人事部門は組織が歩むブレグジット(英国のEU離脱)の道程の中で重要な役割を担っています。その役割は、ブレグジットによる人財への直接的な影響への対応から事業シナリオの策定まで多岐にわたります。そこで、人事部門の責任者が取り組むべき3つの優先課題を以下に挙げます。
- ブレグジットをビジネスチャンスと捉えた前向きな意識の醸成を支援。これには能動的なコミュニケーション戦略の構築が考えられ、例えば寛容さと包摂性という企業価値観を改めて打ち出したり、従業員の不安を共有するチャネルを構築提供することなどです。
- 緊急課題への取り組み。大きな景気変動がどのように賞与プール、インセンティブ目標、年金積立に及ぼすかの影響を評価し、必要な対応策について意思決定します。ボーナスプランがこの過渡期にある従業員の士気向上につながるように図るとともに、従業員に安心を与え、在留申請といったような実務的な懸念事項への対応の支援をします。
- 長期的な見通しの策定。移民政策がどのように自社の人財パイプラインに影響を及ぼすかを理解し、事業展開への影響を検討します。従業員のための価値提案(バリュープロポジション)の変更の必要性についても検討します。ブレグジットの影響について情報を提供し、事業シナリオの策定に全面的に参加します。また、ブレグジットを乗り切るために必要な専門家を人財として獲得する方法も検討します。
人事部門は、経営陣と従業員が士気を高め適切な課題に注力できるように支援し、ブレグジット戦略を実施するにあたって極めて重要な役割を担っています。ブレグジットにおいて人材関連の課題は、実務面での影響の中でも優先順位の高い課題になります。