~自然資本保全と事業成長の両立を実現する、企業のネイチャーポジティブ変革支援サービスラインナップと体制の充実~
2022年12月15日
PwC Japanグループ
PwC Japanグループ(グループ代表:木村 浩一郎)は、ネイチャーポジティブ対応とそれに伴う企業変革を支援する体制を強化するとともに、サービスを拡充しました。PwCのグローバルネットワークにおける自然資本の専門家に加え、サステナブルビジネス戦略策定やネイチャー分野のスペシャリストとともに、幅広いサービスをクライアントに提供して参ります。
背景と目的
世界経済フォーラムの報告書※1によると世界の総GDPの半分以上にあたる44兆ドルが生態系サービスに依存しています。それらの供給源であり、生活やビジネスの基盤である自然資本の各地での劣化は、今後10年の世界的な重大リスクであり喫緊の課題となっています。2022年12月上旬に開催された生物多様性条約COP15では、企業の自然資本との関わりを開示するTNFD※2や、自然の回復状態を示す「ネイチャーポジティブな経済」の奨励について議論されました。EUでは、自然に関連する法規制の整備が進められているなど、企業はサプライチェーン全体で自然資本に配慮する一方で、新たにはじまるネイチャーポジティブな経済への投資と事業化を求められることが想定されます。
ネイチャーポジティブな経済(ネイチャーポジティブエコノミー)とは、環境と社会・経済が共存した状態を指します。企業・経済活動によって生じる自然環境への負の影響を抑え、生物多様性を含む自然資本の維持やゼロエミッションの推進にとどまらず、サーキュラーエコノミーの構築など、自然環境を回復させ、その上で事業成長も実現することが求められます。TNFDをはじめとする国際的な枠組みや開示対応が重視されやすい傾向にありますが、これらのフレームワークは、あくまでその指針の一つとして活用し、外部不経済の見える化をすることによって、経営におけるリスクの最小化とビジネス機会の最大化を図ることで、ネイチャーポジティブな経済へ移行し、実現させていくことを重要視するべきだと考えています。
PwC Japanグループは、企業における直近の重要なテーマとなる、2030年に向けたサステナビリティビジネス戦略と、ネイチャーポジティブ経済への準備、TNFD開示をはじめとするサプライチェーンにおける自然資本との関わりの把握に向け、サービスの拡充と体制の強化を行いました。一貫したデータやツールを活用し戦略を描き、ステークホルダーコミュニケーションを具体化した上で戦略策定から実行、サステナビリティの価値化といった一連の対応を行うことで、日本企業の速やかな経営課題の解決を支援します。
※1: Nature Risk Rising: Why the Crisis Engulfing Nature Matters for Business and the Economy (2020)
※2:自然関連財務情報開示タスクフォース
拡充するサービスおよび体制強化についての詳細
①ネイチャーポジティブへの変革を支援するサービスライン
ネイチャーポジティブな経済への移行において、企業は、自然資本に影響を与え依存してきた従来型の事業モデルではなく、自然を回復しながら社会課題を解決し、事業成長をも実現させることが求められます。それには、従来の考え方や方法では不十分であり、大きな事業モデルの変革が必要不可欠です。
PwC Japanグループでは、その事業モデルの変革に対し、2つの視点からクライアント企業を支援する仕組みを構築しました。
<1.ネイチャーポジティブに向けた戦略策定の支援>
Nature Positive Solution Frameworkでは、変革に向けたビジョンの設定や変革の実行を行い、変革の価値化のプロセスを支援します。
- 変革ビジョン策定:2030年に向けたサステナブルビジネス戦略の策定や、TNFDやSBT for Natureなどの枠組みへの対応や、ネイチャーポジティブに対応する組織横断の専門イニシアチブを立ち上げることは、企業における最初の一手となります。
- 変革実行:ネイチャーポジティブは、現在のバリューチェーンを環境再生型に変化させ、地域別にイノベーションを育てる変革移行が求められます。
- 変革の価値化:現在のビジネスと新しいビジネスの双方をネイチャーポジティブ事業の柱にするためには、ガバナンス・コミュニケーションを伴うことで価値化につなげることが重要になります。
<2.デジタルツール、データを活用したソリューション>
Nature Positive Solution Baseでは、最新のデジタルツールとデータを用いたサプライチェーンの可視化の推計やネイチャーポジティブビジネス変革上の具体的な課題の把握や戦略策定、テクノロジーによる変革実行、コミュニケーションやブランディングを支援します。
このように、検討手法・プロセスとツール・テクノロジーの2方向から、お客様のビジョン策定から変革実行、価値化まで一気通貫なサービス体系で、お客様の迅速な自然資本対応とビジネス成長を支援します。
図:ネイチャーポジティブへの変革を支援するサービスラインの全体像