生成AIによる価値創出への道――「フライホイール」(はずみ車)を回し続ける

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  • 2024-10-10

生成AIならではの価値創出の道をいち早く切り開き、持続的な勢いを生み出すために、企業は、生成AIの活用体制をいかに構築できるのか

最新の生成AIがもたらす破壊的創造の大いなる可能性は、産業界全体に衝撃を与えています。PwCが今年初めに発表した第27回世界CEO意識調査によると、生成AIによって自社の価値創造、価値提供、価値獲得のあり方が今後3年間に大きく変わると予想するCEOは、全体の70%に上ります。すでに何らかの形で生成AIを導入済みの企業のCEOのうち、3分の2以上が、導入によって幅広い技術戦略が変化したと答えています。

また、これとは別に、PwCと、PwCネットワークにおいて戦略コンサルティングサービスを担うStrategy&が継続的に実施している調査で、潜在的な影響は業界ごと、企業ごとに大きく異なることが分かりました。潜在的に予測される生成AIの価値について分析したところ、この技術を現行の経営モデルに適用した場合、ソフトウェア会社であれば利益率を約20ポイント高めることも不可能ではないことが示唆されています。運輸や物流など、利益増加率がかなり小さいと予測される業界であっても、1ポイント増の可能性に賭けてみる価値は確実にあります。

もちろん、こうした数値は、生成AIを現行の経営モデルに適用するという想定のみに基づいたものであり、生成AIツールの開発・運用コストや競争状況が変化する可能性は考慮されていません。それでも、潜在価値が予測される範囲の中で最低水準にとどまったとしても、こうした生産性向上は市場の期待が大きく動くきっかけとなります。その結果、一層のイノベーションや破壊的創造、再創造が促進され、価値創造のまったく新しいモデルにつながる可能性があります。

この変革の勢いを継続させやすい業界とそうでない業界があります。企業が生成AIに取り組む際、どこに注力すれば最も生産的な成果につながるのでしょうか。これを見極めるために、私たちが着目したのは、抜本的な変革の初期に見られるメカニズム、「フライホイール」(はずみ車)です。

フライホイールは、本来の用途である製陶用の「ろくろ」に始まり、Amazonの電子商取引の仕組みに影響を与えたコンセプトに至るまで、多岐にわたって利用されています。しかし、いずれの場合も、静止状態から回転の勢いをつけるためにはそれなりの力が必要です。ひとたび回転に勢いがついて好循環が始まれば、そこからは新しいエネルギーを加えるたびに勢いが増していき、小さい労力でも加速するようになり、エネルギー(ビジネスで言えば、知識、経験、能力)の保存と伝達の両方が促進されます。時間の経過とともに勢いが増していくため、価値の創造(と獲得)のコストが低減する可能性があります。

企業のリーダーがこのフライホイールの力を生かせば、生産性の向上や変革的な再創造をめざして、自社を有利な地位に置くことも可能です。しかし、生成AIの効果は、単なる利益の拡大にとどまらず、はるかに広範囲に及ぶ点を忘れてはいけません。つまり、責任あるAIという考え方(言い換えれば、経営上の意思決定が社会に広く影響を及ぼす点を踏まえた考え方)は、ビジネスのどの段階にも適用する必要があるのです。

生成AIの価値実現のためのフライホイール

生成AIが創造する価値は、どの業界でも享受できます。企業は、以下に示すフライホイールのコンセプトに従って生成AIの導入の優先順位を決めていけば、時間の経過とともに価値創造を加速させる活動に専念できます。この結果、生成AIの価値やメリットの獲得、実現、最大化に有利な地位を確保しやすくなります。

ここからは、企業のリーダーが生成AI導入を進める際に、フライホイール方式の各段階を指針として生かす方法を解説します。

1. 価値仮説を設定

価値仮説とは、特定の生成AIアプリケーション導入による潜在的なビジネスバリューと、予想される困難について、最初に戦略的な視点から評価しておく作業を指します。その際、自社の目的や価値観、現在の財務体質、業務内容、広範なビジネスエコシステム、競争状況や規制状況などの要因について情報をそろえる必要があります。その後、進捗状況を評価しやすくするために、この価値仮説と、業界での長期的な価値上昇の可能性の分析とを比較して大まかなベンチマークを設定します。

生成AIについてごく短期的な価値仮説は、効率性に根ざしたものになります。PwCの世界CEO意識調査では、打ち合わせやメール処理などの定型作業に費やす時間の最大40%が非効率的と考えられていることが明らかになりました。生成AIを生産性向上に生かす考え方は、戦術的にも戦略的にも筋が通っています。しかし、価値仮説について考える際、さらに多くの時間やリソースが必要となる大がかりな再創造という、もっと大きな成果も視野に入れておくことが大切です。

1世紀前、ヘンリー・フォードが残したとされる言葉によれば、世の人々がまだ「もっと速い馬」を求めていた時代に、彼は「T型フォード」(最初の量産自動車)を売り出しました。これを今日に当てはめてみると、初期段階にある生成AIのユースケースは、現行のソリューションや仕事の進め方をどう効率化するかという点を重視しがちであり、まさしく「もっと速い馬」を求めている状態なのです。このような考え方でも、フライホイールの枠組みを使って価値を高めることは可能ですが、その先にもっと大きな目標があることを忘れてはいけません。わずかな改善に躍起になるのではなく、新たに現れた選択肢を踏まえて、最良のソリューションとは何かを白紙の状態から考え直すことの方が、ほとんどの企業にとって大切です。2~3年経って気づいたら、技術的負債やプロセス負債という大問題に陥っていたということのないように、将来の価値を見定め、初期の生成AI戦略を策定する際には、重要な破壊的創造や再創造をもたらす長期的な可能性をしっかり見据えておく必要があります。

2. 主要ユースケースの優先順位付け

生成AIにはさまざまなユースケースがありますが、先に設定した価値仮説を指針に考えれば、バリューチェーン全体で最大の利益をもたらす可能性が特に大きいユースケースを特定しやすくなります。こうすれば投資リターンを明示しやすいだけでなく、PoC(概念実証)にも寄与することから、将来の構想について主要ステークホルダーから賛同を集めやすくなる効果も期待できます。

産業界全体で見ると、生成AIのユースケースのトップ5だけで、この技術がもたらす価値全体の50〜80%を占めています。

PwCが産業界全体を対象に生成AIのユースケースを調べたところ、数百種類に上ることが分かりました。また、分析対象の企業は、それぞれに固有の特殊事情、課題、機会があり、さらには生成AIツールのトレーニングに自社データをどのように使うのかも各社各様と考えられます。当初の分析の結果、産業界全体で想定される生成AIのユースケースのうち、トップ5のユースケースだけで、生成AIがもたらす価値全体の50~80%を占めることが分かりました。言い換えれば、この5つのユースケースを特定して、そこに注力することが理にかなっているのです。

例えば、ラグジュアリー業界では、顧客一人一人に個別化された体験を大きな規模で実現することが究極の目標とされてきました。それが生成AIのおかげで、購入履歴やコンテンツの好み、本人が望む名前の呼び方に基づくパターン認識分析を駆使すれば、ラグジュアリー商品を求める消費者ごとに極めて高度に個別化されたマーケティングを展開できるようになります。これが顧客サービスの差別化要因になり、収益拡大に大きく貢献する可能性があります。また、ソフトウェア開発の分野では、すでに生成AIを使ったプログラミングアシスタントが生産性向上と収益アップに寄与しています。人間のプログラマーは監督と品質管理に専念し、プログラムの大部分は生成AIが作成するようになっているのです。

もちろん、同じ業界内であっても、企業ごとに最も価値のあるユースケースは異なります。自社にとっての生成AIの潜在的な価値を評価する際には、下図に示す7つの重要ポイントについて、ユースケースがもたらす効果と、逆にユースケースが受ける影響の可能性に注目することが大切です。

生成AIのユースケースを評価する重要ポイント

生成AIのユースケースが持つ真の潜在的な価値を理解するためには、単に財務予測に終始することなく、見込まれる破壊的創造の度合いや導入の相対的な難易度も考慮することが重要です。

3. 規模拡大のためのパターン探索

最大の価値を創造するためには、通常、生成AIの改良と焦点合わせが必要になります。すぐに使えるように事前設定されたモデルでも、一定のユースケースであればしっかりとした成果を出せるはずですが、自社の独自データを組み込み、さらに焦点合わせやセキュリティを目的としたガードレールを追加したり、核となるツールの機能や正確性を高めるプラグインを追加したりすれば、妥当性の面でも効果の面でもはるかに大きな力を発揮してくれます(実際、PwCでは、社内用の生成AIツール「ChatPwC」にこうしたカスタマイズを加えています)。

生成AIツールは、この初期のモデル改良段階が完了すれば、多くの場合、同様の用途に素早く転用できます。これを「パターン」と呼びます。既存の生成AI導入環境にわずかな作業を加えるだけで他のユースケースにも転用できる分野が存在します。こうした分野に関して、技術戦略責任者をはじめとする企業幹部の水平思考を後押ししてくれるのがパターンなのです。

生成AIのユースケースに共通する6つのパターン

1つのAIモデルで、複数業務への適用や調整が可能ですから、あるユースケースに生成AIのパターンが適用できれば、似たようなユースケースにも展開する道が開けます。

全てのパターンが同じレベルの能力を秘めているわけではないのです。PwCによる調査の結果、まったくの白紙状態からの創造や、既存物の拡張は、生成AIの価値全体の50%以上を占める可能性がありますが、データやインテグレーションへの先行投資を増やす必要があるだけでなく、これを支援する業務やプロセスの変更も必要になることから、実際に成果が得られるまでには時間がかかる可能性があります。生成AIの潜在的な価値のうち、初期の生成AIサービスが知られるきっかけとなった、要約や対話(Q&Aチャットボット)のパターンに依存しているのは、わずか15%ほどに過ぎません。

生成AIの潜在的な価値のうち、初期の生成AIサービスが知られるきっかけとなった、要約や対話(Q&Aチャットボット)のパターンに依存しているのは、わずか15%ほどに過ぎません。

どこに注力すれば価値を最大限に引き出せるのか判断するうえで、パターンを特定することが非常に有効です。ある大手通信サービスプロバイダーの法務部門では、生成AIの深層検索能力を活用すれば、何千件にも及ぶ標準化されていない契約書から主要情報を拾い出し、将来の契約書作成支援に役立てられると気づきました。そこで、まずは、はるかに迅速に価値を獲得できると思われる商業契約の機能に注力しました。自社固有の契約分析用生成AIモデルの開発作業が完了すれば、あとは調達契約、不動産契約、雇用契約といった用途別に調整できるので、最小限の作業だけで価値を最大限に引き出せます。

4. 基盤となる生成AIツールの選択

規模拡大に向けてユースケースとパターンを特定したら、最適な生成AI基盤技術の評価と候補リストアップの作業に着手します。ここで大切なのは、将来的にありうる技術的負債を予想し、これを回避することです。技術的負債とは、さまざまなプロセスに対応するために複数の生成AIツールを連携しないまま使う非効率な状態など、対症療法的な技術投資ゆえに長期的には制約が生じ、最終的に変更のコストを強いられる状況を指します。何よりも必要なのは、生成AIの頑健性を追求しつつ、採用可能性や適応性にも配慮しながら、規模の拡大と持続性のあるビジネスの成果を実現していくことです。

まず、適切な生成AIの基盤モデルと、これを支える各種技術、クラウドプラットフォーム、サービスプロバイダー、パートナーの選定に着手します。OpenAIのChatGPTやGoogleのGemini、AnthropicのClaudeなど、不特定多数がアクセスする生成AIモデルが適しているユースケースもあります。逆に、取り扱いに注意を要する業務情報であれば、管理が徹底された環境下で、もっとセキュリティを強化した非公開型のモデルが必要になるはずです。自社の特定業務の詳細な知識を基にした法律文書や提案依頼書(RFP)の草案作成、個人情報へのアクセスが必要な個別化サービスの提供、製品・サービスのイノベーションの支援など、特殊性の高い用途では、企業や分野に固有の知識を利用する必要があります。これは、検索拡張生成(RAG)を利用するか、必要に応じて自社の基盤モデルを微調整することで、独自開発をすることなく、基盤モデル内で対処できます。いくつかのケース、特に製薬会社や化学メーカーの研究開発のようなケースでは、所期の成果を上げるために、まったくの白紙状態から独自にモデルを開発し、トレーニングするところから始める必要があります。

5. 既存の価値を最大化するソリューションの明確化

次のステップは、価値最大化につながる目的特化型のソリューションにするために、基盤ツールに何を追加すればいいのかを明らかにします。多くの企業の場合、ツール類をそろえるだけでは市場での差別化につながらないため、ここに独自データを加えることが成功の鍵となります。しかし、一方で、そのようなデータ利用は、ガバナンスやリスク管理の面で新たな問題を引き起こし、開発・導入コストの大幅増を招きかねず、本来なら有望なはずのソリューションの総合的な価値を弱めてしまう可能性もあります。

最小の努力で最大の価値を引き出せるソリューションを特定するためには、パターンに着目した水平思考が重要です。典型的な例が、生成AIチャットボットです。自社の製品・サービスのマニュアル類を分析して、顧客サービスへの問い合わせの自動対応を支援する生成AIチャットボットの開発を完了させれば、あとは簡単な調整作業だけで、顧客対応担当者が直接対応する際の支援に適合させたバージョンを作成できます。ここまで来れば、営業部門やトレーニング、製品開発を対象とした社内向け生成AIアシスタントを開発することもそれほど難しくはありません。こうしたユースケースが増えても、個別に見れば、収益に大きな影響を与えるわけではありません。しかし、このような形で生成AIソリューションを上乗せしていけば、勢いを追い風にできます。

6. コストとカーボンに対する影響を評価

価値創造につながりそうな道筋を描くことができたら、開発・導入のコストを算定し、先に進めるかどうかを判断します。多くの企業の場合、初期の生産性重視のユースケースは、コスト効率に焦点を当てることになり、既存の仕事の進め方を自動化したり、拡張したりする形で利益率向上をめざします。生成AIのユースケースであっても、本格的な規模のビジネストランスフォーメーションやイノベーション、再創造により、長期にわたってこれまでにない新たな収益を創出する可能性まで見えてくると、コストや効果の評価はますます難しくなります。

コストについては、単に財務面だけでなく、環境面はもちろん、評判面も含めた最も広い意味で考えます。例えば、生成AIに特定の作業を任せればコスト削減の可能性があるとしても、軽々しく人間をボットで置き換えれば、破壊的な、あるいはブランドが傷つくほどの反発を招きかねません。しかも、生成AIの出力について、人間の監督や検証が手薄になればリスク影響度が高まる恐れもあります。まだ初期段階とあって、生成AIの電力消費量のように、広く報道されているリスクが必要以上に喧伝される可能性もあります。PwCでは、生成AI利用がカーボン(温室効果ガス)に与える影響について、所要時間、使用プロセッサー数、プロセッサー当たりの消費電力、CO2換算トン数の排出係数の組み合わせを算定して分析しました。その結果、生成AIの定型的な利用はエネルギー集約的と言えるものの、効率化が広範に及ぶことから、他の排出源からの排出量削減にも寄与することが分かりました。

7. 開発・導入、テスト、学び

生成AIのように急激に進化する技術には、テストと学びが欠かせません。明確な管理と成功の評価基準を整えたうえで導入を展開していれば、どの導入事例にも学びの機会があります。そして、このようにして得られた教訓は、価値の獲得方法や将来の成果の測定方法など、今後の強化ポイントを特定する際に役立ちます。また、ツールやソリューションを社内の他部署に適用して規模を拡大する前に、リスクとガバナンスを再評価する際の参考にもなります。

この1年間にPwCが取ってきたアプローチを紹介しましょう。このアプローチでは、自社を「顧客第0号」と位置付けて取り組んできました。2023年春、PwCは、生成AI系スタートアップのHarveyと提携し、OpenAIのChatGPTを基盤モデルにしてHarveyが構築に着手していた税務・法務・人事向けソリューションを開発し、その実効性をテストしました。当初の実証実験段階で、社内チームは同ツールの深層検索・要約機能の有効性に即座に気づき、効果的な仕事の進め方を特定し、その機能を生かして、さらに改良を加え、ツールを強化しました。このツール導入は、当初こそ時間短縮という効率化のレベルでしたが、そこから進化し、旧来の業務モデルを脱却するための再創造に向けた継続実験のレベルへと発展しました。

8. 隣接分野への拡張に適応

フライホイールの最後の区分では、評価、開発、テストを通じて積み上げた知識と経験を生かし、幅広い用途に生成AIツールを転用するのに必要な調整を加えることができます。場合によっては、選定済みのソリューションを追加用途に合わせてカスタマイズする必要もあります。しかし、組織知が獲得できるおかげで、 PoC(概念実証)や初期の導入で学んだ教訓を基に、社内からの賛同が素早く得られるようになり、トレーニングと採用にかかる期間も短縮します。

ある世界的な大手飲料メーカーでは、この適応アプローチに従って、生成AI導入環境の規模拡張を進めています。当初は、部品故障につながりそうなパターンの特定をツールに指示することで、工場の予知保全に集中的に利用しました。その後、輸送・物流管理にも同じパターンを使い、同一アプローチを適応させることができるようになりました。さらにその後の用途では、生成AIで強化した精密農業で作物生産を効率化する新たなソリューションの開発にも乗り出しています。その結果、同様の生成AI活用型予測分析のツールやソリューションの適応・組み合わせによってシステム全体が可視化できるようになり、以前であれば開発に何年もかかっていたような規模でもサプライチェーンの端から端まで全体を計画する能力を持つに至りました。ただし、基礎となるパターンは全て同じで、同一ツールの上に各ソリューションが構築されています。つまり、プロジェクトが1つ増えるたびに、以前に比べてはるかに迅速に低コストで遂行されることになったのです。これは、同社がフライホイール方式の勢いを生かして、過去の導入事例に学び、ますます大きな価値への近道を見つけているからです。

生成AIがもたらす機会を捉える

フライホイールは、どこに価値があるのか特定し、これを最大化する一助となりますが、価値の源泉によって、実現しやすいかどうかには差があります。フライホイール方式がどの企業にも共通してもたらす最大のメリットは、生成AIを活用して新たな業務体制へと全社的に移行するうえで、継続的な学びと累積的な価値創造の好循環を確立できる点にあります。

当然、個々の企業の成否を左右する要因は、既存の技術スタック(事業目標達成に向けてそろえている技術の組み合わせ)、社風、国内の規制状況、競合の動きなど、多岐にわたります。特に重要な要因の1つに所属業界が挙げられますが、これについては今後の記事で深く掘り下げます。

生成AIのアプリケーションは、業界を問わず一定の業務機能で効果を発揮しますが、PwCの継続的な分析結果からまず見えてきたことがあります。それは、最大の価値を生む可能性は業界ごと、事業ごとに異なり、生成AI導入の難易度とそれがもたらす破壊的創造の可能性の組み合わせに依存するという点です。破壊的創造の大きな可能性を秘め、生成AI採用の障壁がほとんどない業界は、導入状況、価値創造、再創造のいずれの面でも、すでに高い水準にあります。他の業界でも、大々的な破壊的創造がもたらすリスクが比較的低い場合には、生成AIが重要な利益を生み、動きの鈍い競合を上回る重大な優位性の確保につながる可能性があります。

企業がフライホイール方式を生かせば、業界や発展段階を問わず、自社に最も効果的に価値をもたらす生成AIアプリケーションを迅速に特定し、導入成功事例の勢いに乗って、こうしたアプリケーションの規模を素早く効果的に拡張できます。

※本コンテンツは、『The path to generative AI value: Setting the flywheel in motion』を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。

主要メンバー

藤川 琢哉

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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近藤 仁

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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三善 心平

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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森 祐治

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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