
プライベート・キャピタルにおける世界のM&A動向:2025年の見通し
2025年のプライベート・キャピタルにおけるM&Aは、業界を統合するような取引や業界の再編によって2024年来の世界的に活発な活動が継続し、加速すると予想されます。
2021-06-30
ポストコロナを生き抜くためには、日本の経営者は従来にも増して変革のスピードを加速させることが緊要となります。地球環境・社会への課題に対応したサステナビリティへの対応、企業のグローバル化の進展に伴うガバナンス体制の構築、デジタルテクノロジー活用による変革といったこれまで取り組んできた経営課題の中でも、デジタル化の加速や迅速で質の高い意思決定はさらに重要視されています。また、東京証券取引所は2022年4月に市場区分の見直しを行う方針であり、変革に対する投資家や市場の要求水準もより高くなる傾向です。
こうした状況の中、迅速かつより深く変革を推進し企業価値を創造するプライベートエクイティの日本における存在感が従来にも増して高まっていることは必然といえます。プライベートエクイティは経営資源の投入が難しい大企業の非中核事業の活性化や後継者不在の事業承継問題に関しても効果のある処方箋となります。
本レポートでは、日本におけるプライベート・エクイティ・マーケットの動向として、投資動向、売却動向、ファンド・レイジング動向の3点について分析します。また、カーブアウトおよび事業承継に注目して、日本企業に向けたプライベート・エクイティ・ファンドの機会と活用の提言を行います。
2025年のプライベート・キャピタルにおけるM&Aは、業界を統合するような取引や業界の再編によって2024年来の世界的に活発な活動が継続し、加速すると予想されます。
金融サービス業はマクロ経済情勢や地政学的緊張による不確実性に引き続き直面しているものの、メガディールの復活とディール金額の増大に伴い、2025年にはM&Aが活発化するとの楽観的な見通しが広まっています。
AIブーム、テクノロジーとビジネスモデルの継続的なディスラプションに伴い、テクノロジー・メディア・情報通信(TMT)分野のM&Aは2025年も活発に行われる見込みです。
消費者心理はパンデミック後のインフレと金利の急上昇から完全には回復していないものの、消費者市場のディールメーキングは2025年に回復の兆しを見せ始めています。