サーキュラーエコノミーの実現に向けて、従来の大量生産・大量消費、その後廃棄という一方通行の直線的な流れから脱却し、生産・消費の後、回収し、再び生産・消費のループに組み入れる循環モデルへと転換することを目指す上で、その履歴の記録が必要になります。
その意味において、サーキュラーエコノミーとはモノの流通だけでなくデータの流通とも捉えることができ、現代において十分発展した情報技術基盤を活用することで、サーキュラーエコノミーを促進し、よりサステナブルな社会を実現することが新しい経済活動の価値として認識されつつあります。
本レポートでは、サーキュラーエコノミーに対する、政治的、経済的、社会的、技術的、法的、環境的の6つの外部要因を踏まえて、現在における未来の兆候を例示しながらサーキュラーエコノミーが発展した将来に起こり得る事象を、以下の3つのシナリオとして描きます。
①地政学対応やESG投資による新たなエコノミクス
②モノと資源の循環起点の変化
③モノと資源のデータ連動による新たな価値形成
その上で、サーキュラーエコノミーの未来実現へのテクノロジーの活用トレンドとして、3つのアプローチシナリオを示します。
(i)地域社会の資源調達手段を安定化する
(ii)従来の資源調達を起点とした生産者主体の動脈バリューチェーンの考え方に対して、ユーザーを起点としたモノや資源の再利用の考え方により、循環起点の変化に対応して循環量の適正化と品質の安定化を図る
(iii)モノや資源のデータ取引や管理の低コスト化や、アクセシビリティの公平化を図る
サーキュラーエコノミーにおいてテクノロジー活用が貢献できる場面として、特に(iii)に関連して、モノの移動や利用に関するデータの管理に注目が当たっており、資源循環の履歴を把握するだけでなく、より効率的に資源循環させることによって、新たな価値観へ対応したり、新たな付加価値を創出したりすることを通じて、結果的に事業構造の転換につながる可能性を秘めています。
データの取り扱いに関するテクノロジーについて日本の取り組み状況を世界と比較してみると、「情報の活用」でリードしているものの、「情報の記録」や「情報の共有」では存在感を示せていません。
情報の記録や共有にはデータを軸とした共創エコシステム形成が重要であり、業種の垣根を越えて取り組む必要があるため、多様なステークホルダーの利害関係を調整しながら戦略を進めていくアライアンス人材の巻き込みが不可欠でしょう。
エコシステムの形成が始まったばかりの段階と言える日本において、今後、テクノロジーの活用のアプローチシナリオを実行するためには、次の4つのステップを踏む必要があり、その実施においては、アライアンス、レビュー機能、デザイン思考、渉外といった組織機能が求められるようになると示唆されます。
(I)ビジョン作成とKPI設定
(II)エコシステムのモデル設計と実証
(III)オープンクローズ戦略のシナリオ化
(IV)アクションロードマップの作成
クライアント企業のサーキュラービジネスの構築を「整備された方法論・テンプレート」「自動分析ツール」「蓄積されたサステナビリティ経営支援ナレッジ」「グローバルネットワーク」という4つの強みを活かして支援します。
SDGs達成/環境・社会課題解決を通じた持続的成長を包括的に支援します。
温室効果ガス排出削減効果をシミュレーションできる独自の分析ツールを活用し、脱炭素に向けて経済合理性を踏まえた最適な計画の立案や実行、対外的な開示まで、企業の脱炭素の取り組みを総合的に支援します。
PwCコンサルティング合同会社などで構成されるPwC Japanグループでは、エネルギートランスフォーメーションに取り組む企業を支援します。