海外の税務調査・国内争訟のプロセス：フィリピン

調査の種類は主に以下の3種類

1. 一般税務調査（全ての内国歳入税が対象）
2. VAT調査（VATに特化した調査）
3. 不正調査

※移転価格調査は一般税務調査の枠内で行われる

全ての納税者が税務調査の対象になり得るが、タックスクリアランス申請、還付（物品税、所得税）申請を行なうと調査対象になる。

1．Letter of Authority（税務調査開始通知）の発行
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2．当局から要求される資料の提出および、机上調査（納税者オフィスを訪問する臨場調査の有無はケースバイケース）
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3．Notice of Discrepancy（NOD：差異通知）の発行
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4．BIRとの非公式協議（NOD発行から5日以内）
資料・反論などの提出（NOD発行から30日以内）
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5．Preliminary Assessment Notice（PAN：予備的評価通知）の発行
　↓（15日以内）
6．納税者からの反論提出
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7．Final Assessment Notice（FAN：最終評価通知）の発行
　↓（30日以内）
8．納税者からの反論書提出

• Request for Reconsideration（再検討依頼）
  （追加の説明資料の提出なしに当局に再検討を依頼する手続き）
  
• Request for Reinvestigation（再調査依頼）
  （追加で提出する説明資料に基づき当局に再検討を依頼する手続き。追加資料の提出期限は反論書の提出後60日以内）
  

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9．Final Decision on Disputed Assessment
（FDDA：最終決定通知）の発行

NODの段階で終了する場合は、通常税務調査開始から半年以内が多い。
一方、PAN、FANのステージまで進む場合は平均で半年から1年以内だが、それ以上かかっているケースも少なくない。前述のとおり、調査期間の不足を理由に、時効利益放棄書（Waiver）への同意を求められ、調査期間がさらに長期化するケースも散見される。

最終決定通知に記載される期限

• ペナルティ
  追徴税額の本税に対して25％のSurcharge
  （ただし、不正の場合は50％のSurcharge）
  適切な情報提供などを怠った場合に科せられるCompromise
  ペナルティは概ね 1万～2万フィリピンペソ（2024年4月時点の換算レートで約2万7,000円～約5万4,000円）
• 延滞利息
  年12％

各種証憑間、例えば監査済みFSと税務申告書、売上明細間の売上計上額に差異がある場合、その差異を売上過少計上とみなして課税してくるのが典型的な調査手法。差異のReconciliationは全て納税者側に立証責任があるルールのため、税務調査への対応が納税者にとって大きな負担となっている。

BIR長官への再考の申立（Request for Reconsideration）

または

税務裁判所（CTA）への提訴（Petition for Review：PFR）
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CTAのDivision（各部）における審理・判決
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CTAのDivisionでの判決に不服の場合、CTAのEn Banc（大法廷）における審理・判決
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CTAの判決に不服の場合、Supreme Court（最高裁判所）に上告
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最高裁における審理・判決

1．再考の申立（Request for Reconsideration）の申立書を提出
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2．再考の申立に対するBIR長官から納税者への回答書面の発行

（注）
再考の申立手続きであるため、BIRに提出できるのは申立書のみ。
FANのステージとは異なり、BIRに追加資料の提出が認められる再調査依頼（Request for Reinvestigation）は認められていない。
そのため、再考の申立はBIRレベルの減額交渉手段として機能していない。

FDDA受領後30日以内

または

BIR長官への再考の申立棄却、または却下後30日以内

または

BIR長官に対して再考の申立を行ったが180日の間に返答がない場合、180日経過後30日以内

納税者によるPetition for ReviewのCTAへの提出
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Petition for Reviewに対するBIRのCTAへの回答
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Pre-Trialにおける論点整理
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CTA Divisionにおける審理
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CTA Divisionによる判決
（なお、CTAにおける審理と並行して調停が試みられるケースがある。調停が成立する場合は和解で終了）

CTA Divisionの判決が納税者にUnfavorableの場合、判決から15日以内にDivisionに対して再考の申立（MR : Motion for Reconsideration）を行うことが可能。
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MRが否認された場合、否認の通知を受領してから15日以内にCTA EN Banc（大法廷）にPetition for Reviewを行うことが可能。EN BancではDivisionと同様手続きが踏まれ判決が出される。
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CTA En Bancにおける判決が納税者にとって不服のあるものであった場合、判決受領後15日以内にPetition for Reviewを通じてSupreme Court（最高裁判所）に上告が可能。