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これまでの日本の医療は、医療提供側、つまり病院やクリニック、医療従事者の整備を進めることが、その充実・強化につながると捉えられてきました。しかし他産業において消費者や利用者の視点に立った製品づくり、サービスの見直しが進む中、医療・製薬業界にあっても、患者中心の取り組みが注目を集めています。患者を医療の中心に据えることで、患者の生活の質の向上が望めるのみでなく、患者が能動的に治療に参加するようになり、治療効果や疾患予後の改善なども期待できるからです。治療がより効果的に行われることで、医療財政の逼迫や医療従事者不足などの、課題解決への寄与も期待されます。
患者中心の医療をいかに実現するかを考える際、成功事例として検討に値する取り組みがあります。それは、個々の患者の特性や生活に即した個別化医療を、デジタルソリューションを活用して提供することです。個別化医療のためのデジタルソリューションは、患者の生活の質の向上や治療効果の改善をもたらすのみでなく、患者管理業務の最適化や患者コミュニケーションの円滑化によって医療従事者にも好影響を及ぼすことが期待できます。
いくつかの疾患領域においては既に、個別化医療のためのデジタルソリューションがもたらすメリットが明らかになっています。それらの成功例において、患者中心の医療を実現する、個別化医療のためのデジタルソリューションは、どのように開発・推進されているのでしょうか。
本レポートでは、血友病など希少出血性疾患における個別化医療のためのデジタルソリューション推進に向けた取り組みと開発のアプローチについて、PwCがタケダに行ったインタビューを掲載しています。さらにタケダとPwCは共同で、個別化医療のためのデジタルソリューションを成功させるためのポイントを検証し、それらのソリューションを希少出血性疾患分野においていかに活用するかを整理しました。
本レポートの最後には、個別化医療のためのデジタルソリューションを最大限に活用するために求められる医療データの共有について、日本国内の最近の動向も紹介しています。
本レポートでも度々触れているように、全てをゼロから始める必要はなく、既存の成功例を応用するのも、1つの方法です。日本国内において患者中心の医療を実践するに際し、本レポートの1つ1つの事例が参考となれば幸いです。
堀井 俊介
パートナー, PwCコンサルティング合同会社
山田 治美
マネージャー, PwCコンサルティング合同会社
ヴィリヤブパ プルック（エディ）
パートナー, PwCコンサルティング合同会社
船渡 甲太郎
パートナー, PwCコンサルティング合同会社
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