グループ会社管理およびグローバルコンプライアンスに関するアドバイザリーサービス

近年、企業の価値は業績のみならず、社会的責任(CSR)、ESGの観点からも評価されるようになっています。このため、万一不正や不祥事が起きてしまった場合、レピュテーション(評判)の低下などにより、企業は補償などに充てる財務的な負担を超えるダメージを受ける可能性があります。

不正や不祥事の発生を防止するためには、企業は各部署や子会社の管理を徹底する必要があります。特に、グローバルで事業を展開する企業にとっては、物理的に距離が離れている海外子会社の管理・監督や、現地の法令や規制への対応が容易ではないため、グループ会社の管理やグローバルコンプライアンスに一層の注意を払い、その情報収集やモニタリングに注力することが求められます。特に、 贈収賄(ABAC)、人権、データプライバシー(DP)、サードパーティリスクマネジメント(TPRM)は、昨今注目が高まっており、グローバルに管理することが望ましいテーマです。

グループ会社管理やグローバルコンプライアンスについて考慮すべきポイントは以下の通りです。これらの中でも特に検討を要する重要項目は、「グループ子会社管理体制の類型」「権限委譲とモニタリング」「コンプライアンス組織体制」「コンプライアンス管理プロセスの確立」「グループ共通のプラットフォーム」の5つです。

グループ会社管理

1. グループ子会社管理体制の類型

  • レポートライン:事業軸/機能軸
  • HQ機能:一極体制/多極体制

2. 権限委譲とモニタリング

  • 権限委譲・報告事項の設計、規程

3. グループポリシー

  • 標準ポリシーの展開
  • グループ共通の管理システムの整備

グローバルコンプライアンス

1. 価値基準の定義・共有

  • コンプライアンスの範囲・体系の定義
  • 行動規範、ポリシー・規程類の整備
  • 経営者の姿勢 (Tone at the Top)
  • カルチャーの醸成

2. 推進体制と監督

3. 自己改善プロセス

4. グローバルに管理すべき特定のテーマの高度化

  • 贈収賄(ABAC)
  • 人権、データプライバシー(DP)
  • サードパーティリスクマネジメント(TPRM)

グループ子会社管理体制の類型

グループ子会社を管理する組織構造の類型は、横軸を「事業軸でのレポートライン/機能軸でのレポートライン」、縦軸を「ヘッドクォーター(HQ)機能を本社のみに設置/グループ内で複数設置」とすると、下図で示すように4つに分けられます。グループ本社は現在の立ち位置を確認し、グループの事業運営にとって最適な組織構造を検討する必要があります。

グループ子会社管理体制の 類型

権限委譲とモニタリング

海外で現地の事情に即した事業運営を実現するには、グループ本社の権限の一部をグループ子会社(あるいはその統括会社)の取締役会決議事項として委譲する手法が考えられます。

その際、本社から子会社の取締役会へ人員を派遣するなど、権限委譲とコントロールのバランスを取る施策を検討することが求められます。

権限委譲と モニタリング

コンプライアンス組織体制

海外進出に際しては、事業運営面のみならずコンプライアンス面においても、グローバル化の方向性や目指すコンプライアンス水準、人材およびリソース確保の可能性を考慮しながら、今後のグローバル化の進展も踏まえ、自社にとっての「あるべき姿」を検討することが求められます。

コンプライアンス推進組織のあるべき姿の検討 (例)

コンプライアンス管理プロセスの確立(PDCAサイクル)

グローバルレベルのコンプライアンス管理プロセスを確立するためには、コンプライアンスの基本要素(下図の1から9)をPDCAマネジメントサイクルに沿う形で整備することが効果的です。整備に際しては、本社主導のもと、本社が想定するコンプライアンス水準をグローバルで達成できるよう各項目を検討することが求められます。

コンプライアンス管理プロセスの確立 (PDCAサイクル)

グループ共通のプラットフォーム(リスク管理やポリシー管理、GRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)などに関わるITツールを活用)

グローバルでのコンプライアンス業務運用を効率化するためには、共通のITツールの導入も有効な手段となります。これにより情報の集約、連携および協働の促進、標準化、効率化が期待できます。

グループ共通の プラットフォーム

主要メンバー

辻田 弘志

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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加藤 美保子

シニアマネージャー, PwC Japan有限責任監査法人

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