データ利活用による企業間/事業間シナジーの創出

データとテクノロジーの新たな活用の動き

新たなテクノロジーによってデータを利活用し、創出される企業間/事業間シナジーは、予測の難しいVUCA(※)の時代において高いニーズと評価を獲得しつつあります。データ利活用テクノロジーの導入がこれまでのITシステム導入と大きく異なる点は、データそのものの価値に置くことです。このような変化はデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略の主要論点に位置付けられ、新たなビジネスモデルへの変革の手段となります。

データ利活用により創出される企業間/事業間のシナジーは、経営判断のスピードと質を向上させ、圧倒的な競争優位性につながるため、データを利活用できていない企業にとって大きな脅威になるでしょう。また、事業バリューアップに大きく貢献しうることから、新たな成長ドライバーや経営高度化を必要としている企業だけでなく、事業再生、M&A、事業再編などに取り組む企業においても、有用となる事例が増加すると考えられます。

(※VUCA:Volatility(激動)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(不透明性)の頭文字を取り、現代社会経済の予測困難性を表す造語)

図1 データ利活用における新たなテクノロジー例

データ利活用モデルにおける判断要素

データ利活用による企業間/事業間シナジー創出が従来の経営戦略や判断と異なるのは、過去の経験や直感的な勘のみに頼った分析から、データとアルゴリズムによる分析が中心になるよう利活用している点です。

経営の高度化・複雑化や規模の拡大に直面する企業には、精度の高い意思決定が必要です。しかし企業経営者/事業責任者は、現場や経営層の経験・勘だけでは対応しきれない多くの課題を抱えており、結果として経営資源の最適化が進まず、競争力が低下する要因になっていると考えられます。

期待される効果

データ利活用環境の構築により、業務面で財務データ・非財務データの収集が自動化され、従来の手入力業務が不要となります。これに加え、見込値の作成など、分析業務の効率が向上します。この一連の作業工数削減・時間短縮によって、施策検討など重要な経営判断を迅速化し、より多くの検討機会を得られます。結果として、検討に用いるデータ精度・需要予測精度の向上や、より優れた経営判断のための高度なインサイトを導出できます。

データ利活用による経営・運用高度化の事例

  • 経営管理・企画領域
    従来の経営管理指標に加えて、それを牽引する先行指標を動的に捉えることで、四半期決算や各事業別投資リターンなど、企業財務の高精度な予測を実現。これらの予測により各事業に対する経営資源の再配分など経営の意思決定を早期化
  • マーケティング領域
    顧客データの一元管理・分析において第三者データの利活用を行い、需要予測を高めることで、経営管理の高度化・精度向上を推進。具体的には、顧客が企業にもたらす利益(顧客生涯価値、Lifetime Value)の向上、解約率の低下を実現。製造業においては製造部門の生産計画策定・見直しなどにデータを利活用することで、組織編制・採用基準の改善、新サービス/事業展開の検討を実施
  • SCM領域
    製造部門のIoTデータや販売・顧客関連データの一元管理とより高度なサプライチェーン分析を行うことで、最適なコスト管理を実施。例えば気象情報など外部情報との組み合わせにおいてAI分析を活用し、需要予測精度の向上を実現

データ利活用管理モデルの構造

シナジー創出に向けたデータ利活用の管理モデルは、データの収集から経営判断に至るまで、4つのプロセスに分けられます。財務データと非財務データ(※)を各部門からタイムリーに収集し、それらをデータレイクに蓄積し一元管理することで、必要な時に使用できる環境を整備します。この蓄積したデータに対して、統計手法を用いて実態を可視化し、AIアルゴリズムを用いたデータ間の因果関係・相関関係のモデル化を実施します。最後に、データの客観的な分析や意味付けを行い、より高度な経営判断に活用できる形でアウトプットします。

(※非財務データ:例えばマーケティング部門が持つアカウント情報やライフタイムバリュー、オペレーション部門の人員規模(FTE)など、財務諸表に表れない情報)

PwCが提供するサービス

新たなデータとテクノロジーを経営モデルに取り入れるためには、徹底した前提条件整理に基づく確実な応急処置と、再成長に向けた力強いビジョンの提示が求められます。

PwC Japanグループはクライアント企業のM&Aにおける意思決定サポートを通じて培われた事業性評価・事業計画策定・新規事業構想に関するノウハウと、グローバルネットワークを駆使した迅速な情報収集能力、官民さまざまなステークホルダーとのリレーションシップ、メンバーファームごとに会計・税務・法務・リスク・テクノロジーなど幅広い知見を有するグループとしての総合力を結集し、事業計画の見直しから再成長戦略の立案、実行支援まで一気通貫での支援を提供します。

主要メンバー

石本 雄一

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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源田 真由美

ディレクター, PwCコンサルティング合同会社

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小笠原 充弥

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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川埜 裕介

シニアマネージャー, PwCコンサルティング合同会社

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