
COOやオペレーションリーダーが取り組むべきこと PwCパルスサーベイに基づく最新の知見
本レポートでは、世界の大企業の経営幹部673人を対象に、経営の戦略や優先順位を調査しました。COOはAIの活用拡大に強いプレッシャーを感じており、関連する人材の採用・育成に注力する一方で、業務に追われ将来のビジョン策定に注力できていない状況が明らかになりました。
各企業が抱えているSCM(Supply Chain Management)に関する課題は尽きることがなく、現在も世の中のさまざまな変化に対応するため日々の改善活動を推進しています。加えてSCM改善活動においては、考慮しなければいけない項目が変化している事実もあります。昨今の社会情勢の変化、複雑化する顧客のニーズ・価値観、気候変動、持続可能な社会への貢献等です。
SCMを評価する上で重要な指標であるQCD(Q:Quality(品質)、C:Cost(コスト)、D:Delivery(納期))の軸は今後も変わることはないと想定されますが、実行するための根拠については、これまでの人の経験や過去の自社の実績からの根拠のみでは対応できない事項が多く、今後はこれまでの実績・経験に加えて外部情報を有効利用した次世代のSCMの形が主流になると考えています。
世に出す各種商品・サービスの全体像を捉えた場合、鉱山・山林から産出される資源から、化学化合物を経てアッセンブリー活動、さまざまな加工を経て最終製品が消費者に届けられます。個々の企業はこの長いバリューチェーンのほんの一握りの部分を担う位置づけであり、全体の流れを踏まえた活動を自社の情報だけを参考とするだけでは対応できなくなっています。
代表的なサンプルを上げるとCO2排出量のScope3です。1、2はすぐ把握できても、業界によっては98%を超える割合を占めるScope3の把握と対処が重要になることは明確でしょう。
こういった個々の企業を超える情報把握とそこから推察される傾向、必要な対策について寄与する次世代のSCMの実現をPwCは目指しています。
従来の機能ごとにサイロ化したSCMでは、現在の多様化・複雑化した課題への即座の対応が困難であるため、今後、拠点・企業間を跨いだ外部情報の集約と、そこからのインサイトを活用した次世代SCMの構築が必要となっています。
このような背景から、PwCコンサルティング オペレーションズ部門は、これまで積み上げてきた自社の実績情報に加え、有効なインサイト情報を有したプラットフォームサービスを展開しているGoogle Cloudと協業し、次世代SCMの実現を支援します。
具体的には、両社の持つ各事例に基づくサービスの提供を中心に、企業が抱えるSCMの課題に対して、実績データとインサイト情報を組み合わせた新たなSCMの価値作りの策定、初期フェーズでのデータ利用イメージの共有による早期のクライアントニーズの収集を実施し、スモールスタートの範囲でトライアル&エラーを繰り返し、段階的なクイックウィンの取得、実運用への定着、実運用で出てきた新たな課題の解決支援まで、中・長期的な視点で一貫して支援します。
SC管理・SC外部リスク課題に対して、分散している社内データを集約します。また、外部データ(天気・SNSトレンド・災害リスク・社会情勢・疾病拡大情報・炭素コスト動向等)をリアルタイムで収集・一元管理し、データ活用基盤を整えます。
PwCコンサルティング オペレーションズ部門は、次世代SCMの構築に際して、企業の自社実績データとGCP(Google Cloud Platform)上のインサイト情報を組み合わせたイメージの共有から開始し、①各企業のSCMに関連する課題の抽出・分析と②課題解決に向けた実績データ収集状況の整理、利用可能なインサイト情報の整備、③システムでの実行イメージの共有を並行して実行し、④必要な施策の優先順位付け、実運用可能になるようなシステム含めた実行レベルまで具体化するサービスを提供します。
スモールスタートで各領域の支援を並行して推進し、トライアル&エラーを繰り返してクイックウィンの回数を増やします。
これまで各企業は、計画系、基幹系、実行系ツール等の導入により企業内外のさまざまな業務効率化を推進してきました。次世代SCMでは、GCPを活用することで、本来実施したかったができていない、未解決のSCM課題解消を実現します。
GCP(Google Cloud Platform)とは、Google社が提供するクラウドコンピューティングサービスの総称です。GCPユーザーは、Google社で利用されているものと同じインフラと、さまざまなサービス(アプリ)を利用することができます。
従来のサイロ化したSCMでは、管理コストの増加、サービス低下などさまざまな課題が顕在化してきています。
これらの状況に対応するためには、多面的にリスク検討を行えるよう、以下3つの変革方針を軸にEnd to End (EtE)でサプライチェーンを捕捉・強靭化していく必要があります。
1. 過去から変わった改革
2. 過去にはなかった改革
3. 過去に断念した改革
これまでは、企業グループやサプラチェーンのモジュールごとに正規化された自社データを用いて個別最適を進めてきており、“最適解の導出ツール”までサポートされたパッケージ型のソリューションが求められてきました。しかし、昨今のビジネス環境の激しい変化に伴い、従来のように要件を定型化することが困難となってきています。
そのため、今後はソリューションにつながる発案の強化、つまり、「状況に応じた課題解決のドライバーを導出」することが肝要となってきます。ドライバー導出にあたっては、①スモールスタート・クイックウィン、②カスタマイズ性・拡張性、③外部データを含めたガバナンスが求められるため、これらの要件を充足できるGCPを活用することで、次世代SCMの実現に大きく近づきます。
EtEでのサプライチェーンとそれに関わる外部環境の捕捉範囲拡大・解像度向上を実現するために、自社データと外部データを掛け合わせ、サプライチェーンのシミュレーション変数を拡張させます。予測項目が拡張・精緻化されることで、サプライチェーンのレジリエンスを向上させるインサイトを獲得します。
次世代SCMのユースケースとして、以下3つの方向性があります。
ひいては、国内への回帰を含めた拠点配置の再構築、食品業界等に代表される安全性の管理レベル向上、業界基準の是正等もSCMのポイントとなる可能性があり、SCMを取り巻く動向の恒常的な注視が重要となります。
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