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今回PwCが発刊した調査レポートでは、企業が一体となって変革を推進するための指針として、ROX3(Return on Experience3)という概念を提唱しています。
ROX3とは、顧客のCX(カスタマーエクスペリエンス)と従業員のEX(エンプロイーエクスペリエンス)、そして経営陣のLX(リーダーシップエクスペリエンス)という3つのエクスペリエンスから得られるリターンの総和です。
ROX3を変革の指針とすることで、CXを担う営業やサービス部門、EXを担う人事部門、さらには経営陣やそれを支える経営企画・情報システム部門など、各部門の自発的な連携と一体感のある変革が期待できます。
VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の頭文字)の時代という言葉が流行って久しいところに、新型コロナウイルス感染症の流行によって、その概念は現実のものとなりました。
多くの企業は未経験の変化へ対峙する上で、DX(デジタルトランスフォーメーション)やカスタマーエクスペリエンスといったキーワードを掲げ、さまざまな変革を模索しています。しかしそれと同時に、期待どおりの成果があがらない、という声も聞こえてくるようになりました。
これらは、最近話す機会のあった経営陣の声です。手探りで変革を模索した結果として、このような事態に直面している企業は少なくありません。
こうした、システムの部分最適化や経営・現場や部門間の壁、組織の求心力低下といった現象の背景にあるのは「組織内の分断」だと言えます。
昨今のさまざまな事業環境変化によって、企業が対応すべきテーマは多様化・高度化し、こうした変化に呼応するように組織の複雑化・分業化と各部門の高度専門化が進んでいます。
しかしその結果、「サイロ化」や「タコツボ化」と呼ばれる現象に陥り、部門を超越したテーマへの対処が難しくなっています。
また企業規模の拡大や組織のグローバル化、働き方の多様化などによって、経営と現場の間にも距離が生じています。その結果として、上意下達のマネジメントが機能しにくくなり、組織が一枚岩になって動くことがますます難しくなっています。
このような分断の帰結として、DXをはじめとする企業全体を貫く変革テーマに対して、期待どおりの成果を創出することが難しくなっているのではないでしょうか。
本レポートの中心テーマであるCXの向上に関しても、組織の分断が深刻なボトルネックになっています。
CXは、顧客が企業と接したときのあらゆる体験で得られる価値の総和です。そのため特定部門だけがCX向上に取り組んでも、その効果は限定的です。営業、マーケティング、サービスなど顧客と接する部門同士の連携が求められます。
また顧客と接するのは現場の従業員であり、従業員のモチベーションが顧客対応品質に多大な影響を及ぼします。したがってEXマネジメントを担う人事部門との連携も欠かせません。
またCXとEXには、組織のリーダー(経営陣)の考える顧客戦略や人材戦略が影響を与えます。そして顧客戦略や人材戦略には、戦略を決定するリーダー自身の価値観や、社内外の環境の変化の捉え方、戦略立案や意思決定のプロセスなど、すなわちLXが影響を及ぼします。
したがって、組織全体としてCXを高めていくためには、顧客と関わりの強い営業やカスタマーサポートだけでなく、人材マネジメントを担う人事部門、さらには組織のリーダーシップチームやそれを支える経営企画部など、各部門が自発的に連携してCXを追求する組織へと変わることが求められます。
こうした全社的な変革を推進するためには、部門横断的な共通言語や指針を定めることが有効です。ROX3はそのような役割を果たすことを意図しています。
企業がROX3を目標に設定することの意味は、全社的な変革に向けた部門横断的な取り組みを創出することです。
ROX3を高めるには、いずれか一つを改善するよりも、複数のエクスペリエンスにインパクトを与える施策が有効です。逆に、いずれかを高めて他が犠牲になればROX3は向上しません。
ROX3を共通指針とすることで、CXを担う部門、EXを担う部門、さらには経営陣やそれを支える経営企画・情報システム部門などの、自発的な連携と全体最適の視点に基づく変革が期待できます。
すでに多くの企業で、個々のエクスペリエンスを向上させる個別具体的な取り組みは行われていますが、CXとEXを相互に高めたり、LXの向上によってCXとEXを下支えしたりといった視点で、複数のエクスペリエンスにインパクトを与える施策を部門横断的に創出することが、ROX3を高める上では欠かせません。
企業がROX3の最大化を通じて一体感のある変革を推進するためには、4つのアクションに取り組むことが求められます。
まず営業からアフターサービスまでシームレスなサービス提供体制を作ることが重要です。加えて、EX担当の人事部門、組織のリーダーシップチームやLXを支える経営企画部、CX・EX・LXのシステムを支える情報システム部門など、さまざまな部門同士がつながることが必要です。
組織間の連携が強化されることで、顧客の不満やストレスが軽減され、CXが改善します。また組織間での業務・情報の分断は従業員にとってもストレスとなり得るため、それが改善されることでEX改善にもつながります。
さらに、顧客の反応をサービス横断的に把握できることで、企業全体を俯瞰したCXの改善ポイントが可視化され、LXにおけるリーダーの意思決定精度が向上していくでしょう。
変革アクションの詳細
コンセンサス型の日本企業では、複数の組織が連携しようとすると、雪だるま式に関係者が増え、関係者同士の合意を取り付けることに時間が割かれて物事が進まない、という事態が起こり得ます。
そのため変革アクションIの組織間連携とあわせて、こうした意思決定プロセスの問題にもメスを入れなくてはいけません。
組織間が円滑に連携して意思決定を行うには、異なる組織同士の目線合わせや前提となる価値観の統一が必要です。そのため経営陣から現場に至るまでの意思決定のよりどころを明確にし、従業員全員に浸透させることが欠かせません。
また意思決定における、経営と現場の目線合わせや、経営とテクノロジーの融合も、複数のエクスペリエンスを高める上で有効です。
変革アクションの詳細
日々の顧客対応を行うのは現場の従業員です。そのためCXを向上させるには、現場組織の自律性を高めて、従業員の創意工夫や柔軟な対応を引き出すことが欠かせません。
また変革アクションIIで「意思決定のよりどころの明確化」をしておくことで、現場組織が自律的に動きながらも、サービスの一貫性や組織としてのまとまりを維持することが可能となります。
変革アクションの詳細
消費者のライフスタイルや嗜好性が多様化し、ニーズをマスで捉えることが難しくなっています。また社会貢献意識の高まりや新型コロナウイルス感染症の流行などで、根底にある価値観が変容しつつあります。こうした状況下では、これまでの経験則が役立たない場面が増えていきます。
一方でデジタルチャネルの多様化やIoTの普及によるデータ量の増大、AIの高度化と増大するデータを活用したリコメンドサービスの精度向上など、データを活用して多様なニーズに対応する技術は日々高度化しています。
こうした消費者側・技術側双方の変化から、データに基づく意思決定やサービス提供の有効性は高まっています。
エクスペリエンスをデータで可視化することでリーダーの意思決定の質を高め(LX)、データに基づいてスピーディーにCXやEXを改善することが可能となります。
変革アクションの詳細
※詳しくは「ROX3 カスタマーエクスペリエンスを最大化する変革の指針」レポートをご覧ください。