経済制裁規制対応態勢の構築支援サービス

経済制裁規制対応の基本と制裁対象者対応・拡散金融対応に係る留意点

経済制裁規制対応の基本は、テロリストなどの制裁対象者との取引回避と、拡散金融対策です。いわゆる、マネーローンダリング、テロ資金供与、拡散金融を防ぐための対策であり、具体的にはテロ資金提供者や、大量破壊兵器等の開発関与者への資金供与の抑止に係る対応が該当します。企業の社会的責任およびコンプライアンスの観点に加え、違反に係る罰金を科されるなどのリスクを回避するという企業防衛の観点においても、そのための対策を取ることは非常に重要です。

図表1:テロ資金供与・拡散金融の概念

対策を行うにあたっては、以下に留意することが必要です

  1. 制裁対象者指定などの法的根拠となる外国為替及び外国貿易管理法(外為法)をはじめ、関連する国内の法令・ガイダンスを遵守すること
  2. OFAC規制などの海外の法令は、当該地域の非居住者にも「域外適用」される場合があり、違反者は罰金などの制裁を科されるリスクがあること

※米国財務省資産管理局(Office of Foreign Assets Control)を通じて米国人、米国企業・金融機関などに課された制裁対応義務。違反に伴う制裁の対象者は米国内の資産が凍結されるほか、米ドル建て取引が禁止される場合がある。

なお、制裁対象者対応に係る不備は、規制当局からの罰則や、金融機関等による取引選別につながるリスクもあります。制裁対象者との間接取引を回避するため、金融機関が資金提供を停止することがあるためです。
近年、国内ではロシア制裁に係る制裁対象者の急増、外為法改正による態勢整備の義務化および厳格化、新たな外為検査マニュアルの制定、拡散金融リスク評価書の制定、「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画(2024-2026年度)」の制定によるテロ資金供与対策・拡散金融対策の整備、実効性強化など、規制強化の動きが続いています。
また、国際的にみれば、制裁対象者との取引を第三者経由で回避する「制裁逃れ」への罰則が強化されており、こうした動きを受けて日本では法規制の強化が進んでいます。

経済安全保障や人権対応に係る対策への対応範囲拡大

さらに、近年では制裁対象者対応と同様に、経済安全保障や人権対応において、特定の関係者との取引を回避することが求められるようになっています。
経済安全保障は、一国の経済体制や社会生活の安定を維持するために、エネルギー・資源・食料などの安定供給を確保し、先端技術の流出を阻止するための措置を講じるものです。米国では先端技術の輸出規制が進んでいますが、日本でも経済安全保障推進法が2022年より施行され、サプライチェーン管理が官民の重要課題となっています。
人権対応の基本である人権デューデリジェンス(DD)は、強制労働などに関与する者との取引回避、リスクの高い取引先やサプライチェーンの特定・調査・対処を実践するものです。日本の企業も、欧米の規制強化の動きに対応することのほか、国内の規制(例:経産省のガイダンス)に適切に対応することが求められています。
経済安全保障や人権に係る対応では、いずれもサプライチェーン全体の管理が重要です。なお、経済安全保障においては、金融機関や電力会社など公共性の強い企業が管理する基幹インフラに対するサイバーセキュリティ対策、情報漏えい対策を念頭に置いた基幹インフラ管理に関する法令も整備されており、その遵守も求められます。

図表2:制裁対象者等の範囲

スクリーニング態勢とリスク評価・低減措置の確立が必要

このように特定の団体・個人との取引禁止が義務化されているなかで、制裁対象者対応から、拡散金融対応、経済安全保障に係る対応、人権対応まで、経済制裁規制全般に対応する際に共通して求められるのは、取引を禁止されている団体・個人のスクリーニング(フィルタリング)です。フィルタリング対応は取引開始時のみならず、追加の指定もあるため、定期的かつ継続的に実施する必要があります。
また、フィルタリングの結果、該当する団体・個人がなかったとしても、制裁対象者などとの関与のリスクの高い顧客を特定し、必要に応じ、商流、サプライチェーン全体について、詳細な確認を実施することで、テロ資金提供者や大量破壊兵器の開発関係者への資金提供を遮断しなければなりません。
顧客のリスク評価を行うにあたり、経済制裁規制対応に係る基本的な考え方はあらゆる領域で同様であり、属性のほか、地域、商品、取引形態、これらに類する要素の評価を組み合わせて実施します。さらに、評価結果に基づいて、モニタリングなどの管理方法を調整し、状況に応じて取引解消や是正措置の要請などを行います。

図表3:業務フロー・イメージ

PwCのサービス

PwCは、クライアント企業が経済制裁規制に対応できる態勢を効果的かつ効率的に構築できるよう、各社の事情を勘案した上で支援を提供します。制裁対象者対応から、拡散金融対応、経済安全保障対応、人権対応まで、個別の領域に特化した支援を行うことはもちろんのこと、総合的な支援を提供することも可能です。

サービス項目(例) サービス内容
経済制裁規制に対応する態勢の構築・評価
  • 経済制裁規制に対応する態勢の現状評価、および改善に向けた助言
  • マネーローンダリング防止対策や振り込め詐欺対策、反社対応など関連業務との関係の整理
データベースの設計・運用
  • 制裁対象者などのデータベースの整備に向けた業務要件の検討支援
  • データベースに入力する情報を収集する方法や、データベースを業務運用に活用するための助言の提供
スクリーニング業務の高度化
  • 顧客データと制裁対象者のデータベースの照合(スクリーニング)に関するロジックの検討および見直し
  • スクリーニングに関する業務フローの検討支援
リスク評価の実施
  • 企業ごとの特性、業務範囲、内部統制などを考慮した制裁対象者対応、拡散金融対応、経済安全保障対応、人権対応の各領域に係るリスク評価手法の整備支援
  • グループベースのリスク評価手法の整備支援
グループベースでの経済制裁規制対応に関する支援
  • 経済制裁規制対応業務の企業グループ全体への展開に向けた助言(共通ポリシーの整備、データベースの共通化)
  • 日本企業の海外拠点における経済制裁規制対応および、外国企業の日本拠点における経済制裁規制対応業務の検討支援
  • 国内のマネーローンダリング防止対策や反社対応を含めた対応態勢の検討支援

PwCの強み

PwCは強固なグローバルネットワークを有するとともに、日本国内にも経済制裁規制対応を専門とするプロフェッショナル、金融機関における実務経験者、ITのエキスパートなどにより構成される専門チームを擁しており、実務に即した総合的なサービスの提供が可能です。

サービス実績
  • 日系大手・地域金融機関(含む海外拠点)および外資系金融機関の日本拠点、グローバル展開する内外の大手事業法人に対する豊富なサービス提供実績
実務経験
  • 多くの国内大手・外資系金融機関・事業法人の出身者を擁しており、実務経験に基づく、実効性のある助言の提供が可能
総合力
  • ITやデータ分析、リスク管理などを多様なバックグラウンドを有する人材により構成されるチーム
  • 多角的な分析により、総合的なソリューションが検討可能
グローバル
  • 世界各地のPwC現地法人と連携したグローバルな支援が可能
  • 国内においても、グローバルで蓄積された知見に基づくサービスを提供

主要メンバー

竹内 秀輝

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

Email

原田 航

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

Email

西川 嘉彦

エグゼクティブアドバイザー, PwC Japan有限責任監査法人

Email

井口 弘一

チーフ・コンプライアンス・アナリスト, PwC Japan有限責任監査法人

Email

本ページに関するお問い合わせ