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主な調査結果
2020年6月22日
PwCコンサルティング合同会社
PwCコンサルティング合同会社(東京都千代田区、代表執行役CEO:足立 晋)は、6月22日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行による医師の医薬品情報収集方法の変化と課題についての調査結果を発表しました。本調査は、COVID-19の流行による医療機関への訪問自粛など、製薬企業の情報提供体制の変化が医師の医薬品情報入手に及ぼした影響について、国内の1週間あたりの感染者数が1000人を超えていた4月最終週に、国内の400名以上の医師を対象として実施したものです。(調査期間:2020年4月23日~5月1日、調査対象:国内の医師(臨床医など)424名、調査方法:ウェブによるアンケート形式)。
デジタル化の進展を背景に、製薬企業においてMR/MSLによる情報提供活動を中心とした従来型のコマーシャルチャネルを見直す必要性が指摘されてきました。しかし、診療活動を行う中でオンラインによる情報収集を困難とする医師側の要望や、業界特有の商習慣などにより変革が進まなかった経緯があります。COVID-19の感染拡大に伴い、製薬企業はMR/MSLの医療機関への訪問や医療従事者向けセミナーの開催などを自粛しており、MR/MSLと医師の「リアル接点」はCOVID-19流行前と比べて大幅に減少しています。
本調査では、「医師の利用チャネルの変化」、「医師の求める情報コンテンツ」、「今後医師が求める施策」の3つの観点から、COVID-19流行による製薬企業の情報提供の変化が、医師の医薬品情報入手に与えた影響を探り、ニューノーマルの世界において製薬企業に求められるコマーシャルチャネルについて考察しました。
COVID-19流行前および流行中のそれぞれにおいて、医薬品の情報入手のために最も多く利用したチャネルについて質問したところ、「MR/MSLの直接面会」と回答した割合は、流行前の73%から流行中は8%と大幅に減少しました。一方で、「ウェブサイト」と回答した割合は流行前の10%から流行中は27%、「ウェブセミナー」は8%から26%と大幅に拡大しました。COVID-19流行を契機に、医師の情報収集のメインチャネルが、MR/MSLによる「リアルチャネル」から、ウェブサイト、ウェブセミナーなどの「オンラインチャネル」へシフトしていることが分かりました【図表1】。この傾向は全世代で共通しており、オンラインチャネルの利用は全世代で増加しています【図表2】。
オンラインチャネルの利用は拡大しているものの、COVID-19流行中のメインチャネルが「MR/MSLのリモート面会」と回答した割合は7%にとどまりました。今後の利用意向も低いことから、直接面会からリモート面会への置き換えが短期間では進まないと考えられます【図表1】【図表4】。
COVID-19流行前にMR/MSLから取得していた情報の中で、流行中に入手できず困っている情報は何かと質問したところ、1位は「有効性」(「COVID-19流行前に取得していた」が87%、そのうち「COVID-19流行中に入手できず困っている」が37%)、2位は「安全性」(同73%、同28%)という結果になりました。医薬品の適正使用に関する情報のニーズが高い傾向は、COVID-19の影響を受けても変わらないことが分かりました。また、有効性、安全性に次いでニーズが高かったのは「関連疾患・治療全般」に関する情報で、流行前に情報を取得していた医師の24%が「流行中に入手できず困っている」と回答しました【図表3】。
オンラインチャネルが主流となっても、一定数の医師のニーズは満たせていない状況がうかがえる結果となりました。
今後利用したい情報提供の方法について質問したところ、MR/MSLチャネルにおいては、「製品パンフレット・症例情報など従来紙媒体で提供されていた情報のデジタル化(66%)」、「診断や治療などで口頭では伝わりにくい情報提供時のVR活用(55%)」、「相談したいときにリモートで呼び出せるMR/MSLアプリ(48%)」という結果になりました。
ウェブチャネルでは、「AI活用による論文などで探している情報のハイライト機能(61%)」、「医師の専門やMR/MSLとのやり取りから興味・関心を類推し情報を個別化(57%)」、「専用の情報提供管理ページを利用したMR/MSLとのコミュニケーション(55%)」となりました。
講演会チャネルにおいては、「ウェブセミナー中心の情報提供活動(81%)」、「閲覧期限なしで過去の講演会を配信(81%)」、「オンデマンド配信で閲覧したい箇所を音声キーワード検索で検出(69%)」となりました。
紙媒体のデジタル化による情報の一元管理や、VRやAIなどのテクノロジーを活用した施策に利用意向を示す医師の割合が高く、呼び出しアプリやウェブセミナー、講演会のオンデマンド配信など、プル型の情報提供に対するニーズが高いことが分かりました。AIを活用した情報検索や、興味・関心に応じた情報の個別化など、個人に最適化された情報が求められています。
COVID-19の流行を契機に、オンラインチャネルによる情報提供活動は拡大傾向にあります。しかし、対面、ウェブ、講演会といった各種チャネルに対する医師のニーズを踏まえると、単にリアルチャネルからオンライチャネルへの切り替えが望まれているわけではなく、独立しがちであったリアルチャネルとオンラインチャネルのポジションを見直し、相互補完し合う「オンライン・オフラインミックスのチャネル構築」が求められていると考えられます。
また、これまではMR/MSLやウェブサイトが各情報への入り口としての機能を担う「プッシュ型コマーシャルモデル」が主流となっていましたが、今後は、「医師のニーズを満たす最適なチャネル」そのものへのアクセスを誘導する「プル型コマーシャルモデル」の構築が必要となると推測されます。
本調査結果を踏まえ、当社は、ニューノーマルで求められるMR/MSLの役割や環境の整備について、次のように考えています。
※調査結果については、以下もあわせてご覧ください。
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行から見えてきたニューノーマルにおける製薬コマーシャルモデルのあり方、世界観」
Q:COIVD-19の流行前と流行中で、医薬品の情報を入手する場合、主にどこから入手されていましたか。最もよく利用していた順に3つまで教えてください。
(回答者が第1選択肢として回答した割合(%))
Q:COIVD-19流行中に、医薬品の情報を入手する場合、主にどこから入手されていましたか。最もよく利用していた順に3つまで教えてください。
(回答者が第1選択肢として回答した割合(%))
Q:MR/MSLからCOVID-19流行前に入手していた情報は次の選択肢のうちどれですか?また、COVID-19流行中にその情報を入手できず困っていますか?
(各項目について「COVID-19流行前に入手していた」と回答した割合(%)と、それぞれの項目について「入手できずに困っている」と回答した割合(%)、複数回答)
Q:今後、製薬企業から次のような情報提供が実施された場合、利用したいと思いますか?
(「利用したい」と回答した割合(%))
Q:今後、製薬企業から次のような情報提供が実施された場合、利用したいと思いますか?
(「利用したい」と回答した割合(%))
Q:今後、製薬企業から次のような情報提供が実施された場合、利用したいと思いますか?
(「利用したい」と回答した割合(%))
以上
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