今後の展望
日本は、2019年9月に「水素・燃料電池技術開発戦略」を策定し※6、重点的に取り組むべき技術開発3分野10項目を挙げています。このうち、「燃料電池」分野に含まれる3項目「車載用燃料電池」「定置用燃料電池」「補機・タンク等関連システム」と、「水素サプライチェーン」分野に含まれる2項目「輸送・貯蔵技術」「水素発電」、さらに「水電解・その他」分野に含まれる3項目「水電解技術」「産業利用などアプリケーション」「非連続な革新技術」では、現在、他の国や地域と比較して優位になっているとは言い難い状況です。
環境問題への対策が待ったなしの状況で、今後は、再生可能エネルギー資源が潤沢な国・地域と再生可能エネルギー由来のグリーン水素の需要が膨む国・地域との間で輸出入が増えることにより、水素の国際取引が盛んになることが予想されています※7, 8。また、水素のバリューチェーンには、化学、自動車、機械、電機などの製造業、石油、ガス、電力などのエネルギー産業、大学を含む研究開発機関など多種多様な業種の企業や組織が関連しています。このような状況に鑑み、日本政府や日本企業には、水素産業のサプライチェーンにおいて国境や業界を越えて企業同士が協業・連携し共存していくエコシステムを構築し、国際取引で必須となる貯蔵や輸送においても技術力を強化していくことが強く求められます。日本の技術力における強みを生かし、社会全体として水素エネルギーを利用する水素社会実現のための条件を整え、水素産業のグローバルサプライチェーンをリードしていくことが期待されています。
Intelligent Business Analytics(IBA)による分析
世界中で環境問題や社会問題が深刻化する中、重点を置くべき分野において、環境負荷の低減と社会的ニーズに配慮し、長期的な視点で投資を行い、効果的な事業展開を行うことが必要不可欠となっています。IBAにより、技術や市場のトレンドに焦点を当てたマクロ分析および個々の企業や特許に焦点を当てたミクロ分析が可能となり、新規事業開発の構想具体化、アライアンス・M&A候補先探索、R&DロードマップおよびR&D戦略策定、技術評価のようなユースケースに活用できます。