今回の調査では、さまざまな面で労働力が分断していることが浮き彫りになりました。
経済的な報酬が公平であると回答した女性従業員は男性従業員より7ポイント低いにもかかわらず、昇給を求める女性従業員は男性従業員より7ポイント低くなっています。また、女性従業員が昇進を求める割合も男性従業員より8ポイント低く、上司が自分の話に耳を傾けてくれると感じる割合も男性従業員より8ポイント低いことから、昇進の要望が聞き流されることが多くなっていることがうかがえます。
PwCのグローバル・ピープル&オーガニゼーション・サービス共同リーダーのピート・ブラウン(Pete Brown)は、次のように述べています。
「女性従業員が男性従業員と同じようにスキルやキャリアを磨く機会を得られないことは、社会にとっても企業にとっても不幸なことです。労働力を強化するための第一歩は、女性従業員が見過ごされないようにすることで、女性従業員を失うことにつながるような組織文化や制度、構造の問題に対処することです」
また、世代間にも大きな違いがあり、Z世代は仕事への満足度が低く、今後3年間で自分の役割がテクノロジーに取って代わられることを懸念している割合が、ベビーブーマー世代の2倍に上っています。
労働力の分断の最も重要な要因の1つはスキルです。高く評価されるスキルを持つ従業員とそうでない従業員との間には大きな差ができています。調査結果によると、需要の高いスキルを持つ人(調査対象の29%が自国で不足しているスキルを持っていると認識)の方が、仕事に満足し(70% :52%)、上司に話を聞いてもらっていると感じ(63%:38%)、生活費の支払い後によりお金が手元に残る(56%:44%)傾向にあります。
このスキルギャップを埋めるべく、会社はアップスキリングや昇給を通じて現在の労働力に投資していると従業員は回答しています。それに反して、自動化やアウトソーシング、新規採用に重点的に取り組むと回答する従業員は少ない傾向でした。
PwCのグローバル・タックス&リーガル・サービス・リーダーのキャロル・スタビングス(Carol Stubbings)は、次のように述べています。
「ひっ迫する労働市場において、組織が人間主導で、テクノロジーを駆使したアプローチをとることがより重要になっています。つまり、デジタルトランスフォーメーションとスキルの双方に投資することです。投資は公平性の原則に基づき、スキルを持つ従業員の能力を強化し、スキルが十分でない従業員にスキルを身につける機会を提供し、人にしかできないことをするために、自動化を進めることです。これは、新卒社員やインターンも同様で、継続的なスキルアップの取り組みを必要としています。スキルミックスにフォーカスした投資は、企業にとっても個人にとっても有益であり、無力化を回避できることから社会にとっても有益であると考えます」