
PwCコンサルティング、Salesforce Japan Partner Award 2025を受賞(2025年4月10日)
PwCコンサルティングは、Salesforce Japan Partner Award 2025におけるJapan Partner of the Year - Net Zero Cloudを受賞しました。
労働力不足、賃上げ要請、働き方改革などの環境変化を背景に「生産性の向上」や「従業員への生産性向上成果の還元」が日本企業の喫緊の課題です。そのような環境のなか、PwCは給与維持型の週4日勤務制度(=20%生産性向上と同等に捉える)のソリューション「Four Day Workweek Approach」を提唱しています。これは、生産性が高い働き方・仕事の進め方にシフトすることで、業務成果を担保(維持または向上)しながら業務時間を削減することが可能なため、給与は週5日勤務の水準を維持するという仕組みです。なお、生産性高く働くことで創出された時間は、従業員がワークライフバランス(以下「WLB」)を向上させるために自らの意思で考え、選択して使える時間として従業員へ還元します。
欧米ではNPOや学術機関の提言を契機に政府行政や民間企業において給与維持型の週4日勤務制度の導入が進んでいます。本ソリューションは海外トライアルを監修する教授や海外NPOのナレッジをインプットとするリサーチ成果に基づき、日本企業における円滑な制度導入や制度のベネフィット最大化に資する要件を整理しています。
Four Day Workweek Approachは従業員へWLB向上の時間を提供することで、モチベーションを喚起し、コミットメントを得ることで組織成長を実現します。従業員が主体となり、生産性をより高められる働き方を自ら考え適用し、創出された時間で個々人の働き方に適したWLB向上に取り組むことにより、結果的に業務中のパフォーマンスおよび成果に還元されると捉えています。例えば、自己研鑽に取り組むことによる新しいアイデアの創出や、十分な休息に充てることによる持続可能な働き方の実現が考えられます。これらは従業員だけではなく、会社にも利点があるため、両者にとってWin-Winとなります。
PwCでは独自のフレームワークを活用し、Four Day Workweek Approachの組織成長メカニズムを実現させるための7つのKSF(重要成功要因)を整理しています。
図表1:Four Day Workweek Approachを実現させるための重要成功要因
生産性が高い働き方・仕事の進め方へのシフトを実現させるべく、7つのKSFを踏まえたチェンジマネジメントの事例を紹介します。
日本マイクロソフトのモダンワーク統括本部(100名程度)では、2024年12月(1カ月間)に「自律的 選択的 生産的 働き方 –Work with Copilot 2024」(以下「本トライアル」)を実施しました。本トライアルは業務改革(作業環境や会議様式など、業務デザインを生成AIに適合させる)と生成AI(Microsoft Copilot)活用で、業務の効率および品質向上を目指すPoC(Proof of Concept)です。本トライアルでは業務時間を約20%削減し、削減された時間についてはFor Work, For Life, For Society※1の観点で自律的・自主的に創出される時間と捉え、その過ごし方について考える習慣を身に付け新しい日常にチャレンジすることを推奨しました。
PwCはチェンジマネジメント領域の専門性を有する社外組織という立ち位置で、独自のソリューションの知見(主にチェンジマネジメント関連)とフレームワークを活用することにより、主に創出される時間に対するマインド変革(①)やトライアルの分析・評価(②)などの面から本トライアルの推進を伴走型で支援しました。
一部のトライアル対象者に向けて、本トライアル中に推奨されている働き方に伴い創出される時間に対するモチベーションを喚起するため、自律的・意欲的な休暇の過ごし方に焦点を当て、自分らしさを認識し、休暇の過ごし方についてイメージがつくように探求させるワークショップを実施。
トライアルから得られた成果とその要因を分析するにあたって必要な、定量的・定性的な情報の整理と収集を実施(チェンジレディネスアセスメントの実施、トライアル対象者へのインタビュー実施、トライアル後のアンケート実施など)。
本トライアルの結果、トライアル期間(2024年12月)について、トライアル前との対比で生産性向上の目標を概ね達成することができました。
図表2:トライアル期間中の就業日数(全体)
図表3:トライアル期間中の業務成果
また、トライアル対象者が創出された時間を自主的に捉え、新たな日常にチャレンジしていることも確認できました。例えば、創出された時間を活用して子ども食堂などのボランティア活動に参画するきっかけとなった、毎週金曜日の午前中はヨガに挑戦するなど運動を習慣的に取り入れるきっかけとなったなどの実体験をトライアル対象者から伺うことができました。これらのきっかけを通して、業務時間での集中力向上が得られただけではなく、従業員同士の交流も深まり業務内でもネットワークを活用する機会が得られたことが確認でき、結果として創出された時間の過ごし方が業務時間削減・業務成果の向上へ寄与していたケースが多く見られました。
第一の成功要因として、本取り組みの浸透(理解・共感)が十分であったことです(対象組織の約97%が「取り組みの意図/目的を理解している」とアンケートに回答)。対象組織の本部長(組織長)がトライアル推進チームのリード役を担い、マネージャーも含めて日頃からトライアルに関する積極的なコミュニケーションを行い、新たな日常にチャレンジするきっかけづくりのための従業員企画※2にも参加して模範となる働き方を示していました。
(対象組織の約85%が「本取り組みの実行に必要な指導やサポートを受けることができる」とアンケートに回答。また、マネージャー層ではアンケート回答者の100%が勤務時間の減少と業務成果の向上が結果として得られたと回答しました)
第二の成功要因として、対象組織の業務プロセスと仕事の進め方に適した業務効率化・高度化施策のデザインに取り組んだことです。一般的に生成AIに代表される新技術が登場した際、それ自体がもたらす効果・効能に関心が高まりますが、実業務における大きな成果を望むのであればその新技術の特性に合わせ業務デザインを見直すことが重要成功要因となります。本トライアルでは会議様式について「全会議録画、全会議AI適用」を新たなルールとし、その上で「非同期会議※3」を組織として強く推奨しました。その結果、多くの会議参加者が「時間」や「場所」に制約されず会議の要点を掴むことができるようになり、業務効率化を図ることができました。事前に入念なPoCをデザインし、大きな成果をもたらす技術の適用範囲、業務デザインの修正、期待効果をスコーピングして施策を設計していました。
第三の成功要因として、個人とチーム・組織の生産性向上に向けたマインドの醸成の動機づけとなる組織カルチャーや人材マネジメント(マインドの醸成を動機づける評価・処遇制度など)の仕組みが整備されていたことです。そして、会社から従業員に対して生産性向上の施策を提示するにあたり、浸透には主に2段階のマインド醸成が必要であると捉えています。
1段階目は、個々人が自ら成果向上の方法を考えて実践する「自律的」なマインドの醸成です。本トライアルでは、アンケート回答者の100%が仕事で使うツールやテクノロジー(生成AIなど)を不自由なく使えていたため、デジタルリテラシーは高い状態が担保できていました。また、アンケート回答者の約93%はさまざまな情報に対し感度高く自分事として捉え決断しており、さらに回答者の約90%は、自身の成果を定量・定性的に把握し、成果を高めることを意図的に行っていました。このことから大半の対象者は自律的に動くことができ、成果にコミットできる状態であったことがわかります。
2段階目は、生産性向上の取り組みについて個々人の範囲にとどめず、チーム内に波及させ共通理解を構築する「連携・協業」のマインド醸成です。本トライアル対象組織内の各チームに連携・協業の状態をアンケートしたところ、他者への率直な発言や、迅速な情報共有が「できている」と回答した人の割合にチーム間で約17ポイントの差が生じていました。そして、「連携・協業」が進んでいるチームの方がより多くの成果を創出していることが確認できました。
生産性向上や残業抑制が求められている中、ツールや制度は重要であるものの、多くの企業がツールや制度を導入することのみにとどまっているように見受けられます。本トライアルの結果を踏まえると、生成AIの導入や人材マネジメントなどの制度・ルールだけでなく、以下3点がFour Day Workweek Approachの働き方を実現するうえで欠かせない要素であると考えられます。
会社と従業員の双方にとってWin-Winな働き方を実現するための変革の推進に私たちが貢献できることを願っています。
※1 For Work:仕事のやり方や自己啓発の観点、For Life:ライフデザインやファミリーケアの観点、For Society:社会貢献や地域活動の観点
※2 従業員企画:For Work, For Life, For Societyの観点で対象組織の社員が自らアクティビティを企画、運営(例えば、ヨガ教室、生成AIで遊ぶ企画、ボランティア活動など)。
※3 非同期会議:ある会議の内容/進捗には関心があるが、リアルタイムに参加する必要がない場合の選択肢として強く推奨。AI要約やAIとの対話を活用し実会議時間との比較で時間の有効化が大きく期待できる。
PwCコンサルティングは、Salesforce Japan Partner Award 2025におけるJapan Partner of the Year - Net Zero Cloudを受賞しました。
PwCは給与維持型の週4日勤務制度のソリューション「Four Day Workweek Approach」を提唱しています。本稿では、組織成長と業務時間削減を両立するための7つのポイントを紹介します。また、生産性が高い働き方・仕事の進め方へのシフトする方法について、日本マイクロソフトでのチェンジマネジメントの事例を交えながら紹介します。
PwCコンサルティング合同会社は、SAPビジネスにおいて極めて高く評価されたパートナー企業および個人に授与される『SAP AWARD OF EXCELLENCE 2025』において「SAP® Business Technology Platformアワード」を受賞しました。
PwCコンサルティング合同会社は、2024年9月7日付でSAP導入コンサルティング事業を営む株式会社ユアパートナーのSAPコンサルティング事業を譲り受けたことをお知らせいたします。