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生成AIはどのように政府を変革するのでしょうか。私たちは期待と不安をもって生成AIの動向を見守っています。私たちが政府機関の在り方を考えるときに大切にしているのが「住民第一」という言葉です。パブリックガバナンスの中心には住民がおり、住民のニーズをつかむ際に、生成AIを活用することで共生社会、バリアフリーアクセス、高度なパーソナライズ対応、背景や事情をよりきめ細やかに考慮することができるようになると信じています。ガバナンスを高めながら個別対応をより高度に実現する――。これは一見すると矛盾しているようにも見えますが、統制と個別化を実現するうえで有効な手段となりえるのが生成AIであるととらえています。
日本の状況に目を向けると、政府は「2040年頃に迫りくる我が国の内政上の危機」として以下の①から③を議論しており、自治体基幹システムの標準化など、具体的な施策の検討がはじまっています。デジタル自治行財政改革会議における論点もこれらの課題に根差しているものととらえています。
①若者を吸収しながら老いていく東京圏と支え手を失う地方圏
② 標準的な人生設計の消滅による雇用・教育の機能不全
③ スポンジ化する都市と朽ち果てるインフラ
危機を乗り越えるために必要となる新たな施策がアプリケーション、自治体行政がOSと位置付けられています。また、アプリケーションの開発を進め、アプリケーションの機能を最大限発揮できるようにするために、OSを書き換えることが構想されてきました(「自治体戦略2040構想研究会 第二次報告 ~人口減少下において満足度の高い人生と人間を尊重する社会をどう構築するか~」2018年7月 自治体戦略2040構想研究会)。
生成AIはアプリケーションを構成する要素として不可欠であり、パワフルな役割を果たすと考えています。生成AIに対する期待と不安を具体化するために、PwCコンサルティング合同会社は、一般財団法人行政管理研究センターの公務部門ワークスタイル改革研究会における「AIガバナンス自治体コンソーシアム」の設立を支援し、事務局としてその運営を推進しています。
危機を乗り越えるために必要となる新たな施策の推進、アプリケーションの開発と提供、自治体行政、OSの書き換えには自治体職員の活躍が欠かせません。そのためには、自治体職員が、不安なく正々堂々と生成AIを使いこなす、住民第一の行政サービスを提供することができる状況を作ることが欠かせないと考えました。そこで、私たちは自治体職員が内部事務にAIを活用して行政サービスを提供する場合を想定したガイドラインを作成しました(2025年1月公表予定)。
ガイドラインの作成にあたっては、総務省「AI事業者ガイドライン」を補足する構成としています。筑波大学の岡田幸彦教授の指導のもと、世界各国のAIに関する法令・制度の動向、都道府県・市区町村が公表されているAIに係る倫理宣言および利用原則を理解したうえで、AIガバナンス自治体コンソーシアムの会員である大阪市、つくば市、横浜市、名古屋市、横須賀市などの関係者と連携しながら、自治体職員のための、その先の住民第一を実現するためのガイドラインの作成を進めてきました。こうした活動が次世代の政府機関の在り方を具体化する1つの礎となることを願っています。
本稿では、政府機関に生成AIがもたらす可能性と課題について、国家単位でデジタルガバナンスの取り組みを進めるインドの事例を交えながら解説しています。単なる海外事例の紹介に留まることなく、日本の政府機関の変革を推し進める一助となれば幸いです。