COVID-19対応に関するCFOパルスサーベイ

日本分析版 — 2020年4月14日

PwCは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する企業の懸念や課題、対策について、CFOを対象にした継続的な調査(パルスサーベイ)を実施しています。2020年3月の第1回目は、8カ国150名のCFOを対象に調査を実施しています。調査結果につきましてはこちらをご参照ください(英語のみ)。

第2回目の今回は、4月6日の週に、日本を含む21の国と地域における824名のCFOを対象に調査を実施しました(うち、日本のCFOは21名)。

PwCは今後も対象地域や企業を拡大し、COVID-19の感染拡大がもたらす危機が世界中の人々や企業にどのような影響を及ぼしているのかについて、調査を継続していきます。

関連する調査:

Global report, April 14, 2020

 

エグゼクティブサマリー

  • 71%の日本のCFOが、今回の感染拡大は「事業に『重大な』影響を及ぼす可能性がある」と回答。そして約80%のCFOが「業績に悪影響あり」と回答。
  • 43%の日本のCFOがM&A戦略について「現時点では判断が難しい」と回答。また「M&A意欲が増加する」と回答したCFOはグローバル全体では13%であったのに対し、日本のCFOは0%。
  • 33%の日本のCFOは、「この危機が終息した時点から3カ月以内にビジネスが通常の状態に回復する」と回答(グローバル全体では56%)。

日本のCFOはCOVID-19による事業活動への悪影響を懸念している

調査対象の日本のCFOのうちの71%が、今回の感染拡大は「事業活動に『重大な』影響を及ぼす可能性がある」と回答しました。現時点で「影響がない」と回答しているのはわずか5%であり、今回の調査対象の日本企業でも、既に95%に影響が出ていることが判明しました。また、大多数(81%)が収益の減少を予想していることも分かりました。このような結果は、調査参加国全体のCFOの回答傾向、および経済指標と一致しています。国際通貨基金(IMF)は、2020年には170カ国以上で一人当たりの所得が減少すると予測しており、経済開発協力機構(OECD)は、COVID-19の発生により、2020年には世界経済の成長率が1.5%に鈍化すると予測しています。

多くのCFOにとっての優先事項はコスト抑制

COVID-19の影響を軽減するための財務上の措置について、日本のCFOは「コスト抑制」(62%)が最も多く、「予定していた投資の延期・中止」(48%)、「ガイダンスの調整」(48%)についても、約半数が検討していると回答しています。

投資戦略の変更を検討しているCFOの削減対象は「オペレーションコスト」(70%)が最も多く、次いで「一般的な設備投資」(50%)、「R&D(研究開発)」(40%)でした。参加国全体の回答では、「一般的な設備投資」(80%)が最も多く、ほとんどの従業員がオフィスや工場から離れて勤務している現状を踏まえ、企業は設備やその他のメンテナンスコストの削減に目を向けていることが伺えます。

世界的な景気後退、業績への影響、消費抑制の3つが最も懸念されると回答

COVID-19の影響により日本のCFOが最も懸念しているのは、「世界的なリセッション(景気後退)の可能性」(86%)で、次いで「経営成績、将来の業績、流動性・資本力への影響を含む財務上の影響」(67%)、「消費マインドの低下による消費抑制」(43%)でした。これらの上位3つの傾向は、参加国全体の調査結果と同様でした。日本のCFOは、サイバーセキュリティリスクへの懸念が相対的に高く、資金調達の難しさへの懸念は相対的に低い結果となりました。また、今後発行する社外向けの報告書の内容について、81%のCFOが、COVID-19の影響が事業などのリスクに含まれると予想しました。

多くの企業が危機対応の初期段階に

COVID-19の影響で、多くの企業は将来が不透明な状況になっていますが、日本のCFOの29%は「M&Aへのアプローチを変更する予定はない」と回答しており、43%は今回の危機が「M&A活動にどのような影響を与えるかが分からない」と回答しています。グローバル全体では13%が「M&Aへの意欲への積極性が高まっている」と回答しているのに対し、日本のCFOの回答は0%でした。

サプライチェーンに関しては、「現時点で変更を検討していない」と回答した日本のCFOは半数以上の57%でした。

このように、M&Aとサプライチェーンに対する慎重な姿勢は、多くの企業がまだ危機対応の初期段階にあることを示唆しています。

約70%は自社のビジネスが通常に戻るのに3カ月以上かかると予想

現時点で68%の日本のCFOは、「COVID-19の拡大が直ちに終息した場合に、通常のビジネスに回復するのに3カ月以上かかる」と予想すると回答しました。一方で「3カ月以内に回復する」と予想している企業は約3割にとどまり、「3カ月以内に回復する」と予想する回答がグローバル全体で過半数を超える56%であることと比較すると、慎重な見方をしていることが示されています。

CFO/財務担当責任者による危機対応の進化

COVID-19による危機が進行していく中、CFOや財務担当責任者はサプライチェーンやM&Aといった特定分野におけるプランを最終化するために、より多くの情報を必要としています。多くの企業はいまだに危機対応の初期段階にあり、回復後の全体像を見定めて意思決定を実施する企業は、今の時点ではまだ少ないようです。

多くの国がCOVID-19拡大のピークを迎え、いずれは収束へと向かっていく中、PwCではCFOや財務担当責任者の意識や行動がどのように変化していくかを継続的にモニタリングし、調査結果を公表していきます。本調査が、皆様の危機対応の一助となれば幸いです。

PwC’s COVID-19 CFO Pulse Survey

PwCは、COVID-19のビジネスおよび経済への影響を特定するために、CFOおよび財務担当責任者を対象としたグローバル調査を隔週で実施しています。2020年4月6日の週に行われた調査では、21の国と地域の824名に回答いただきました。参加国はアルメニア、ブラジル、コロンビア、チェコ、デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、日本、カザフスタン、メキシコ、中東※、オランダ、フィリピン、ポルトガル、シンガポール、スウェーデン、スイス、タイ、米国です。

※バーレーン、オマーン、カタール、サウジアラビア、クウェート、UAE、エジプト、ヨルダン、レバノン、パレスチナ

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