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現在の議論の多くはエネルギー供給量の増加が中心であり、エネルギー需要に対する取り組みはまだ十分に実行されていないのが現状です。エネルギーの需要が減れば、温室効果ガス(GHG)排出量を抑えられ、エネルギーをこれまで入手するのが困難だった地域でもより容易に利用可能になり、それに加えて、経済生産高の拡大にも寄与します。
世界経済フォーラムのインターナショナル・ビジネス・カウンシルは、合わせて全世界の3%に相当するエネルギーを消費しているメンバーで構成されています。私たちが同カウンシルと共同で新たに実施した今回の調査では、エネルギー需要を引き下げるためにあらゆる企業が今日からでもすぐに始められる具体的な行動が数多くあることが分かりました。このエネルギー需要側に働きかける行動を各企業が積極的に実践するようになれば、生産高を低下させることなく、需要を短期間に費用対効果の高い方法で最大31%も削減できる可能性があります。また、その恩恵は瞬く間にどのセクターでも享受できるようになるでしょう。しかも、いずれの取り組みも新しい技術を必要とせず、投資利益率が高いことも魅力です。そのような協調行動は、成長と生産性の向上を促し、パリ協定で定めた削減目標の達成に向けた世界全体の歩みを再び軌道に乗せることにもつながります。また同時に、COP28で120カ国以上が表明した、エネルギー効率の改善率を世界平均で年率2倍にするという誓約の履行も後押しすることになります。
2030年までに有効な対策を講じれば、エネルギー原単位(国内総生産(GDP)単位あたりのエネルギー消費量)を最大で31%削減でき、(現在のエネルギー価格で)年間最大2兆米ドルの節約が可能になります。エネルギー原単位を削減すれば、これまで無駄になっていた、あるいは過剰に使用していたエネルギーをより生産的な活動に振り向けることができるようになるため、成長を押し上げる効果があります。また、企業が排出量を削減しながらより多くの現預金を手元に残し、競争上の有意性を維持するのにも有効な施策となり得るでしょう。レポート全文では、エネルギー需要削減に向けた官民の取り組みの価値とその実現方法について概説しています。そうした活動は今日からでもすぐ始めることが可能であり、いずれも投資対効果が高く、既存のテクノロジーのみで実行できます。そう考えると、供給課題の改善に向けた取り組みと同様の意欲を持って、エネルギー需要の削減努力を推し進めることは、極めて理にかなっていると言えます。
2050年までに、世界の総人口は20億人増加し、GDPは倍増すると予測されています。また、新興市場や開発途上国(EMDE)は、成長しながら開発目標を達成するために、低コストのエネルギーを大量に必要としています。同時に、世界は供給エネルギーの脱炭素化を目指しています。需要と供給の課題に同時に取り組むことが、エネルギー問題の抜本的改善を実現するための最善の方法です。
本レポートのベースとなる調査では、どの企業や国でも、既存の手段を活用してエネルギー原単位を削減できることを示す結果が出ています。建物、産業、運輸(BIT)分野が対象となっているインターナショナル・ビジネス・カウンシル(IBC)の事例を見ると、適切な公共政策に支えられた行動を実践すれば、世界のエネルギー需要を約3分の1減らせるだけでなく、同時に経済生産高をさらに拡大させることも可能であることが分かります。多くの資金を費やさなくても、これだけのことができます。また、世界全体で需要削減に向けて投じる介入コストを10年以内に全額回収できる見通しもあり、そのとおりにいけば(現在のエネルギー価格で)年間最大2兆米ドル規模の節約を実現できると試算されています。
エネルギー原単位を削減すれば、世界のエネルギー需要を約3分の1減らせるだけでなく、同時に経済生産高をさらに拡大させることも可能です。
供給側の改善策と統合しながらエネルギー消費量を管理することで得られる利益を享受するには、企業別ならびに国家単位でエネルギー転換を図る計画を立案することが求められます。エネルギーの需要と供給のどちら側に比重を置く企業であっても、行政と足並みを揃えながらこの計画作りを推し進め、エネルギー問題に立ち向かうそれぞれの行動の足かせとなる障壁の撤廃に有効な手段やその除去作業の成果について認識を深める必要があります。
こうした計画の策定は、エネルギー需要に対する意識や改善意欲を高める上で不可欠な次のステップになります。
エネルギー需要の変革を実現するには、エネルギー供給の変革と同様に、エネルギー転換を加速させ、商業的利益をもたらすための努力を全世界で集中的に続ける必要があります。こうした弛まぬ努力の結集を通じて公約とする目標を達成するためには、企業が積極的に以下の行動を取ることが求められています。
調査データは、世界経済フォーラムのインターナショナル・ビジネス・カウンシルがCEOとシニアリーダーの両者のレベルで行ったアンケート結果に基づいています。介入策の影響と節減の可能性を算定するため、既存のテクノロジーの影響と現在のエネルギー使用量の内訳、現在の価格をベースとしたモデリング手法を用いています。2030年までに介入策を実行した場合の影響は、将来的な状況の予測ではなく、成果の可能性について説明することを目的としています。手法の詳細については、レポートをご覧ください。
※1 本コンテンツは、「WEF IBC report on transforming energy demand」を翻訳したものです。翻訳には正確を期しておりますが、英語版と解釈の相違がある場合は、英語版に依拠してください。
※2 レポート内に誤りがありました。
P8グラフ
誤)特定業界での2020年時点でのエネルギー需要
正)特定業界での2022年時点でのエネルギー需要