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PwCコンサルティングは、ピープルアナリティクスにおける企業の取り組み状況、人材マネジメントに関連する人材データの利活用に関して、日本企業151社を対象にProFuture株式会社と共同調査を行いました。今回の2022年度の調査結果、および2016年から継続している同調査より、近年のトレンドについて5つのFindingsを抽出しましたので速報版として紹介します(図表1)。
人材データの活用・分析の取り組み状況について「取り組みを実施している/実施した」「今後取り組む予定がある」と回答した企業は56%と、昨年度の54%からも2ポイント増え、年々増加傾向にあります(図表2)。また、産業カテゴリー別の取り組み状況は、「メーカー」が69%、「金融・保険業」が67%と高い活用度を示す一方、「インフラ系」では活用度が29%に留まり、カテゴリーに応じて取り組み状況に差異が見られます(図表3)。
以降のセクションでは、人材データ活用の取り組みの潮流と、進展傾向の文脈について説明します。
人材データ分析に用いるデータのうち、3年後に活用したいと考える度合いと現在の活用度の差は、20項目中16項目がプラスとなり、今後、人材データの活用・分析が拡大することで、活用するデータの種類も増加することが見込まれます。
この中で3年後に活用したいと考える活用度合いと現在の活用度の差が最も大きかったのは「ワークスタイル情報(社内コミュニケーション情報/業務ログ関連)」(それぞれ22ポイント/21ポイント)でした(図表4)。「パルスサーベイ」も19ポイントと差が大きく、今後のさらなる活用が求められていることがうかがえます。この背景として、リモートワークの普及といった働き方の変化や従業員の価値観の多様化に伴い、個々人のタイムリーな状況把握と即時的な打ち手の検討・実施のために、従業員のモニタリングに関わる人材データの活用が重視されていると推察されます。
また「スキル情報」(19ポイント)も今後の活用意向が高いと言えます。近年、ジョブ型制度の導入が浸透され、各ポジションで求められるスキル要件を明確化し、必要なスキルの分類・体系化をするスキルタクソノミー構築の取り組みが進みつつあります。スキルを中心とした適所適材の実現に向けて細分化・具体化されたスキルデータを集約し活用することが今後も重視されると考えられます。
なお「評価情報」「経歴情報」「勤怠状況」の今後の活用度は、現在と比べると減少が見込まれますが、3年後の活用を望む割合は依然として40%を超えており、今後も一定の活用が継続すると推察されます。
今後注力して使用したいツールとして、「BIツール」が37%と最も多くの回答を得ました(図表5)。一方で「表計算ソフト」(33%)や「人事基幹システムに付随しているツール」(35%)は、現在の活用度に比べて将来的な活用意向は限定的なものとなっています。
また「採用、配置、業務効率化等の特定の領域に特化したサービス・ツール」「専門的な統計分析ツール」「プログラミング言語」「データ処理ツール」は現在の活用度と比較して将来的な活用意向が強いことがうかがえます。
Finding 2で述べたように、今後扱うデータの種類が増加することが見込まれるため、データ利活用のために、データの状態を整備や加工処理を行うこと、目的に応じた分析の実施など、表計算ソフトでは耐えられない、高度で複雑なデータ活用が求められているため、活用したいツールの幅も拡大傾向にあることが考えられます。
人材データ分析の結果をどのようなユーザーに提供しているかを見ると、現在と今後の差異が最も大きかったのは、「マネージャー」(25ポイント)、ついで「従業員本人」(19ポイント)でした(図表6)。
労働環境や従業員の働き方の変化への柔軟な対応や実効性のあるマネジメントを実現する手段として、ワークスタイル情報やパルスサーベイなどを現場単位で管理・分析し、意思決定に繋げることが期待されていると推察します。また、ジョブ型制度においては、ビジネス環境やニーズの変化に柔軟に対応するため、職務基準に適した採用や異動・配置を現場主導で推進することが重要となります。現場主導での意思決定を実現するためには、必要なデータの提供は必須取り組み事項となります。また、従業員の目線からは、公募しているポジション情報を確認し、自律的にキャリア形成を図るための情報開示にも活用されます。
また、現在人材データ分析の結果を提供している対象は、「本社人事」が75%、次いで「経営層」が68%であり、これらの層を中心としたデータ活用が主流となっています。
将来的に人材データ分析の結果を提供したい対象としては「経営層」が74%と最も多く挙げられ、人材データ活用に関する経営層の関心度合は本社人事と同程度まで高まっている傾向にあります。人材データ活用に関する経営層の関心度や課題感も「非常に強い」と回答する企業が過去4年間で増加傾向にあり、前年度比では2ポイント増となりました(図表7)。
分析結果を経営層に提供することで、人材データ活用に基づく経営判断を促す考え方が浸透しつつあることが想定されます。
人材データ活用に向けて強化すべき要素として、「すでに強化に取り組んでいる」とする回答は、「人材データの集約化」(21%)「人事にかかわるニーズや課題の把握」(18%)に次いで、「データ活用に向けた意識改革」が前回5%だったところから今回17%と、昨年と比較して取り組みが強化されていることが分かります(図表8)。
「今後強化していきたい」とする回答においても「データ活用に向けた意識改革」が56%と最多でした(図表9)。「統計の専門的スキルを持った人材の育成」は前回7位(51%)から今回2位(54%)まで順位を伸ばしています。
データ基盤の構築状況も「すでに構築している」との回答は前回から22ポイントと大きく増加しており、データ活用に向けたデータプラットフォームの整備に実際に着手する動きが認められます(図表10)。このことから扱うデータの種類が多岐にわたる中で、効率的な分析の実施と結果の提供に向け、データを一元管理する動きが活発化していることがうかがえます。
Finding 4でも述べたように、今後データの活用範囲が経営層からマネージャー層、従業員本人などさまざまな層に拡大し、これまで以上にデータ活用に携わる人が増えると考えられます。ガバナンスや倫理に沿ったデータの取扱いに加え、勘や経験に基づく判断からの脱却を実現するためにも、人材の意識を変え、施策の浸透に向けた行動の変容、さらには専門的なスキルの向上を図る動きが強まっていると考えられます。データドリブンな組織を実現するため、基盤や環境・風土の整備に注力し始めていることがうかがえます。