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過去10年で地政学リスク環境は様変わりしました。2010年代には、習近平政権やトランプ政権誕生を背景とした米中間の覇権争いやデカップリング、ポピュリズム台頭や英国のEU離脱など、世界各地で国家間競争や国内政治混乱が広がりました。
2020年代に入り、世界はさらに大きな衝撃に見舞われます。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックやロシアのウクライナ侵攻を受け、各国・企業は、重要物資の供給の断絶や囲い込みに直面しました。この経験を教訓に、「経済的な自律性」や「不可欠性の確保」が、国家や企業の戦略上の重要テーマとなっています。
一方で、ロシアのウクライナ侵攻は、サイバー攻撃と物理的な攻撃の両方を駆使している点で、近年の地政学リスクがデジタル空間に及ぶことを象徴しています。
伝統的な軍事的手段に加え、デジタル技術を中心とする経済的手段によって自国の戦略的目的を達成しようとする動きも活発化しました。そして、これに対抗するためにも、経済と安全保障を融合させた「経済安全保障」の重要性が注目されるようになりました。
こうした現状を踏まえ、PwCは、「2022年最新地政学リスク―ロシアによるウクライナへの侵攻で激変する国際情勢と企業への影響」と題し、経済安全保障の主要な担い手となった企業が、自社をとりまく地政学・経済安全保障リスクをどのようにとらえ、対応していくべきか検討する材料となる論考を公表しています。
今後注目すべき地政学・経済安全保障リスクを把握するため、まず、世界情勢の方向を定めるトレンドとして、「大国間競争の深刻化」「世界経済の細分化」「イデオロギーの経済争点化」の3つを特定しました。
この3つの大きな流れを踏まえ、今後1年程度で注目すべき10のリスクを紹介し、クライアントのプロジェクトの事例紹介も交えながら、企業が行うべき対応を論じています。
また、ロシアによるウクライナ侵攻を経て激変する地政学リスク・経済安全保障環境への意識および企業対応実態を定量的に把握するため、2022年8月に実施した企業サーベイの結果に基づいて、日系企業が注目する地政学リスク事象や、それらに対して行っている対応などのトレンドを紹介しています。
最新調査では「最も懸念される地政学リスク」の上位が大きく変動し、「サイバー脅威」が前年から倍増して首位になったほか、「エネルギー需給への懸念」が前年圏外からTOP3にランクインするなど、ウクライナ有事の影響が色濃く表れています。
1年前に実施した前回調査と比べても、地政学リスクへの具体的な検討と対応が進む実態が明らかになっており、経済安全保障・地政学リスクへの取り組みに対して示唆を与えるものとなっています。
このほか、2022年5月に成立した経済安全保障法、懸念が高まっている台湾有事、中国事業に関するリスク認識や対応状況などに関する質問の回答についても解説しています。
ぜひご一読ください。