
株式会社大林組:「新しい仕事のスタイル」をつくるゼロから始まったデジタル変革
総合建設会社大林組の「デジタル変革」に伴走し、単なるシステムの導入ではなく、ビジネスプロセスの抜本的な変革を推し進めたPwCコンサルティングの支援事例を紹介します。
2019-03-06
栃木県が事業者を公募した馬頭最終処分場整備運営事業(以下、「本事業」)について、PwCアドバイザリー合同会社(以下、「PwC」)のインフラ・PPP部門は、株式会社クリーンテック、株式会社熊谷組、クボタ環境サービス株式会社、株式会社建設技術研究所、株式会社安藤設計の5社で構成されるコンソーシアム(以下「コンソーシアム」)のフィナンシャルアドバイザーとして、本事業の落札および約80億円のプロジェクトファイナンスによる資金調達などを支援しました。
本事業は、以下の三つの観点から、先進的かつ社会的意義が大きな事業です。
有害性の高い産業廃棄物を処理する管理型最終処分場がない栃木県では、これまで管理型産業廃棄物の処理を他県に依存しており、また1990年から現在まで約30年の間、累計で約5万㎥もの産業廃棄物の不法投棄に悩まされてきました。
本事業は、管理型産業廃棄物の県内処理(域内処理)と、大量の不法投棄物の撤去・処理という、栃木県が抱える課題の解決に資する社会的意義の大きな事業です。
従来の産業廃棄物処分場事業は、民間事業者が用地確保・設計・建設・運営・維持管理まで全てを行う「民間事業型」と、それらを地方自治体などが行う「公共関与型」のいずれかの手法で行われてきました。
一方で本事業は、公共と民間事業者がそれぞれの得意な領域を担い、共同で事業を作り上げる「官民連携型」です。用地確保や、住民配慮のための設備資金の確保といった、公共性が高く公共が得意な分野は栃木県がその役割を担い、設計・建設・運営・維持管理といった民間事業者が得意な分野は民間事業者がその役割を担います。
本事業は、前例のない官民連携型の事業方式であるため、官民の利害調整が非常に難しい事業です。PwCは、豊富な官民双方へのPPP/PFI事業アドバイザーの経験を生かし、官と民の仲介者として、数カ月間、細部にわたって官民間の交渉を支援し、官民双方が納得する事業契約条件を導き出しました。
本事業は、民間事業者が需要変動リスク(廃棄物の搬入量が増減するリスク)を負うものであり、かつ、新たに設置する廃棄物処分場であることから搬入量実績がないため、将来の需要変動リスクの予測が困難です。
そのため、事業性評価が非常に難しく、プロジェクトから得られるキャッシュフローのみを返済原資にしたプロジェクトファイナンスによる資金調達は、ハードルが高いと言えます。
そのような本事業に対し、PwCはリミテッドリコースのプロジェクトファイナンスによる資金調達を達成すべく、在籍する廃棄物業界の専門家が株式会社クリーンテックと協力して栃木県や周辺地域の廃棄物マーケットの分析を行い、コンソーシアムと金融機関との間の協議を支援しました。
また、需要変動リスク以外のリスク分担についても、PwCは、インフラ事業に対するプロジェクトファイナンス調達支援の豊富な経験を生かし、栃木県・金融機関を含む関係各者間の協議を支援し、その結果、関係各者が満足する条件で2018年6月に融資契約の締結に至りました。
※1 公共が資金調達を行う対象は、被覆施設や浸出水処理施設のうちの高度処理(脱塩処理など)などの通常の管理型処分場よりもハイスペックな施設。なお、公共からの資金は、補助金(環境省および栃木県)およびサービス購入料(栃木県)として、民間事業者へ支払われる。
PwCは、このような前例のない先進的な事業において、プロジェクトファイナンス、PPP/PFI、産業廃棄物業界/技術、会計、税務、フィナンシャルモデリングなど、PwCに在籍する多様な専門家を結集し、民間事業者・栃木県・金融機関の利害調整を行いながら事業の実現に貢献しました。
PwCは、ファイナンス、官民連携型事業スキーム構築、フィナンシャルモデリング、会計、税務などの幅広いソリューションの専門家が、廃棄物、上下水道、空港、再生可能エネルギーを含む電力などの各セクターの深いナレッジを併せ持つ、「ソリューション×セクター」というアプローチで、さまざまなインフラ事業に関して入札支援、プロジェクトファイナンス調達支援、出資者間交渉支援、オフテイカーとの交渉支援、プロジェクトの購入・売却支援、ファンド組成支援などの高度な専門サービスを提供しています。
PwCは、社会課題の解決に貢献すべく、本事業のような先進的な案件に、今後も積極的に取り組んでいきます。
【馬頭最終処分場整備運営事業の概要】
株式会社クリーンテックは、福島県を中心に産業廃棄物処理事業を行っている産業廃棄物事業運営の先駆者であり、株式会社クリーンテックを含むコンソーシアムは、その高い事業運営能力・技術力を栃木県から評価され、本事業の事業者として2017年6月に選定されました。
その後、2017年12月にコンソーシアムが設立した特別目的会社(以下、「SPC」)と栃木県との間で事業契約が締結され、2018年6月にSPCと株式会社日本政策投資銀行らをリードアレンジャーとする融資団(株式会社日本政策投資銀行の他、株式会社足利銀行、株式会社埼玉りそな銀行、株式会社東邦銀行、株式会社群馬銀行が参加)の間で融資契約が締結されました。2019年2月現在、馬頭最終処分場は設計・建設段階に入っており、2023年の開業を予定しています。
※本事例の内容は2019年2月時点のものです。
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