2022年の炭素強度削減率は、世界平均で2.5%と、2021年の0.5%から著しく改善しました。これは2001年以降で4番目に高い削減率です。しかし温暖化を1.5℃に抑えるというパリ協定の2050年目標の達成に必要な脱炭素化率17.2%に比べると、まだ約7倍の開きがあります。
脱炭素化率を高める必要がある
脱炭素化率をこれまでの7倍にする必要があります。
PwCの「ネットゼロ経済指標」は、エネルギー関連のCO2排出量の削減と経済の脱炭素化の進捗状況を示す年次指標です。今回で15回目の発表となります。
2022年に世界が達成した脱炭素化率は、わずか2.5%でした。世界の平均気温の上昇を産業革命前と比較して1.5℃に抑えるには、今や前年比で17.2%の脱炭素化が必要です。この脱炭素化の速度は、現在の7倍です。これは確かに驚くべき数字でしょう。しかし分析の結果、2022年は再生可能エネルギーの導入が急増したことも明らかになりました。すなわち、市場主導型の移行が加速する可能性が増大しつつあると言えます。COP28では、議長国が2030年までに再生可能エネルギー容量を3倍にすることを求めました。また、民間企業でも、ネットゼロ実現に向けた対応が取締役会の議題として取り上げられるようになってきています。脱炭素化への取り組みを拡大する機運は高まっているのです。
本レポートは、野心的なネットゼロ目標を達成するためには、早急に行動を起こす必要があることを改めて指摘する内容となっています。2023年は、企業、資本市場、そして競争が持つ真の力が解き放たれ、画期的なイノベーションの創出、排出削減量の増加、人々の行動様式の変化に拍車がかかる1年になる可能性があります。しかしそのためには、民間部門が投資を拡大できるよう、国家間においても国内においても、外交と内政の方向性を明確に一致させる必要があります。
希望があっても対策が不十分では手遅れになりかねません。ネットゼロ経済への早急な移行が必要であることに、もはや疑問の余地はないでしょう。そして手遅れになる前に行動するには、2023年が最後の年になるかもしれません。
世界が今の7倍の速度で脱炭素化を進めていく必要があるのは事実です。でも、だからと言って諦めるのではなく、早急に行動を起こすべきです。全体的なペースは急いで押し上げなければなりませんが、企業と政策立案者が足並みをそろえれば、劇的な変化を起こすことも可能です。一部の地域では、風力発電や太陽光発電の導入が急速に進んでいます。これは変化の可能性を示唆するものです。世界は炭素排出量と経済成長のデカップリングを目指しており、今私たちはその流れを大きなうねりとしていかなければなりません。
PwCは、「ネットゼロ経済指標」を通じて、世界の脱炭素化の進捗状況を追跡しています。パリ協定では、多くの国が取り組みを加速するというコミットメントを表明しました。しかし今回の調査から、2023年に世界全体で達成された脱炭素化率はわずか2.5%であったことが明らかになりました。
産業革命前に比べて世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えるには、現在から2050年までの間、毎年17.2%の割合で脱炭素化を推進していかなければなりません。
これは現在の7倍という驚異的な数字です。
一方で、明るいニュースもあります。2022年は再生可能エネルギーによる発電量が劇的に増加しました。この流れは今後も加速させていく必要があります。
こうした結果を踏まえ、企業には、本レポートのデータを検討し、それが自社の組織や事業を展開する国にとってどのような意味を持つのかを考えてもらいたいと思います。ぜひ取締役会において、また取引業者との対話の場で、本レポートの分析結果を活用し、より迅速かつ抜本的な行動を起こしてください。
人類が直面している課題の緊急性を考えると、気温の上昇が1.5℃に抑えられた未来を実現するには、より大きなスケールで協力していくことがこれまで以上に重要になります。
PwC英国 グローバル・クライメート・リーダー Emma Cox
脱炭素化率をこれまでの7倍にする必要があります。
脱炭素化率は、COVID-19拡大以前の水準にほぼ戻っています。
G7とE7では脱炭素化の進捗の度合いが異なります。
世界では経済成長とエネルギー消費が徐々に切り離されつつあります。
2022年は再生可能エネルギーの導入が急増しました。
ネットゼロ達成に向けた投資でビジネスチャンスが拡大します。
燃料係数やエネルギー強度を含むPwCのメソドロジーと主要評価指標の詳細については、以下の各項目をご参照ください。
※本コンテンツは、Net Zero Economy Index 2023を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。