世界は今、宇宙大航海時代の幕開けを迎えている。日本でも有望なベンチャー企業の台頭に加え、自動車・メガバンク・金融・建設・玩具・食品・広告・放送など、ほぼ全業種の大手企業が何らかの宇宙プロジェクトに参加し、新しい成長分野として注目度が急上昇している。
この宇宙ビジネス隆盛のベースにあるのが、米主導で進行中の「アルテミス計画」だ。人類がアポロ計画で月面に初着陸してから54年が経つが、現在、月の資源開発・利用を目指す「アルテミス計画」が、米国を中心に欧州諸国、日本、豪州、インド、韓国、UAEなど28カ国が参画して進行中だ。2025年に再び月面に人類を送り、2028年に月周回有人拠点(ゲートウェイ)を完成させ、2030年代には月面基地を建設し、月での人類の持続的な活動を目指す。そして2040年以降には人類を火星に送る壮大なプロジェクトである。
図表 1 日本も参加するアルテミス計画(画像:NASA)
このアルテミス計画はジョージ・W・ブッシュ大統領(共和党)の頃から練られていたが、米政府の財政難もあり、構想として温められたままの状態だった。しかし、2017年12月にトランプ大統領(共和党)が大統領令で推進・実行を指示した。
日本ではあまり知られていないが、2016年8月に中国が米国より先に量子暗号通信技術を搭載した人工衛星「墨子」の打上げに成功したことで、米政府が目を覚ましたとも言われている。この中国の成功は、専門家の間では「21世紀のスプートニクショック」1 とも語られている。この量子通信技術は、光の粒子の性質を利用し、原理的に盗聴・傍受が不可能とされる最先端通信システムとされ、量子通信は軍事・外交をはじめ、金融市場など秘匿性の高い情報のやりとりに死活的に影響を及ぼす。トランプ大統領は2019年12月に宇宙軍も発足させたが、同軍のデービッド・トンプソン初代作戦副部長は「中国が米国の2倍の速度で宇宙での能力を構築・向上させており、米国が開発速度を加速させ始めなければ、2020年代末までに中国が米国を追い越す」という趣旨の発言をしている。
現在、アルテミス計画は、ワシントンでは珍しく党派を超えてバイデン政権(民主党)も推進中だ。米国内では政治的分断・対立が激しさを増す一方だが、対中国を見据えた米国の競争力強化については共和・民主両党とも一致している。
中国は現在、中国国家航天局(CNSA)とロシア国営宇宙公社ロスコスモスによる月面基地計画で、5つのミッションで着陸船、軌道船、中継衛星を投入し、2030年代の月面基地建設を予定している。中国は2019年1月に無人探査機「嫦娥4号」で難易度が高い月の裏側への着陸を世界で初めて成功させている。更に、2020年12月には、「嫦娥5号」により月の土壌サンプル回収に米ソに次いで成功。2021年3月には、中国とロシアは共同で月面基地建設を進めることで合意。一方、ロシアは2023年8月11日に旧ソビエト以来の約半世紀ぶりに無人の月面探査機を打ち上げ、世界初の月の南極付近への着陸を試み、水資源などを探査する予定だったが、途中で月面に衝突し失敗している。
中国が推進する月面基地計画「国際月面研究ステーション」(ILRS)に関する協定には、ロシア、パキスタン、アラブ首長国連邦(UAE)、アジア太平洋宇宙協力機構(ASPO)が署名。更に、マレーシア、ベネズエラなど10以上の国・組織が協定の参加に向けて交渉中だ。
宇宙開拓能力のある大国と、その能力のない国々が存在する国際社会の中で宇宙資源をどう分配・共有していくのか、その国際ルールやガバナンス体制についての法的・政治的な課題に直面している
月の持続的開発では、水資源の確保がカギを握る。月の南極付近には氷があるとされ、水(H2O)を電気分解して、エネルギーとなる液体水素燃料と人間の生存に必要な酸素を確保することは、月面基地を建設し、持続的な月面活動を行う上でのベースとなる。
更に月面には、核融合を起こせるヘリウム3という物質が豊富にあると見られ、地球上で使用する現在のエネルギー資源の1000年分の量に相当するとも見積もられている。月面で発電し、ハイパワーマイクロウェーブなどで地球上に送電することができれば、エネルギー資源の枯渇問題の解決にもなり得るが、ハイパワーマイクロウェーブは、兵器として宇宙から地球に攻撃することもでき、宇宙産業と安全保障は表裏一体にあることを見落としてはならない。
そして、こうした資源は先に発見・採掘した国や企業が所有するのか、宇宙開拓能力のある大国とその能力のない国々が存在する国際社会の中でどう分配・共有していくのか、その国際ルールやガバナンス体制についての法的・政治的な課題に直面している。
図表2 月面基地での発電、食料生産、モバイル3Dプリンターやローバーを利用した建設のイメージ(画像:ESA - P. Carril)
日本はアルテミス計画に産業振興や外交・安全保障などの観点から参加している。一方で、企業からすると、ルールが定まっていない新規領域でビジネスを行おうとする場合、既存の権利や規制に合致するかどうかは必ずしも明確ではなく、重要な予見可能性が確保しにくい。投資家も投資判断に困り、資金拠出に二の足を踏んでしまう。日本をはじめ、さまざまな国の企業が宇宙というフロンティア・ビジネスに参入する中で、宇宙資源を巡る所有権や宇宙空間における衛星同士の衝突事故を巡る係争処理など、その国際ルールを明らかにし、不明または存在しないのならば主体的にそのルールメイキングに関与していくことは、今後の宇宙ビジネスを成長させていく上で非常に重要である。
今後多くの国際ルール課題が論点となって浮上することが予想されるが、本レポートにおいては、産業界にとって早急な対応が必要な国際ルール課題として2点を挙げて検証する。
現在、民間採掘業者(私人)による宇宙資源の所有権を明記した条約はなく、国際条約は宇宙分野において必ずしも適切なルール形成手段ではなくなっている。国際宇宙法の憲法とも言われる宇宙条約(1967年発効)は、冷戦時代に米ソの対立が宇宙での戦争に発展しないための軍備管理法として発達したもので、今日のような宇宙ビジネスの台頭を想定していなかった面がある。そのため、月や小惑星の資源所有を巡る解釈も分かれ、宇宙資源の取引などを目指す民間事業者にとっても法的リスクとなっている。
宇宙条約2条では、国家による月その他の天体を含む宇宙空間に対する主権の主張や取得を禁止しているが、そこから私人が採取した資源についても取得が認められないのかは同法だけでは必ずしも明らかではない。この点、例えば、天体と同じく国家の主権が及ばない領域である公海の事例が参考になるとの見方がある。公海では、その資源採取ともみなせる漁業は禁止されていないこと(国連海洋法条約87条)など、国家の主権が及ばない領域であっても、その領域からの資源採取・取得が認められる場合もあるため、天体それ自体の所有が認められないとしても、直ちに天体からの採取資源の所有が認められないとは言えない、との見方が法律専門家の間では強い。
こうした新しい法的問題について法的拘束力のある条約(ハードロー)として形成していくには、国際連合の常設機関である宇宙空間平和利用委員会(COPUOS: Committee on the Peaceful Uses of the Outer Space)で、全会一致の可決が必要となっている。COPUOS加盟国数は、設立当初の1958年には18カ国であったが、その後2019年には95カ国に増加。加盟国の思惑や利害関係が錯綜する中、全会一致を取ることは至難の業であることから、今後COPUOSにおいて新たな条約が採択される可能性は低い。
図表3 アルテミス計画での月面資源探査のイメージ(画像:NASA)
この状況を打破するために、米国は2015年11月に米国商業打上げ競争力法(CSLCA: Commercial Space Launch Competitiveness Act)を国内法として制定し、宇宙資源に対する占有、所有、輸送、使用および売却についての私人(民間企業)の権利を認めた。その後、同様の国内法を民間宇宙活動のハブを目指すルクセンブルクが2017年に、UAEが2019年に制定。日本も2021年に議員立法として制定し、国内外の事業者に対する予見可能性と法適用の確実性を担保し、世界に向けて国際ルールメイキング形成の大きな流れを作り出している(図表4参照))。現在、資源開発者の所有権を否定する国は少なく、COPUOS法律小委員会では宇宙資源探査の国際的枠組みを発展させるワーキンググループが設置され、議論が重ねられている。
一部の国が宇宙資源の所有権を明確に認める国内法を先行して整備していった背景として、ハーグ宇宙資源ガバナンスワーキンググループ(以下、ハーグWG)など国際会議/フォーラムの場が果たした役割が大きい。ハーグWGでは、政府機関のみならず、各国の学者や民間企業などマルチステークホルダーによって議論が積み重ねられた結果、宇宙資源の所有に関する肯定的な見解が出され、各国の国内法整備の進展と実績の積み上げに期待する声が高まっていたことが後押しになったとも言える。
このように、宇宙資源の採掘をリードする事業者・国は、現行国際法の存在しない部分について、非政府機関やシンクタンク等での議論も積み重ね、未来志向で新しいルールを提唱し、他国との対話や具体的な商取引等を通じて国際慣習化させていくことが現実的な国際ルールメイキング戦略と言える。
図表4 各国の宇宙関連法の制定状況
そもそも、宇宙ビジネスに関連する法律は3~4層の性質を異にする規範によって重層的に構成されている(図表5参照)。ベースにある最も基本的な法規範の階層は「国際法」の枠組みで、前述の宇宙条約を含めた「国連宇宙5条約」が該当する。第2の階層は「国内法」で、国家による私人(企業)に対する宇宙活動の許可・監督があたる。日本では、2016年に成立した宇宙活動法や衛星リモートセンシング法などがあたる。第3の階層は、一般的な商事法務が関与してくる。例えば、衛星の売買や商業打ち上げ契約には契約法、宇宙関連技術には知的財産法、サイバー法などが関わってくる。
これらに加え、今後は第4の階層として、人類が経験したことのない未知の領域では、法的拘束力はないものの最先端の宇宙ビジネス事業者が形成していく業界標準、規格、ガイドラインなどのソフトローが国際ルール形成をリードしていくとの見方が、国内外の宇宙法関係者の間では高まっている。
図表5 宇宙ビジネス法の構造
もう一つ、宇宙ビジネスを成長させていく上での喫緊の課題は「宇宙交通管理(STM: Space Traffic Management)」の国際レジーム構築である。人類の宇宙開発の歴史が60年を超え、社会生活の宇宙への依存度が高まる今日、宇宙空間は当初想定していなかった混雑を経験している。現在、宇宙空間を周回する人工物体のうち、運用中の衛星はわずか5%しかなく、95%の物体は運用を終了した衛星、役割を終えたロケット上層部、またはそれらが破砕した破片等のスペースデブリになっている。その数は、追跡可能な直径10cm以上のデブリで36,500個超、直径1~10cmのサイズで約100万個2、1mm以上のものは1億個以上とも言われている。3 デブリは秒速約8km(ライフル銃の弾丸スピードの約8倍のスピード)で宇宙空間を飛び回っている。大量の通信衛星を一体的に運用するメガ・コンステレーションの時代を迎える中、増加の一途をたどるスペースデブリを放置すると、衛星の衝突リスクの増大に加え、新規宇宙サービスの提供さえ困難になることが予想されている。
図表6 地球低軌道のスペースデブリイメージ(画像:JAXA)
飛行機の場合は、航空管制が各機体の位置情報を把握している。しかし、宇宙物体の位置情報に関しては、一部の大手静止軌道オペレーター同士は情報交換をしていても、基本的にはどの国も非公開としている。そのため、自社の衛星の軌道は把握できても、他の衛星がどこを飛んでいて、いつこちらの軌道を横切るか把握できてきない状況にある。宇宙物体登録条約では、「打上げ国が宇宙物体を登録する」と規定し、国内での登録と国連への衛星に関する情報提供をすることになっているが、現状では無登録の宇宙物体が数多くあり、実際の数や管理をどこが行っているのか不明な衛星も多いと言われている。
更に、軍事的な衛星破壊(ASAT:Anti-Satellite)実験がデブリ数を大幅に増やし、軌道の混雑に拍車がかかっている。2022 年 4 月、ハリス米副大統領は、破壊的な直接上昇型 ASAT ミサイル実験を停止するという米国のコミットメントを発表し、英国、豪州、カナダ、ニュージーランド、日本、韓国、フランス、ドイツ等も同様の意思を示した。2022 年 12 月、国連で「破壊的な直接上昇対衛星ミサイル実験を行わないことを約束することをすべての国に求める」決議は賛成155カ国、反対9カ国、棄権9カ国で可決されたが、中国、ロシア、イラン、北朝鮮等はこの決議に賛成票を投じていない。
大量の通信衛星を一体的に運用するメガ・コンステレーションの時代を迎える中、増加の一途をたどるスペースデブリを放置すると、衛星の衝突リスクの増大に加え、新規宇宙サービスの提供さえ困難になることが予想される
STM国際レジームを構築する上で必要不可欠なのが、宇宙状況監視(SSA:Space Situational Awareness)のデータである。SSAは宇宙空間でどのような物体がどういう動きをしているのかを観測し、取得データをカタログ化し、宇宙物体の接近解析や衝突回避等の活動を行う。そのSSAデータを基に宇宙物体の打上げ許認可審査から打上げ、軌道離脱、安全な落下処置等トータルな宇宙活動を管理するSTMが可能となる。
現状では米国が世界で最も充実したSSAシステムを有しており、米軍が主導し多国間で情報を共有する連合宇宙運用センター(CSpOC: Combined Space Operations Center)が世界最大のデータを有している。CSpOCは各国の軍や宇宙機関などの主要な衛星運用者との間でSSA共有協定を締結し、より詳細なデータ交換による衝突回避に貢献している。2020年12月時点でCSpOCは日本を含む26の政府機関、80の商業運用機関、2つの国際機関とSSA共有協定を締結しているが、CSpOCにとっても運用者からの最新の軌道情報を入手することでデータベースの精度向上が期待できるメリットがある。しかし、中国やロシアは米国とのSSAデータ共有協定を結んでおらず、CSpOCのデータ網に入っていない。
2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻の開始発直後、通信を遮断されたウクライナを米国の衛星通信企業が瞬時に支援し、戦況を変えたことは世界でも注目を浴びた。物量で劣るウクライナ軍が現在の紛争でロシア軍と互角に渡り合えるのも、米国が衛星通信サービスや衛星画像等を提供していることが大きな理由とされる。
一方で、2022年以降、ロシアはこれまで以上に対宇宙兵器を使用し、米国の通信衛星事業者の商用宇宙システムも攻撃を受けたことが専門家の間では指摘されている。ワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS: Center for Strategic and International Studies)は最新の「2023年宇宙脅威評価」レポートで、「対宇宙兵器使用の影響はもはや軍事だけに限定されていない。商業的および国際的な宇宙資産への損害も、拡大する宇宙経済全体に影響を与える」と警鐘を鳴らしている4。地政学リスクが高まる中、スペースデブリの問題解決と共に、企業防衛の観点からもSSAの能力を高める必要がある。
STM国際レジームの構築は、欧米を中心に専門家の間でその必要性が叫ばれている。欧州委員会等5はSTMの国際ルール策定を呼び掛け、米国の非営利シンクタンクのランド研究所6やアトランティック・カウンシル7からは新しい宇宙交通ガバナンス組織の設立構想案が浮上している。すなわち、国際海事機関(IMO: International Maritime Organization)や国際民間航空機関(ICAO: International Civil Aviation Organization)といった海や空の過去の国際交通制度設計から学び、国際宇宙管理機関(ISTMO:International Space Traffic Management Organization)といった新ガバナンス組織を通じた宇宙空間における状況監視(SSA)データの共有、STM測定、加盟国が遵守すべき国際運航ルールの策定、係争処理メカニズムの確立などが提唱されている。
欧州の専門家からはISTMO設立に前向きな意見が多いが、大国の主戦場が宇宙にシフトする中、SSAデータの共有は、物体探知能力など国家安全保障にも絡む機密情報の露呈にも繋がりかねないため、米国、中国、ロシアなど主要な宇宙大国から賛同を得られるかは不透明だ。
政府レベルでの合意形成が難しい中、世界経済フォーラムはスペースデブリ低減などの宇宙環境保全に対して宇宙産業が自主的に取り組むことを目的とした国際認証制度「宇宙持続性可能性評価(SSR: Space Sustainability Rating)」8をマサチューセッツ工科大学やテキサス大学等と開発した。2022年6月にスイス連邦工科大学宇宙センターが運営機関となってSSRが正式にスタートし、一部の企業が参加している。
SSRは、衛星の運用による新たなスペースデブリ増加・衝突リスク、衝突回避能力、衝突時のリスク対処法、ミッション完了時の軌道離脱計画、地球からの観測可能性・識別能力、政府・市民へのデータ共有、国際標準の採用など、さまざまな観点からリスクを計測しスコアリング。それに基づいた打ち上げ事業の宇宙持続性における格付けを行っている。
SSRは、企業がSSR認証制度を受けて宇宙ミッションを行うことで、投資家からの資金調達や保険会社からの損害保険費用に関してメリットを享受できるなど、市場原理を通じてデブリ低減のインセンティブを持たせようとしている。市場・民間レベルでの試みとして一石を投じており、宇宙事業者による今後の利用拡大が注目される。
宇宙産業の育成・成長に必要な国際ルールメイキングに向けて、日本としては次の視点が必要であると考える。これらの提言が今後の方向性を考える上での素材となれば幸いであり、日本や国際社会での議論が活発化していくことを強く期待する。
1 スプートニクショックとは、1957年10月4日のソ連による人類初の人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げ成功の報により、宇宙・ミサイル開発でリードしていると自負していた米国をはじめ、西側諸国の政府や社会が受けた衝撃感、さらに危機意識を指す。
2 2022年12月時点の数字。Bruce McClintock, et al, “The Time for International Space Traffic Management Is Now,” RAND Corporation, June 5, 2023
3 Intelligence Advanced Research Projects Activity (AIRPA), “Sintra: A Bold New Space Debris Enterprise,” Office of the Director of National Intelligence, July 5, 2023
4 Kari A. Bingen, et al, “Space Threat Assessment 2023,” CSIS, April 2023
5 European Commission and High Representative of the Union for Foreign Affairs and Security Policy, “An EU Approach for Space Traffic Management; An EU contribution addressing a global challenge”, Joint Communication to the European 5 Parliament and the Council, February 2, 2022
6 Bruce McClintock, et al, “The Time for International Space Traffic Management Is Now,” RAND Corporation, June 5, 2023
7 Mir Sadat and Julia Siegel, “Space traffic management: Time for action,” Atlantic Council, August 2, 2023