PwC Japanグループ(グループ代表:木村 浩一郎)は、脱炭素経営に取り組む企業に対して、ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment、以下「LCA」)の導入や、LCAに基づく経営の高度化を支援する総合的なサービスの提供を開始します。LCAの課題は多岐にわたるため、PwC Japanグループに属する各法人から専門人材を集めた横断組織「Life Cycle Assessment Consulting Initiative」(ライフ・サイクル・アセスメント・コンサルティング・イニシアチブ)を本日設立し、サービス提供を行います。
背景
LCAとは、製品やサービスのライフサイクル全体(原料調達、製造、使用、破棄・リサイクル)におけるCO2排出量などの環境負荷を算出し、環境への影響を定量的に評価する手法を指します。これに基づき、例えば自動車・モビリティ産業においては、走行時だけではなく、サプライチェーンやバリューチェーン全般にわたるCO2排出量の算出と削減が課題となります。
近年、欧州をはじめとしてLCAに取り組む姿勢は強くなっています。その背景には、環境政策や企業の競争優位性を高めようとする産業政策の観点のみならず、域外へのエネルギーや資源の依存からの脱却という国家安全保障や地政学リスクの観点もあると考えられます。
LCAはすでに生産地や市場、取引先の選定に影響を及ぼし始めています。今後は、LCAを法的義務として課す「LCA規制」の導入が想定され、輸入品のCO2排出量に応じた炭素価格を支払う「国境炭素税」についても検討が行われるなど、LCAは日系企業のビジネスにも大きな影響をもたらすと考えられます。
また、今後、欧州において車載用のリチウムイオン電池におけるLCA規制の方針がさらに具体化されていく見込みであり、日系企業がLCAの導入や、LCAに基づく経営の高度化に取り組む必要性は高まっています。
Life Cycle Assessment Consulting Initiativeの概要
Life Cycle Assessment Consulting Initiativeは、PwC Japanグループに属するPwCコンサルティング合同会社、PwCあらた有限責任監査法人、PwCアドバイザリー合同会社、PwC税理士法人など、複数の法人から各分野の専門人材を集めた横断組織です。企業がLCAに関して抱える課題は、動向調査やCO2排出量の算出・開示の方法、データ戦略など多岐にわたりますが、PwC Japanグループではワンストップでスピーディーに複雑な課題を解決できる体制を整えました。
サービス概要
PwC JapanグループではLCAに関して以下のようなサービスを提供します。
1 LCA動向調査
LCAをめぐる各国の規制動向やビジネス環境の変化、対応のトレンドなどについて調査を行います。
2 LCAルールメイキング支援
官民連携や企業の垣根を越えた連携が求められるLCAにおいて、多様な関係者の巻き込みや合意形成、標準化などルールメイキングを支援します。
3 LCA算出・開示に関する規制対応支援
LCA規制に則したライフサイクル全体におけるCO2排出量の適正な算出・開示を支援します。
4 LCA対応戦略:
LCA対応に関するビジネス戦略の立案を支援します。また、戦略の実行や、実行のために必要なツールの実装の支援も行います。具体的には以下が挙げられます。
- LCAに対応するバリューチェーン(価値連鎖)改革:LCAの観点からバリューチェーンを見直し、組織再編や最適な業務プロセスへの移行を支援します。
- LCAデータ基盤戦略:LCAに関する必要データの取得およびデータ管理手法の戦略立案を支援します。
- LCAデータ基盤活用戦略:LCAに関するデータを活用し、ビジネス上の付加価値を発揮させるモデルの構想および戦略立案を支援します。