
CxOプレイブック:サイバーセキュリティレジリエンスにおけるギャップの解消 「Global Digital Trust Insights 2025」調査結果より
AIやクラウド技術の進歩に伴いアタックサーフェスの拡大が続き、規制環境も常に変化しています。PwCが77カ国のCxOを対象に実施した本調査によると、サイバーセキュリティレジリエンスを構築するにあたり、企業には解消すべきギャップがあることが分かりました。
米国証券取引委員会(SEC)は2023年7月、新たなサイバーセキュリティ開示規則を発表しました。これは、1934年証券取引法に基づく報告義務を有する全てのSEC登録企業に適用されるものとなります。この規則は2023年12月18日に発効し、「重要」と判断されたサイバーインシデントに関する特定の情報について、適時に開示することを義務付けています。
2011年および2018年にSECが発行した解釈ガイダンスによれば、登録企業は既存のSEC規則に基づき、重要なサイバーセキュリティインシデントおよびそれに関連する影響を原則的に開示する義務を負います。2018年にSECが発行した「Commission Statement and Guidance on Public Company Cybersecurity Disclosures」において「企業は、サイバーセキュリティ関連を含む重要な事象を正確かつ適時に開示できるよう、適切かつ効果的な開示統制・手順を確立し、維持することが求められる。こうした確固たる開示統制・手順は、企業が連邦証券法に基づく開示義務を満たす一助となるだろう」と記されています。SECは最終規則においても「登録企業はすでに重要なサイバーセキュリティインシデントの開示をすでに行っている」と強調しています。
新たな規則は、重要なサイバーインシデントについて企業が開示する情報の標準化を目的としています。登録企業は、インシデントの性質、範囲、時期の重要な側面、重要な影響または合理的に起こり得ると思われる重要な影響(財務状況および経営成績への影響を含む)を、Form 8-K の新項目Item 1.05において開示しなければなりません(FPIについてはForm 6-K)。同規則の採択に関するリリースでは、企業がインシデントの重要性および影響を評価する際、「財務状況や経営成績への影響だけでなく、定性的要素についても検討すべき」としています。
「重要なサイバーインシデントである」という判断を下した後、Form 8-Kで報告する企業は4営業日以内に開示を行わなければなりません。規則では重要性の判断を下す期限を定めてはいないものの、かかる判断はインシデント発見後「“不当に遅れることなく(without unreasonable delay)”なされなければならない」とされています。
重要なサイバーインシデント開示要件は、2023年12月18日付(報告義務を有する中小企業については2024年6月15日付)で発効します。
重要性の判断を誰か1人に委ねてはなりません。以下の3つのステップを踏むことで、後で不快なサプライズに見舞われるのを回避できるでしょう。
重要性判断の組織的プロセスを確立すべき中核グループとして、例えば、CISO、CIO、CTOが指揮するチーム、CFOおよび財務チーム、顧問弁護士(GC)および法務チームが挙げられます。新たな規則によって、これら3つの機能チームがいかに効率的なコミュニケーションを行い、協調しているか試されることになります。
重要なサイバーインシデントの判断と開示について、各機能チームの責任分担を整理します。また、基本的知識を共有することで、部門間の垣根を取り除いていきます。CISO、CIOおよびCTOが必要とするのは重要性に関する情報ですが、CFOおよび財務チーム、GCが必要とするのはインシデント対応およびサイバー戦略に関する情報になります。
以下の問いについて検討することにより、企業が確立または強化すべきプロセスを予測することができます。
CISO(またはCIO、CTO)は、重要性判断の最終責任者が必要とする情報を収集する必要があります。このプロセスでは、以下の問いについて明確化しておくことが有用でしょう:サイバーインシデントの既知/未知の事実や環境に基づく、伝達すべき重要な情報は何ですか。CISOおよびチームは、迅速に、また重要性の判断に極めて役立つ形式で情報を提供できますか。必要不可欠な情報の収集に外部専門家が必要となった場合に備えて、フォレンジックファームなどの第三者と適切な関係性を構築していますか。
企業としてのプロセス、関与した人物、最終結論(およびその根拠)を文書化することが極めて重要です:各チームは、インシデントに関する(既知および未知の)事実や、重要性評価において検討した要素を即時に文書化することができますか。SECからの要請がある場合に備えて、企業として文書を準備しておくことが望まれます。
※本コンテンツは、Making materiality judgments in cybersecurity incident reportingを翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。
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