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TOPIX100企業のうちSASB基準を活用している企業は、昨年度の調査結果に引き続き過半数(53社)となり、その約3分の2(34社)がSASB対照表を合わせて作成していました。
SASB基準のインダストリー別開示トピックが、TOPIX100企業のマテリアリティ分析で重要と特定される割合は76%となり、昨年度の調査結果71%から5ポイント増加しました。
TOPIX100企業が全面的もしくは部分的に開示しているSASB基準の指標は合計で50%となり、昨年度の調査結果42%から8ポイント増加しました。
2023年6月、IFRS財団の国際サステナビリティ基準審議会(International Sustainability Standards Board: ISSB)から、最初の基準となるIFRS S1号「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」およびIFRS S2号「気候関連開示」が公表されました。
ISSBの2つの基準では、ISSBと統合された価値報告財団(Value Reporting Foundation:VRF)が開発してきたSASB基準が参照されています。
2022年7月以降、日本ではサステナビリティ基準委員会(Sustainability Standards Board of Japan:SSBJ)が設立され、IFRSサステナビリティ開示基準の内容と整合性のある国内基準の開発を開始しています。これらの基準開発に関する進展は、企業のサステナビリティ情報開示に大きな影響をもたらすでしょう。
本調査の目的は、TOPIX100構成銘柄の企業の情報開示を対象に、各社の開示情報がSASB基準にどの程度適合しているかを調査することで、日本企業のサステナビリティ情報開示の現状と課題を明らかにすることです。
SASBのインダストリー基準がISSBの基準開発プロセスに組み込まれつつある中、SASB基準にどれだけ適合できているかを明らかにすること、つまりは今後策定されるIFRSサステナビリティ開示基準にどれだけ日本企業が適合できるのかを理解することにもつながります。そこで本調査では、現在、SASB基準の観点から日本企業がうまく対応できている領域と、さらなる改善の余地がある領域についての理解を深めることで、日本企業や投資家が、今後の基準の変化に適応するための情報を提供します。
今年度の調査でも、昨年度の調査結果と同じくTOPIX100企業の半分以上の企業である53社がSASB基準を活用しているという結果になりました。うち約3分の2に当たる34社がSASB対照表を作成しているという結果となり、昨年度の調査結果の23社から40%以上の増加となりました。
TOPIX100企業の開示情報では、SASB基準で示された開示トピックの76%がマテリアリティ分析において重要課題として特定され、昨年度の調査結果の71%から数値の上昇がみられました。
マテリアリティ分析では、企業が独自の方法で中長期的な外部環境を分析し重要課題を特定することが重要であり、必ずしもSASB基準で示された開示トピックを重要課題として特定する必要はありません。
しかし、SASB基準で示された開示トピックと、日本企業がマテリアリティ分析を通して自ら特定しているサステナビリティの重要課題は、昨年度の調査結果に続き非常に高い水準で一致していることが明らかになりました。
領域別にみると、「リーダーシップとガバナンス」は特定が進展したものの、その割合は53%と最も低く、TOPIX100企業のマテリアリティ分析の議論のスコープに十分に入っていない可能性があります。
TOPIX100企業の開示情報では、SASB基準によって開示が求められているインダストリー別の重要な指標(メトリクス)について、全面的に開示されているのは6.5%、部分的に開示されているものは43.5%、全く開示されていないものが50%であることが分かりました。全面的もしくは部分的に開示されているものは、昨年度の調査結果の42%に比して8ポイント増加しました。
ただし、この結果は課題カテゴリーやインダストリーによって大きく異なります。また、開示ができていない指標については、その指標の特性の影響が昨年度と同様にみられます。
領域別にみると「ビジネスモデルとイノベーション」「リーダーシップとガバナンス」の2つの開示が特に進展しました。なお、「社会資本」と「ビジネスモデルとイノベーション」の領域が、TOPIX100企業においてSASB基準で求められる指標の数が多く、昨年度の調査結果に引き続き改善の余地が大きい領域となっています。