生成AIとは、主に画像、音声、テキストなどを用いた深層学習(ディープラーニング)により、大量のデータから規則性やパターンを学習し、その学習結果をもとに新しいデータを生成することができる人工知能のことを指します。クリエイティブかつリアリティのある新たなアウトプットを生み出すことができるため、例えば、自動翻訳、文章生成、画像生成、楽曲制作などの分野で利用されています。生成AIは人間と同等またはそれ以上のアウトプットを生成できるレベルにまで進化を遂げており、数年の間に社会的に大きな変革をもたらすことが予想されます。その反響は大きく、生産性や業務効率向上、働き方や業務内容へのポジティブな影響が見込まれるとの期待がある一方で、急速な広がりへの懸念も高まっています。
生成AIによる影響は日本の教育現場にも及んでいます。生成AIを取り入れるにあたってのメリットデメリットの議論がなされているほか、大学でのレポートや論文作成時の生成AIの利用制限方針提示や、文部科学省による教育現場での生成AIの活用方法や注意点をまとめたガイドライン策定の検討開始など、さまざまな動きが出てきています。AIネイティブ世代が学ぶ初等教育においても同様です。従来のAIとは異なり、生成AIは読書感想文や絵画、文章問題の答えを瞬時に「人間らしく」作成できることから、児童の柔軟な思考力や創造力の育成を阻害するのではないかといった懸念が生じており、学習への影響を考慮した上で、生成AIを正しく活用することが求められてきています。
このような背景を踏まえPwC Japanグループは、小学校中・高学年をメインターゲットに、生成AIと向き合い、その活用方法や活用する上での留意点を楽しく分かりやすく学習することを目的とした体験型社内イベントを開催しました。イベントは講義とグループワークから成り、グループワークでは、簡単なゲームや絵日記の制作に取り組むことで実際に画像生成を体験いただきました。文章を生成する「ChatGPT」および画像を生成する「Stable Diffusion」が用いられた画像生成プログラムに、画像を生成するための指示文(プロンプト)を繰り返し考えてインプットすることで、自分がイメージするようなアウトプットを得るためのAIへの指示文の重要性も学ぶことができるよう工夫しました。PwC Japanグループでは、今回のイベント後に収集したアンケートの回答結果を踏まえ講義・グループワーク内容を改善し、AIネイティブ世代を対象とした社内および対外的なプログラムでの活用を検討しています。