サステナビリティ経営成熟度診断:Sustainability Value Assessment

Sustainability Value Assessmentとは

Sustainability Value Assessmentとは、PwC Japanグループにおけるサステナビリティ経営や統合報告に関する知見を活用して、企業の開示情報やヒアリングによる内容を参照し、統合思考に基づくサステナビリティ経営を実現できているかを診断するサービスです。このサービスは、IIRC※1の国際統合報告フレームワークに準拠しており、外部環境の分析、リスク・機会や重要課題の認識、戦略策定、ガバナンス、非財務資本に関する長期的見通し、非財務のパフォーマンスなどの各要素が十分に説明されているかを診断するものです。さらにこれらの各要素の互いの関連性と一貫性を、統合思考から導き出される一連の価値創造プロセスに焦点を当てて診断することにより、診断対象企業のサステナビリティ経営の成熟度を体系的かつ包括的に診断することが可能となります。

Sustainability Value Assessmentは企業が所与の開示枠組みに受け身に対応するのではなく、統合思考に基づき、非財務資本を財務と結び付け、最大限に活用する経営ができているかどうかを明らかにします。企業はSustainability Value Assessmentによる診断結果を通じて、サステナビリティ経営推進に向けた課題と改善すべきポイントを把握することができます。

図表 1

Sustainability Value Assessmentの活用方法

Sustainability Value AssessmentはStandardとAdvancedの2段階でサービスを提供しています。Standardは各診断項目への対応レベルをクイックに確認することを目的としており、企業の公開情報を基に診断を実施し、業界平均値とのスコアの差をみることが可能です。

Advancedは、Standardにおける診断結果に加えて、より詳細な診断結果をもとにして次のアクションへと結び付けることが可能となります。具体的には、クライアント企業の担当者へのヒアリングなどによる診断へと用いる情報の拡充、個別競合他社との比較の充実、診断結果からの改善施策の提案という3点が追加されます。診断結果についてはクライアントへのヒアリングなどを通じて得られた情報も加味しながら精緻化し、競合他社やベストプラクティスとの比較を通じて業界内での立ち位置を明確化したうえで示唆出しを行います。その後、サステナビリティ経営における課題抽出を行い、今後の改善施策を実施に向けたアプローチとあわせて提案します。

図表2 Sustainability Value Assessment : StandardとAdvancedの違い

Sustainability Value Assessmentの特長①:生成AIの活用

企業のESG関連に対する情報開示の要請の声は年々高まっており、ISSB※2やESRS※3といった国際的な動向だけでなく、国内においても有価証券報告書でのTCFD※4開示や人的資本に関する指標の開示の拡充が求められています。情報開示の要請が高まることで、企業が公表する媒体自体が増加・多様化してきており、企業が公表している情報の収集から、それらの内容を読み解き、理解するためにかかる時間が増加しています。このような課題の解決にあたっては、自然言語処理技術が有効であるため、Sustainability Value Assessmentにおいても1社あたりの診断に必要な情報処理を効率化するために生成AIを導入しています。

企業の公開情報の収集から診断に関連する情報の抽出、診断実施までの各工程において生成AIを補助的に活用することで、1社あたりにかかる診断時間を短縮することができます。そこにPwC Japanグループが保有するサステナビリティに関する知見を組み合わせることで、高品質の診断レポートの作成が可能となりました。生成AIを活用することによって分析対象企業のカバレッジが拡大したため、業界内での立ち位置やベストプラクティスと比較してクライアントの強みと弱みをより詳細に把握することが可能になり、個社の事情や実行フェーズを見据えた、より具体的なストーリーを提供できるようになりました。

PwCでは生成AIの活用により診断結果の質を向上させ、それを踏まえたより高品質なサービスの提供が可能となっており、診断から戦略実行までを一貫して支援できる体制を構築しています。

図表3 Sustainability Value Assessment の診断アーキテクチャ

Sustainability Value Assessmentの特長②:トレンドを踏まえた診断項目の構成

企業のサステナビリティ経営に関する意識の向上と、その取り組みの高度化のスピードは速く、診断に用いる項目についても、時代の変化やトレンドを踏まえたものに対応する必要があります。Sustainability Value Assessmentにおいては、業種ごとに企業が置かれている環境やサステナビリティ関連のリスク・機会、重要課題の違いを考慮して評価ポイントを設定しています。また、非財務資本と財務資本のつながりを意識し、企業のリスク・機会の認識や重要課題、戦略と結び付けて非財務資本および財務資本の双方を強化・創出していく経営ができているかどうかを診断しています。さらに、そのために必要となる、幅広いステークホルダーの視点を反映するためのガバナンス体制が整備できているかどうかといった、先進的な観点を評価基準に反映しています。

これらの診断項目は、生成AIを活用する観点から評価基準の統一化・明確化が図られており、PwCの知見に基づいたプロンプトエンジニアリングと組み合わせることで、診断結果の質の向上につなげることを目指しています。具体的には、統合思考経営に関連する用語の定義から業界別の企業事例や情報まで、診断項目ごとに与える情報の粒度を調整しつつ、判断の決め手となる事例をAIに投入していることから、診断精度の向上が期待できます。

図表4 Sustainability Value Assessment の診断項目の構成

Sustainability Value Assessmentとサステナビリティ経営支援サービスの提案

Sustainability Value Assessmentの診断結果に基づいて今後の改善施策を提案し、その実施に向けたアプローチもあわせて提示します。各診断項目とPwCで展開しているサステナビリティ経営支援サービスとの対応例は以下のとおりです。

図表5 サステナビリティ経営支援サービス

脚注

※1 国際統合報告評議会(International Integrated Reporting Council)。21年6月にSASB(Sustainability Accounting Standards Board)と合併してValue Reporting Foundation(VRF)となった後、22年8月にIFRS(International Financial Reporting Standards)財団に統合された

※2 International Sustainability Standards Board。IFRS傘下にあるサステナビリティ開示基準の策定機関

※3 European Sustainability Reporting Standards。CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive)を踏まえた欧州のサステナビリティ報告基準

※4 Task Force on Climate-Related Financial Disclosures。FSB(Financial Stability Board)によって設立され、2023年10月に解散。24年からIFRSが気候関連開示の進捗状況の監視を引き継ぐこととなった

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主要メンバー

磯貝 友紀

パートナー, PwCサステナビリティ合同会社

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田原 英俊

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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林 素明

パートナー, PwCサステナビリティ合同会社

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安間 匡明

執行役員常務, PwCサステナビリティ合同会社

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木元 芳和

マネージャー, PwCサステナビリティ合同会社

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