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2024-09-11
株式会社キリウ(以下「キリウ」)は自動車用ブレーキ部品を製造しグローバルに販売しています。PwCアドバイザリー合同会社(以下PwCアドバイザリー)は、キリウが今後の事業拡大に向けて取るべき戦略の策定を支援しました。また、PwCアドバイザリーのグローバルでの調査・事業戦略検討の経験に加え、脱炭素分野における豊富な専門的知見と徹底したクライアント目線での支援により、事業戦略と一体で取り組むカーボンニュートラル(以下「CN」)ロードマップの策定に貢献しました。
(左から)PwCアドバイザリー合同会社 パートナー 東 輝彦、株式会社キリウ 代表取締役社長 武岡 一満氏
世界を取り巻くCN化の潮流の中で、自動車は製造時や走行時(ガソリン車の場合)に大量のCO2を排出することから、CN化の達成には自動車業界のCO2排出量削減が急務となっています。
具体的には、自動車のライフサイクル全体で発生するCO2排出量を把握し、削減に取り組んでいく必要があります。このようなライフサイクル全体の排出量を算定・評価することは「組織LCA」と呼ばれますが、昨今ではより具体的なCO2排出量の削減につなげることを目的として、各製品の排出量を算定する「製品LCA」の考え方が主流になりつつあります。
こうした流れを受けて、自動車メーカー各社は取り扱う製品ラインナップの中心をガソリン車からEV(電気自動車)へシフトさせ、自動車の走行時に排出されるCO2を削減する取り組みを進めています。
しかし自動車のライフサイクル全体に占めるCO2排出量の割合を考えると、走行時に排出されるCO2だけでなく、製品に使用する調達部品を製造する際に排出されるCO2も無視できません。
そのため、自動車メーカー各社は部品ごとのCO2排出量の把握・評価を開始しています。特に、キリウのようなTier1サプライヤーに対して自動車メーカーはCO2排出量削減目標やアクションプランの提出を求めるなど、CN化に向けた取り組みの要請を強めています。
キリウは、ブレーキディスクに代表されるブレーキ関連の重要保安部品を製造・販売する自動車鋳造部品メーカーです。高温で鉄を溶かし、固めて、加工する鋳造事業は特に環境負荷が大きいビジネスであることから、CN化に向けた対策は喫緊の課題となっています。キリウは工場の鋳造設備を従来のコークス炉からCO2排出量の少ない電気炉へ転換するなど、環境負荷対策の取り組みを進めてきました。
また、コロナ禍での世界的なサプライチェーンの混乱は、自動車の製造・販売量の減少をもたらし、これに伴い自動車部品メーカーの事業環境も悪化していました。
このような状況下で、キリウは中長期的な業績改善に向けた事業戦略の刷新に取り組み、またCN化については受け身で対応するのではなく、脱炭素化に資する施策の実行を加速することにより、鋳造業界で先陣を切ってCN化を実現し、製品の付加価値上昇とビジネスチャンスの獲得を目指していました。
(左から)株式会社キリウ 代表取締役社長 武岡 一満氏、営業部 田野 千帆氏、営業部 正田 勇人氏
PwCアドバイザリーの専門チームは、戦略オプションやCNロードマップの策定に係る支援を提供しました。
PwCアドバイザリーの経営戦略策定を専門とするチームが、世界各国の市場・競争環境を調査・分析し、M&Aを含む幅広い事業戦略の選択肢を評価・検討しました。さらに、これと同時に、ESG戦略の策定を専門とするチームが自動車業界の脱炭素動向とキリウの現状を踏まえ、今後キリウが短期・中長期で取り組むべき方策をまとめたCNロードマップを策定しました。加えて、CN化製品の市場創出・拡販など、企業のCO2排出量削減の取り組みを活用した事業機会獲得の可能性についても提言しました。
戦略オプションの評価・検討にあたっては、キリウの主要拠点が位置する各国の市場における製品需給や競争環境などを、PwCグローバルネットワークを活用して調査・分析し、新規販売先の開拓や生産拠点の再編、アフターマーケット市場への参入など、多岐にわたる方策を洗い出しました。その上でこれらのオプションを実現性やインパクトなどの観点から評価することで優先順位付けを行い、キリウが今後の持続的な事業成長に向けて取るべき戦略シナリオを策定しました。
CNロードマップの策定にあたっては、キリウの各拠点が位置する国の脱炭素関連規制や再生可能エネルギーの市況、キリウの販売先企業のLCA対応方針などを調査しました。また、キリウの拠点ごとに電気炉導入状況や投資計画といったビジネス実態を踏まえ、将来的なリスク・機会を分析の上、必要性と実現性の観点から各拠点が取るべきアクションの優先順位付けを行いました。
さらに、非化石証書やオンサイト・オフサイトPPAといった再生可能エネルギーの調達手段、水素の活用やCCS(発電時などに発生するCO2を地下へ貯留する技術)、バイオコークスなどの先進的な脱炭素技術に関して、技術成熟度や導入コストの観点から評価し、目標とする2050年のCN化から逆算した短期・中長期でそれぞれ実施すべき施策を盛り込んだ、戦略的なCNロードマップの策定を行いました。
事業戦略やCN戦略を個別で策定した場合、双方の戦略が整合しなかったり、トレードオフの関係になってしまったり、結果的に戦略を実行に移すことができなくなってしまうおそれがあります。そこで本案件では、PwCの各専門チームが一枚岩となってキリウをサポートすることで、CN化を事業戦略に織り込んだ統合的な戦略を策定し、クライアントの中長期的な成長を支援しました。
実現性に乏しい事業戦略や、理想論のみでCN化達成への道筋を描くといった表面的な支援となってしまわないよう、プロジェクト期間を通してクライアントと肌理細かなコミュニケーションを取り続けました。それにより、キリウの置かれた状況や経営陣の意思を深く理解し、クライアントのビジネス実態を踏まえた実行性の高い事業戦略およびCN化ロードマップの策定を行いました。
PwC アドバイザリーは、多様なバックグラウンドを有するプロフェッショナルが集結する組織です。卓越した専門性を備えたプロフェッショナルが知恵を出し合い、クライアントとの丁寧なコミュニケーションを通じて質の高いサービスを提供することで、クライアントの持続的成長と中長期的なバリュークリエーションを追求していきます。
キリウは「お客様に安全性と快適性を提供し、豊かなモビリティ社会の実現に貢献する」「お客様にとって必要不可欠なパートナーになる」「果敢にチャレンジを続け、No.1になる」ことを経営理念とした会社です。
いま自動車業界は百年に一度の変革期を迎え、キリウでも「変化」が求められていますが、キリウの歴史を振り返ると、織物準備機械の国産化を志した1906年の創業以降、日本の工業化を先取りした工作機械製造への業容拡大、その後、グローバルのモータライゼーションを先取りした自動車の重要保安部品であるブレーキ部品製造への進出など、絶えず「変化」を自社の成長ドライバーとしてきました。
今回、CN時代に対応したモノづくりへの「変化」をいかにキリウの新たな強みとすることができるのか、PwCアドバイザリーから広範囲かつ専門性の高いアドバイスをいただき、CNロードマップの策定を行いました。
今後もPwCアドバイザリーに伴走していただきながら、環境負荷の低いモノづくりをキリウならではの強みとし、豊かなモビリティ社会の実現に貢献することを目指します。
株式会社キリウ 代表取締役社長 武岡 一満氏
代表者:代表取締役社長 武岡 一満
創業:1906年(明治39年)12月10日
本社所在地:〒326-0142 栃木県足利市小俣南町2番地
資本金:20億9,810万円(2023年3月現在)
業種:①自動車用鋳鉄部品およびそれらの組み立て部品の設計・製造
②産業用鋳鉄部品および機械加工部品の設計・製造
従業員数:単独550名、連結6,144名(2023年3月現在)
公式サイト:https://www.kiriu.co.jp