーゼホールディングスの創業者であり、代表取締役である齊藤 寛氏および老舗企業・ファミリービジネス研究の第一人者である日本経済大学 特任教授の後藤 俊夫氏の特別インタビュー記事を掲載しています。