
テクノロジー・メディア・情報通信における世界のM&A動向:2025年の見通し
AIブーム、テクノロジーとビジネスモデルの継続的なディスラプションに伴い、テクノロジー・メディア・情報通信(TMT)分野のM&Aは2025年も活発に行われる見込みです。
日本の通信事業会社は、国内市場の頭打ち、顧客のボーダーレス化、競合環境の複雑化、さらなる規制緩和圧力に晒される中、既存ビジネスモデルからの脱却が求められています。各社、他業種とさまざまな協業を通して事業変革を試みていますが、模索段階から抜けられていないのが現状です。事業変革の実現には、明確なビジネスシナリオを描き、対象とする業界プレーヤーから強いコミットメントを得ることが必要とされています。また、協業パートナーと各々の強みを十分に発揮できる役割分担のもと、計画通りに推進する実行力が求められます。PwCは、多様な業界知見や事業推進支援の経験に基づき、事業戦略の策定から提携の実行までワンストップで支援します。
デジタル世代の台頭や顧客ニーズの変化、OTT(オーバー・ザ・トップ)プレーヤーやメッセンジャーアプリベンダーの台頭により、通信業界における事業環境の変化が顕在化しています。加えて通信技術の標準化・コモディティ化に伴い、これまで通信事業各社の強みであった技術優位性が揺らいでいます。各国当局の規制緩和圧力が強まり、仮想移動体通信事業者(MVNO)の事業参入や市場への浸透が進んだことで、通信事業各社はセルラー利用料金・ローミング利用料金の低価格化を余儀なくされています。
通信技術のコモディティ化が進んだことで、従来の売上構造(契約者数×ARPU)を基にしたビジネスモデルは頭打ちが予想されます。通信事業各社は既にさまざまな異業種サービスの展開を試みていますが、獲得したユーザーからのマネタイズ(収益化)に課題を有し、新ビジネスの主導権を握るまでに至っていない状況です。従来のビジネスモデルからの脱却を目指すには、異業種プレーヤーとの協業による新しいビジネスモデルの確立が必要です。異業種サービス単体のマネタイズは拡張性に限界があるため、他業種と融合するプラットフォームビジネスへの転換を図ることが求められます。転換を実現する手段として事業買収・提携も視野に入れた戦略策定が重要となります。
他業種と融合するプラットフォームの一例として、通信事業各社の有する固有情報を基点とした高付加価値サービスや、コンテンツ拡充・メディア統合に向けた事業提携・買収が考えられます。このビジネスモデル確立には、パートナーとの提携・経営統合およびマネタイズに向けた収益モデルの具体化が重要となります。特に海外市場においては、各国固有の業界知見やグローバルガバナンスの構築に深い専門性が求められます。
通信事業者の支援に豊富な経験を有するメンバーが中心となり、PwCグローバルの有識者ネットワークを活用することで、各国参入障壁の調査、戦略立案、経営統合、事業推進の実行までをワンストップで支援します。
AIブーム、テクノロジーとビジネスモデルの継続的なディスラプションに伴い、テクノロジー・メディア・情報通信(TMT)分野のM&Aは2025年も活発に行われる見込みです。
PwCは2024年10月から11月にかけて第28回世界CEO意識調査を実施しました。世界109カ国・地域の4,701名のCEO(うち日本は148名)から、世界経済の動向や、経営上のリスクとその対策などについての認識を聞いています。
テレコム業界の企業にとって、グループの経済圏の覇権を争う中核となる「通信×金融決済」領域の事業サポートを担うプロフェッショナルが、現状と今後の方向性について語りました。
シリーズ第2回では、テレコム事業者におけるネットワークインフラの運用保守改善の必要性や、改善すべきポイントに焦点を当て論じます。また、次世代ネットワークインフラをどのように実装していくべきか、段階ごとに切り分けて考察します。