移転価格調査対応:調査中

移転価格調査において日本本社に求められる対応

日本での移転価格調査には、「①所得移転の蓋然性の判断」と「②課税判断」の2つのプロセスがあります。所得移転の蓋然性がある(移転価格の問題あり)と判断されると、通常、更正処分に至る課税判断がなされ、具体的に独立企業間価格の算定および更正処分へと展開します。

海外子会社の移転価格調査では、課税処分を受けたあと、もしくは具体的な更正処分案が提示された段階になって、初めて現地から日本の親会社に報告がなされるということもあるようです。しかし移転価格課税は、親会社との取引に二重課税が発生するため、海外子会社だけの問題ではありません。

特にアジア諸国の税務当局は、勉強会などを通じて移転価格調査のノウハウなどの情報交換を行っていると言われています。そのため、類似の取引を行っている他国の関連者との間にも同様の課税処分のリスクが生じる恐れがあります。

このように、ある国の移転価格調査が、グループ全体の移転価格運営に大きな影響及ぼす恐れがあるため、調査序盤から適切な対応が必要です。PwCでは、現地のPwCネットワークのメンバーファームを加えた対応が可能です。

PwC税理士法人による移転価格調査中における支援

調査序盤

  • 最近の調査動向、類似ケースを参考にした対応アドバイス
  • 調査官からの資料提出依頼の対応サポート(調査官の意図、作成方針や具体的内容のアドバイス、レビュー)
  • 弁護士法人によるアドバイス(調査対象の海外子会社の所在地国・地域がアジア諸国の場合、相互協議での解決が困難であることが想定されるため、あらかじめ訴訟などの国内救済策の選択を念頭に置いた対応を推奨)
  • PwCネットワークのメンバーファームも交えた検討(課税後の相互協議も想定しながら、相手国税務当局の考え方も踏まえた調査対応を行うため)

調査中盤(移転価格税制上の問題の有無の判断)

  • 調査立ち会い
  • 移転価格文書(ローカルファイルなど)の説明、追加資料作成支援
  • 提出資料の作成、レビュー、調査官への説明
  • 議事録作成
  • 調査官のコメント、意見に対する回答
    • 回答・反論時の立ち会い
    • 回答書・反論書作成支援、レビュー
  • 所得移転の蓋然性判断(中間意見書)への対応
    • 反論書作成
    • 相互協議や国内訴訟提起など課税後の対応策の検討(弁護士法人も参加)

調査終盤(課税金額の算定)

  • 独立企業間価格算定方法の検討
  • ベンチマーク分析
  • 提出資料の作成、レビュー、調査官への説明
  • 調査官のコメント、意見に対する回答
    • 回答・反論時の立ち会い
    • 回答書・反論書作成支援、レビュー
  • 更正処分案(調査官意見書)への反論
  • 相互協議室、相手当局への事前相談支援

インサイト/ニュース

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主要メンバー

野田 幸嗣

パートナー, 移転価格リーダー, PwC税理士法人

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城地 徳政

ディレクター, PwC税理士法人

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山岡 利至

シニアマネージャー, PwC税理士法人

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