{{item.title}}
{{item.text}}
{{item.title}}
{{item.text}}
PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)では、2022年6月27日~29日の3日間にわたって、メタバースによる社員向けイベントを開催しました。イベントの目的は次の3つです。
本イベントを企画・実行することを、「社員を対象としたメタバースの実証実験」と位置づけ、実施のプロセスや事後の社員アンケート調査から得られた気づきや課題、示唆について紹介します。
VRイベントへの次回参加意向を見ると、VRゴーグルを用いて参加した人の約96%が「次回も参加したい」と答えています(「ぜひ参加したい」と「どちらかといえば参加したい」の合計値。図表1)。
VRゴーグルを使用した講演参加者の体験価値の評価では、「リアル>VR>オンライン」の順となりました(図表2)。
また、メタバースに対して、「時間的制約からの解放」や「イベント感想の共有」といった、リアルイベントの課題を補完する点やリアルにない体験価値の点でポジティブなコメントもありました(自由回答)。
このことから、リアル+VRの「ハイブリット開催」というイベント形式によって総合満足度が高くなる可能性があります。
「社内戦略に対する理解度の変化」についての調査結果を要素分解して評価したところ、「内容理解のしやすさ」というポイントについても、メタバースイベントの有効性が示唆されています(図表3)。
この結果は、通常のオンラインのイベントにありがちな「他の作業をしながらの参加」が、VRゴーグルを装着してイベントに集中せざるを得ない環境に置かれたことで生まれたのではと予測できます。いわゆる、「ながら視聴」の強制的な排除が起きたと考えられます。
近年、オンラインイベントやオンライン会議が増加しており、他の作業をやりながらイベントなどに参加することが多くなっています。従業員の集中力や興味を強制的に向けさせるという意味で、VRゴーグルは効果的な可能性があるといえるでしょう。
今回の社内イベントに関して、会社や経営陣に対して好感を持った人の割合は、VRゴーグルを使用した参加者が最も高い結果となりました(図表4)。
好感の持てる理由としては、「先進的な取り組みをしていること」「他社にない取り組みであること」「イベント自体の話題性」を5割以上の社員が挙げています(図表5)。
VRゴーグルのセットアップに関しては、現状複数の課題が存在します。その1つが「VR酔い」です(図表6)。
デバイス側の進化に期待しながらも、複数デバイスの併用を前提としたイベント設計が必須と考えられます。
そのほか、約46%が「設定するものが多く時間がかかった」と答えており、また約31%が「操作の仕方や設定の方法が分かりにくかった」と回答しました(図表6)。
現状、マニュアルを確認するときはVRゴーグルを外して参照しなければならないという不便さがあります。しかし、マニュアルをゴーグルの中に取り込めれば(VR上で見ることができれば)、使い勝手は大きく変わる可能性があります。
今回のゴーグルは希望者への無償貸与という形で行われましたが、入手を希望しなかった社員の理由として、「個人情報の共有や連携が不安」という声もありました(図表7)。
セキュリティやプライバシー問題については、今後プラットフォーム側で機能アップデートがあり、個人のSNSアカウントではない専用のアカウントで使えるようになることで解決される見込みです。
今回のイベントは、各種制約から一方通行のイベントで、ライブイベントや事前収録のものを参加者が視聴するというスタイルで開催されました。
メタバースを活用することにより、感想やリアクションの共有などを視聴者同士で行うことはできましたが、それを登壇者や講演者に伝えるようなコミュニケーションはできませんでした。その点を、体験上の課題として挙げる意見が一定数ありました(自由回答)。
最後に、メタバースの今後の可能性について尋ねた質問の結果を2つ紹介して、本稿のまとめとします。
VRが自身の働き方や仕事に与える影響については、VRゴーグルを用いてイベントに参加した人のほうがポジティブな評価をしていることが分かりました(図表8)。
具体的な影響としては「海外を含めてバーチャルな共同作業・共創が可能になることへの期待」や、「VRを用いることでの社会課題解決の可能性」などが挙げられています(自由回答)。
しかしながら、ポジティブな感触を得ながらも、具体的な活用イメージについてはより深い検証が必要といった意見も散見されます。
メタバースの活用事業領域についての質問については、多数の事業領域での活用イメージが湧いたという結果が確認できました(図表9)。
今後メタバース的な体験が普及していくのに応じて、よりその活用分野が広がってくる可能性を示唆するものといえます。「実際にメタバース体験をすることで、多数の領域で活用イメージが湧くのでは」という私たちの初期仮説が検証できた結果となりました。
PwCコンサルティングでは、社員を対象としたメタバース実証実験の一環として、VRゴーグルを用いた社内イベントを実施しました。発展途上のテクノロジーのため、今後の発展への課題は大きいものの、総じてビジネス活用の可能性を感じるものとなりました。
また、本調査(自由回答)では、今回のイベントがきっかけでメタバースを使い始める人が複数いたことからも、本件のように何かしらのきっかけがあれば、メタバースの利用は拡大・定着する可能性があると思われます。
さらに副次的な効果として、「先進的な取り組みをしている」などの理由から会社・経営陣への好感度が高まるとともに、具体的な活用領域のイメージが想起できた点からも体験として有益だったと考えられます。
PwCコンサルティングでは、今後もこうしたメタバースに関しての取り組みで経験を積み重ね、クライアントへの提供価値を高めていきます。