
「スマートシティで描く都市の未来」コラム 第83回:持続可能な観光体験を実現するスマートシティ
スマートシティの観光領域における役割は、先進的な技術の導入により産業やサービスの効率や、観光体験そのものを向上させることです。スマートシティの実現により、地域全体の経済的な健全化と観光業の発展が期待されています。
自社の本質的な強みが、優位性を伴う競争力や価値として実際に発現されるかどうかは、自社を取り巻く環境、特に産業構造・ドメインの在り方に大きく依存します。一方で、自社の価値や強みを最大限に発揮可能な「産業構造・ドメイン」自体を自らデザインできるとしたらどうでしょうか。自らの意図や戦略に基づき、自社を取り巻く環境を形成・統制することができれば、圧倒的な競争優位性とともに、非連続的な成長を実現することができます。
ヘルスケアサービスを例にとると、図表1のようにヘルスケアデータの活用において多様なステークホルダーが参加するエコシステムが考えられますが、このような事業環境を自らデザインすることで、業界内における大きな優位性を築くことが可能になります。
図表1:ヘルスケアデータを活用したエコシステム例
このように事業環境自体をデザインする考え方や行為を、PwCコンサルティングではエコシステム形成戦略と呼称し、企業・公的組織の成長課題解決に向けたさまざまな官民・異業種間の異種結合を支援しています。特に、クライアントが直面する環境変化(顧客・競合・経済性)をとらえ、かつテコとしながら、新たなエコシステムの戦略から実践までを総合的に支援します(図表2)。
図表2:エコシステム創生支援のアプローチ
異種結合によって従来にない価値を創造するためには、新たなビジネスモデルやケイパビリティの整備が不可欠です。また、多種多様なステークホルダーの目的性を擦り合わせ、多くの白紙撤回リスクに対処しつつ、事業・技術要素の検証や、相互オペレーションの確認、契約合意といったステップを、FS/PoC/商用化といった段階に応じて1つ1つ着実に進めていく必要があります。
PwCコンサルティングの成長戦略・エコシステム戦略チームは、そのための方法論を体系化し、異種結合による価値創造を支援します。
私たちは、PwC Japanグループの数多の業界や事業の技術専門家と連携することで、それら専門家の経験・技能を総合的・有機的に活用しつつ、クライアントとともにエコシステムの青写真を描き、実行していくことができます。
すでに構想・推進中のエコシステム形成プロジェクトをワンストップで支援するだけでなく、大規模な経済・社会価値を創出可能なエコシステム構想・企画・提案も行っています。
エコシステム形成においては、顧客価値共創プロセス(ユースケース)と、共創事業スキーム(ビジネスモデル)、エコシステム参加各社の業務・アセットの組み立て(エコシステムアーキテクチャ)を設計することが肝要です(図表3)。ユースケースでは、顧客価値や接点の設計、エコシステム内の共創プロセスの設計を行い、ビジネスモデルでは、顧客からの対価回収のモデルや、エコシステム内の役割と責任について設計します。また、エコシステムアーキテクチャにおいては、エコシステムに参加する各社の業務やアセットの組み立て、投資や開発領域の計画を行います。
図3:設計するべきエコシステムの仕組み
PwCコンサルティングでは、構想策定から顧客候補・パートナーとの連携アレンジメント、共同実証、商用化・事業契約まで、各社間の調整・合意を段階的に図りつつ、事業立上げ・運営を総合的にワンストップで支援します。
図4:エコシステム創生活動ステップのイメージ
PwCコンサルティングでは、エコシステム形成に向けた共同検討のためのフレームワークや参照事例(図表5)に加え、活動推進における「壁」(図表6)や各種リスクの未然防止ノウハウを豊富に有しており、効果的・効率的なエコシステム形成の推進支援が可能です。
図5:エコシステム形成に向けた共同検討のためのフレームワーク・参照事例(例)
図6:エコシステム創生活動の推進にあたって直面することの多い「壁」
スマートシティの観光領域における役割は、先進的な技術の導入により産業やサービスの効率や、観光体験そのものを向上させることです。スマートシティの実現により、地域全体の経済的な健全化と観光業の発展が期待されています。
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