※以下の内容は、2023年6月27日にPwCが発表したプレスリリースの翻訳です。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。
- エンタテイメント&メディア(E&M)業界の収益は2027年まで毎年成長して2兆8,000億米ドル規模に成長。しかし、成長率は年を追うごとに低下する見込み。
- 消費者支出が伸び悩み、競争環境が変化する中でも、広告の収益は2027年に1兆米ドルに迫り、最大のE&Mセグメントになると予想。
- デジタルがE&M業界の収益に占める割合は2018年の55.2%から増加し、2027年にはほぼ4分の3を占める見通し。
- ゲームは、特にアジア太平洋地域において引き続き業界の成長を牽引する主要セグメントの一つであり、世界のゲーム収益は2027年までに3,120億米ドルに達する見込み。
- ライブイベントは2024年にパンデミック以前の最高水準まで回復し、その成長率はE&M業界全体の成長率を上回ると予想。
- 年間データ消費量が2022年から2027年までの間に3倍に増加し、世界のインターネットアクセスは1兆米ドル市場に迫る見通し。
世界のE&M業界にとって2022年は重要な転換点となりました。2022年の業界の総収益は2兆3,200億米ドルと5.4%増加しました。その増加率は経済や産業が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの発生から立ち直りつつあった2021年の成長率10.6%を大きく下回りました。
PwCの年次調査「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック2023-2027」は13のE&M業界セグメントと53の国・地域を調査対象としています。個人消費の低迷を一因に、2027年までの今後5年間は収益の成長率が毎年低下すると予想しています。一方で、2027年にはE&M業界が2兆8,000億米ドル規模の産業に成長するとの分析結果も明らかにしています。
本調査は、デジタル化が進み、広告が一段と優位になる業界の状況を浮き彫りにしています。2027年には、E&M収益全体に占めるデジタルの割合が、2018年の55.2%から4分の3近く(70.8%)まで増加する見通しです。一方、データ消費量が2022年から2027年までの間に340万ペタバイト(PB)から970万PBへとほぼ3倍になるため、世界のインターネットアクセスは1兆米ドル規模に迫る市場になると予想されます。
地域別にみると、米国が引き続き世界最大のE&M市場であることに変わりはなく(2022年の8,190億米ドルから2027年には9,430億米ドルまで成長)、これに中国が続きます(3,880億米ドルから4,800億米ドルまで拡大)。中国の年平均成長率(CAGR)は米国の2.9%に対し、4.3%になると予測されます。
これまでの期待値が大幅に見直され、消費が低迷する中、企業はセグメントの主力となる分野(特に広告やゲーム)、生成AIなどの最新テクノロジー、またはアジアのように急成長が見込まれる地域などにおける成長を追い求めています。
競争環境が変化する中で広告収益は1兆米ドルに迫る
広告は依然として重要な成長セグメントの一つであり、2027年に1兆米ドルに迫ると予想されています。その収益は2027年に9,526億米ドルとなり、アウトルックが調査対象とする3つの調査指標(消費者、広告、インターネットアクセス)の中で最大となる見通しです。広告費は増えていく一方、ECサイトやビデオゲーム、ストリーミングプラットフォームなどのプレーヤーが増え、大手ソーシャルメディアや検索プラットフォーム企業から市場シェアを奪うにつれて、利益の取り分はさらに小さくなっていきます。
PwCドイツのグローバル エンタテイメント&メディアインダストリーのリードパートナーであるヴェルナー・バルハウス(Werner Ballhaus)は次のように述べています。