行動4:利子損金算入や他の金融取引の支払を通じた税源浸食の制限

概要

行動4(利子損金算入や他の金融取引の支払を通じた税源浸食の制限)では、支払利子の損金算入や他の金融取引の支払いを利用した税源浸食を防止するため、各国が最低限導入すべき国内法の基準についての勧告、および、親子会社間等の金融取引に関する移転価格ガイドラインの改訂を行うことを目的とした取組みです。

行動4に関する議論については、2014年12月18日にディスカッションドラフトが公表され、パブリックコメントおよびパブリックコンサルテーションを経て、2015年10月5日に最終報告書が取りまとめられました。

最終報告書では、現行の利子費用の損金算入制限ルールについて幅広い検討を行い、BEPSに対処するための利子の損金算入の制限ルールの在り方をベストプラクティスとして提示しています。

まず、基本ルールとして、「固定比率ルール」を推奨しています。具体的には、純支払利子の税務上EBITDAに対する比率が「基準固定比率」を超える場合、超過部分に係る利子費用について損金算入を制限することとしています。基準固定比率は、各国が他ルールとの併用や経済状況等を考慮の上、10%‐30%の範囲で設定することとされています。

次に、基本ルールに組み合わせることが可能なオプションとして次に掲げるルールを提示しています。

  1. グループ比率ルール: グループ全体の(対第三者)純支払利子のEBITDAに対する比率が、基準固定比率よりも高い場合、グループ全体の比率まで利息の損金算入を認めるルール
  2. 少額適用除外: 税源浸食リスクの低い企業を制限対象外とするため、純支払利子の閾値を設定することを容認(国内に複数のグループ会社がある場合は純支払利子合計額をもって判定すべきとしている)
  3. 超過支払利子または余裕額の繰越、または超過支払利子の繰戻しルール
  4. 特別ルール(targeted rules): 過少資本税制等を補助的に採用することを認める

我が国では、令和元年度税制改正において、BEPSプロジェクトの最終報告書の勧告を踏まえて、過大支払利子税制の対象となる支払利子の範囲に第三者への支払利子を含めるよう拡大するほか、損金算入限度額の計算の基礎となる調整所得金額から益金不算入となる受取配当を除外するとともに、調整所得金額に乗じる基準固定比率を20%に引き下げる等の改正が行われました。